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静かなる絢爛。木と粘土と藁で建造された「シフィドニツァの平和教会(Church of Peace in Świdnica)」 / ポーランド②

こんにちは。
今日はヴロツワフから「シフィドニツァの平和教会」に向かいます。
朝のひんやりとした空気を満喫しながらヴロツワフ中央駅まで歩きます。

緑 x ピンクの建物カワイイ。
劇場。

うーこの建物。

現在はプール併設のジムみたいね。でも昔は何に使っていたんだろ…

カニとか、カエルとか

エラや水かきなど水棲生物の特徴を持ったクリーチャーが多数いて。
きっと昔も水を使用した何かの施設だったんだろうけど、妖氣のようなものが滲み出てて怖かった。

ヴロツワフ中央駅。

美しい骨組み。

チケットは構内の自動販売機でも購入できます。

ヴロツワフからシフィドニツァの平和教会へは、列車とミニバスの選択があるようですが、列車旅が好きなので迷わず列車で。

シフィドニツァの平和教会を調べると「シフィドニツァとヤヴォルの平和教会群」と、ヤヴォルとセットで出てきます。
これは17世紀半ばに起こったキリスト教の宗教紛争「三十年戦争」(1618~1648年)後建てられた3つの教会、ヤヴォル、シフィドニツァ、グウォグフ(Jawor, Świdnica, Głogów)のうち残った2つなので。(グウォグフは火災で消失。)

「シフィドニツァとヤヴォルの平和教会群」は2001年に世界遺産に登録されています。

コーヒー買って、1時間15分程の旅を楽しむ。

シフィドニツァとヤヴォルは40kmほど離れていて、この間ミニバスが運行しているようです。
両方行こうと思ってたんだけど、ヤヴォルの教会は11月〜3月は6名以上で要事前予約。これはツアー参加しかないか…と調べた。が、当たり前だけど教会滞在時間が決められてるし、周辺をゆっくり散策する時間もなさそう。

ポーランドの鉄道車両メーカー・ネヴァグ(Newag)社製の車両。キレイで快適でした。

やっぱり制限なしに自分の興味の赴くままに歩きたかったので、今回はシフィドニツァのみ堪能しようと決定。

シフィドニツァ・ミアスト駅到着。

長閑な駅前。

15分ほど歩いて「シフィドニツァの平和教会」に到着、嬉しい!
パリに行く途中ポーランドに寄り道したのはこの建築物を観たかったからなのよね。

右手の小さな建物「警備員の家」は現在カフェとして営業。

ハーフ・ティンバー(木骨)造りの教会が見えてきました。

カトリックのハプスブルク家の支配下にあったボヘミアでプロテスタントが反乱を起こしたことをきっかけに勃発した「三十年戦争」後、ここドルヌィ・シロンスク地方はカトリックの支配を受けることになります。

この地方の住民の殆どがプロテスタントであったため、ハプスブルク皇帝フェルディナント 3 世は、条件付きでヤヴォル、シフィドニツァ、グウォグフの3か所にプロテスタント教会の建築を許可しました。

その条件とは
・ 建材は木、粘土、砂、藁など耐久性のない建材のみを使用すること。
・ 教会は市壁の外側に建て、なおかつ大砲の射程距離内に設置すること。
・ 伝統的な教会建築様式は許可されず、塔や鐘楼の建設は禁止。
・ 工期は一年以内とする。

要は、「一年以内にプロテスタントの要塞にならないような、いつでもぶっ壊せる教会なら建てていいよー」というもの。

あらゆる階級の人々がこの教会の建設に参加し、木枠に粘土と藁詰めた木組のハーフ・ティンバー造りの教会をつくりあげました。

ここで入場料を支払い観せていただきます。

信仰を剥奪され、こんな条件下で…どうやら釘も使用していないそうです。

入り口から違う空気が流れていました。

ゆっくりと歩を進めます。

ああ、美の密度が高すぎてどこに視線を固定していいのか分からない。
素朴な外観の内側には静謐な絢爛が息づいていました。

入って右手に祭壇。

強い意志のようなエネルギーが隅々まで埋め尽くし、美しさを強固なものにしていました。

ふっと思考が消えた。

祭壇も木製。

どこか別次元に連れ去られて「漂っていた感じ」しか残っていない。

写真を見返しながら、説明書きやぼんやりと思った(であろう)ことを思い出しながら今書いているのですが。

説教壇も木製。

祭壇の向かいにはバロック式のパイプオルガン。二柱のアトラスで支えられています。

教会という建築物はもともと、人々を音と光で癒す装置だったのか、と思ってる。(記事「”サグラダ・ファミリアは人々の魂を実らせるための道具ー外尾悦郎 ”/ 「ガウディとサグラダ・ファミリア展」@東京国立近代美術館」)

シフィドニツァ出身の画家2人によって描かれた天井画は、3年の年月をかけ1696年に完成したそう。

3000の座席と4500の立席が設けられ、計7500人を収容することができるというヨーロッパ最大規模の木造教会。

バルコニーは、聖書の78のテキストと47の寓話的シーン、ギルドや貴族の紋章などで装飾されています。

教会建設のために多くのオーク材を寄贈したホフベルグ伯爵( Johanna Heinricha von Hochberg)の貴賓席。

フルダのドイツ工芸・記念碑保護センター、ボンの連邦研究技術省、オスナブリュックの連邦環境保護財団、ポーランド・ドイツ協力財団、文化国家遺産省、EEA助成金、ノルウェー助成金らが、この教会の修復を支援しました。

いつでもぶっ壊せるような素材で建てられた教会は、370年近く経った今も静謐な美しさを湛えそこに佇んでいました。

人々の強いエネルギーは物質を強固にしたのね。

駅へ戻りながらの散策。

いつもの如く妄想しながら建物楽しむ。

美意識とスケールが違いすぎるのよね…

カワイイ!カラフル街並みのクッキー。
ウィンドウ覗き込んでたら、お店の中から「撮ってもいいわよー」って。ありがとう!

小さな入り口からは予想もつかない奥行きのあるカフェでした。美味しそうなケーキやペイストリーが並んでたんだけど、お腹いっぱいで…残念。

ということで、ヴロツワフ中央駅に戻ってきました。

シフィドニツァの平和教会
Church of Peace Saint Trinity Church in Świdnica

APRIL-OCTOBER:
Monday - Saturday: 9.00-18.00 / Sunday and holidays: 12.00-18.00
NOVEMBER:
Monday – Saturday: 9.00 – 16.30 / Sunday and holidays: 12.00 – 16.30
DECEMBER-MARCH:
Monday - Saturday: 10.00 - 15.00 / Sunday and holidays: 12.00 - 15.00
CLOSED DAYS FOR VISITS:
GOOD FRIDAY (15/04/2022)
ALL SAINTS (01/11)
CHRISTMAS EVE (24/12)




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