生まれた瞬間から、ゆっくりと死んでゆく
「生まれた瞬間から ゆっくりと死んでゆく」
これは私が大好きなMr.Childrenの「通り雨」の一節である。ちなみにミスチルは大好きだが、この曲自体もこの曲が収録されているアルバムもそんなに好きではない。もちろんここ中には良い曲もあるが、HOMEのアルバム以降の曲だけを聴いてミスチルファンになった人のことは、にわかだと思う。
ミスチル好きを名乗りたければIt's a wonderful world の良さを解っていることは必須条件である。当然アルバム本体自体にも魅力が満載なので、間違ってもストリーミングや音源だけを買わないこと。
話が逸れてしまったが「生まれた瞬間から ゆっくりと死んでゆく」とは、なんと残酷で、紛れもない真実で、言い得て妙なのだろう。
おそらく多くの人が、生まれてから20歳前後が最も体力も脳の回転も夢を語れるもピークだと思っていて、そこから緩やかに老化して、いずれ死にゆくと思ってはいないか。確かに生まれたばかりの赤ん坊は立つこともできなければ自分の手を自分の手とすら認識しておらず、レベル0である。それでも、寿命という砂時計は生まれたその瞬間からひっくり返され、刻一刻と死に近づいていることは確かな事実である。
私がこの歌詞と出会ったのは高校生の頃だった。16歳の私は頭を殴られたような衝撃を受け、それ以来、人生における座右の銘のようになっている。死ぬこと以外はかすり傷ほどアグレッシブではなく、かと言って大器晩成ほどの余裕もない、この絶妙な塩梅がいいのだ。何かにチャレンジしようか悩む時も、今この瞬間も私は死んでいるのだ、と思えばクヨクヨ悩まずとりあえずやってみようと思える。逆に何かをやめたいと思った時も、砂時計は止まってくれない、と新たな道を考える後押しをしてくれる。
ところで、なぜタイトルの写真がお米なのか、気になった人はいるだろうか?
我が家は夫婦と3歳児の3人家族だが、年間120kg以上のお米を食べる。これは毎日2合以上食べ続けている計算である。そのため、日々美味しいお米を探すことに余念がない。基本的にお米は全てふるさと納税でまかなっているので、その中で一番美味しいかつコストパフォーマンスが高いように思うのはこちら。
我が家のようにお米を頻繁に食べる家や家族の多い家庭は、お米を15kgとか20kg単位で買うことが多いかもしれない。そのために我が家もおしゃれかつ遮光性の高い米櫃を買った。
トタン製なので本体も軽く、非常に満足しているのだが、ある日よく買うお米農家の方から「お米は精米した瞬間から酸化していくので早めに食べてくださいね」と言われた。これはまさにミスチル!人間と同じだ!と思い、慌ててお米のベストな管理方法を考えるに至ったのである。それ故のタイトルなのだ。
結論を述べると、美味しいお米を食べたければ精米したてにこだわる必要がある。精米してから時間の経ったブランド米よりも、精米ホヤホヤの無名米の方がフレッシュで美味しい。美人な熟女より垢抜けない20代の方が需要が高いのと同じような話かもしれない。
それでも毎月10kg以上お米を食べる我が家は、お米屋さんでお米を買うのも面倒だし、これから更に食べ盛りがくるであろう子供もいる。そこで導き出した最適解が、自宅で精米しよう、である。
家に精米機があると言うとどんな田舎の広い家かと思われるが、我が家は大都会東京の更に真ん中に所在する猫の額3つ分くらいのマンション住まいである。そんな狭小な家でも楽々迎えられる精米機があるのだ。
その名もライスロン。ライスロンがすごいのは、そのコンパクトさだけではなく、細かく分つきできることら上白米や米研ぎもできることである。左上のリフレッシュボタンを押すと、既に精米されたお米の表面を削って酸化した部分を取り除くこともできる。
白米をたくさん買って、少し古くなってきたらリフレッシュ機能を使うのもよし、玄米を買って都度好みの分つきに精米して炊くもよし。私と子供は玄米が好きだが、夫は好んで食べないため、分つき米にすれば見事な折衷案が取れる。我が家は、玄米と白米をそれぞれストックしておき、白米は古くなったらリフレッシュ、玄米はその日のおかずに合わせてそのまま炊いたり分つき米にして食べる。
私は3年ほど前にAmazonで買ったが、楽天の方が新しいモデルが安く売られている模様(2023年3月16日現在)
当然精米すると糠が出てくるが、これがなかなか優秀な副産物である。とっておいて肥料にしたり、入浴剤にしたり、掃除に使ったり。無農薬や有機米であれば、糠床に足したり、糠パックにしたり、炒ってヨーグルトにかけたりケーキに混ぜてもいい。わざわざ米糠を買う人もいるのだがら、こんなにありがたい副産物はないだろう。
今この瞬間も、あなたは死んでゆく。
そしてキッチンに眠る生米も、酸化しているのだ。
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