「女神のリース」詩―シロクマ文芸部「木の実と葉」参加作品
「木の実と葉を 皆であつめましょう!!」
森の 女神さまは 張り切った
街を 小鳥に変装して飛び廻り
街中が「ハロウィーン」で
飾り立てられているのを 発見し
大感激して しまった
すぐに 森の住民たちに
「木の葉の手紙」で お触れを 出した
[皆さんに お願いがあります
きれいな葉っぱや
かわいい木の実を 6個以上
集めて お城に持ってきてください。
持ってきてくれた者 皆に 楓シロップを
プレゼント しますからね]
コマドリが お触れを
小さな体で とびまわり
森のみんなの ポストに 入れて回る
リスは 「ヤレヤレ」と
鼻を ピクピク動かした
「冬用の 木の実を 苦労して
巣にいっぱい 集めたばかりなのに・・・
また 木の実 探しするのかぁ…」とボソボソ
コオロギは 「コロコロ」と
思わず 羽根を擦り合わせた
夜に 鳴きつづけるので
昼間は チロチロと寝てばかり
「ウーン 虫の 労基法違反だょ…」と
また 葉っぱの寝床に 戻る
イノシシは 舌なめずり
「しめたぁ またご馳走探しが
できるぞぉ」 泥のついた鼻先を
ピクピクとさせて 食べ物の匂いを嗅ぎ
野原に 飛び出していく
ムラサキシジミは 小さく
「ポッ」とため息
秋の 草花は 花を落とし始めてる…
「花粉団子が 作れるほど
集められるかしら・・」
キラキラひかる 紫の羽根を
開いたり 閉じたりしながら 悩む
マメコガネは 前足を擦り合わせて 困り顔
「倉いっぱいの 葉っぱを集めて
詰み重ねた ばかりなのに…
それに 子どもたちに 飴も買ってやらなくちゃあ
いけないし・・」と 欲張りかあさん目で
キョロキョロ。
スズメは 茶色の胸の
ふっくら羽根を 膨らませた
「女神さまのために 頑張る!!」と
小さな口をあけて 「チュン チクチュン」と叫び
早速 スズメマンションの仲間たちにと
知らせに 飛んでいく
一週間後 女神さまの 森のお城のある
大きな欅の大木の 周りには
数えきれない 木の葉 木の実が 置かれた
まるで 唐にしきの絨毯が
敷き詰められたよう
女神さまは この錦秋をみて
頬を うっすらと
かえで色にそめて 涙ぐむ
「森で ハロウィーンをお祝いしたいの
寂しくなってきた 秋の森を 華やかにしたい
まず ハロウィーンのリースを作って欲しい」と
森の住民たちに お願いする
大きな体の者から 小さな指先ほどの者まで
みんなで 一心に リースを作り始めた
ツタで 木の実を結びつけ
大切に しまっておいた 木の樹液で
葉と葉を くっつけて
周りを コスモスや ラベンダーで飾る
リース作りは 夜も続く
青白い月は 蒼のスポットライトを
手配してくれた
とうとう リースは完成!
カボチャ、カエデの葉、どんぐり
ラベンダー 松ぼっくり ツタの葉
あけびの実 が入り混ざった
秋の輝き いっぱいのリースだ
女神さまは 「私は 幸せ者だ」と
感謝の 深いため息をつき
住民たちは 「サヤサヤ チイチイ」と 声をあげて
「ほかの森の 仲間にも みせようね」と
興奮して 肩を組みあって 喜ぶ
出来上がった リースは 樫の木の幹に
飾られて 夜も 光り続ける
やがて このリースは 街の人たちの間でも
おおきな 話題となり
小さな子供たちが 両親に連れられて
見に来るようになる
「森のピカピカリース」は
街の広報紙にまで 紹介され
遠くの街の人たちまでもが
見にやってきて リースの前で うっとりする
ただひとつ 不思議なのは
このリースの 作り手が
誰かを みんな知らないこと
小牧幸助さんのシロクマ文芸部 「木の実と葉」の企画に参加
させていただきました。小牧様 どうぞよろしくお願いいたします
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