「カマキリの仇討ち」短編小説―青ブラ文学部#写真de妄想企画参加
道の真ん中での出会い
朝の早い時間 子犬のルルを
散歩させて 家の前まで戻ってきた。
すると 道の真ん中に 大きな緑色の
カマキリが 「とうせんぼう」をするように
両手を 上げている場面に 遭遇した。
ルルは すぐに 飛び出してカマキリを
食べようとする。
それを押さえて カマキリを避けて
歩き続けようとすると 後ろから声がした。
「坊や ここの家の子よね
わたし 坊やの家の庭に住んでるのよ」
あたりを見回したが、人影はない
道に目を落とすと カマキリと目が合った
「エ~ッ カマキリがしゃべったの?」
「そうよ カマキリも ちゃんと喋れるの!
いつも 坊やの庭の 害虫退治して
あげてるのよ 知らなかったでしょうけど。。」と
小さな目を 素早く動かしながら
上から目線で 話す
「ごめん わからなかったよ。
花壇を 守ってくれてたんだね」
ボクは とまどいながら 答える
モズに襲われた旦那さん
「実は 坊やに お願いがあって
ずっと 道の真ん中で待ってたのよ」
細い首をかしげながら カマキリは話を切り出す
「ボクに 願い事??」
事態が呑み込めずに 答えるボク。
「そう 私の仇討ちを 手伝って
欲しいのよ 坊やにしか 頼めない」
「あ.あ、、あだうち??」
益々 訳がわからない
「私の旦那さん この庭で
憎らしい鳥のモズに 襲われて
死んじゃったの!!
だから このモズに 仕返ししたいの」
玄関の石段に座り込んで
話の続きを聞く。
「鳥に カマキリが復讐する??
そんなの 聞いたことない 無理 ムリ 」
ルルも コックリ頷く。
「ムリでも やるの!!
命がけで 仇討ちする。
ねぇ 私を助けてくれるわよね!。。
そしたら 私の子供たちが
ずっと 坊やの庭を 守るわ」
カマキリは 流し目をしながら 頼んでくる
仇討ちの計画書
カマキリは 仇討ちの詳しい
段取りを 木の葉に書いた実行計画書を
見せながら 何も 見落とすまいと 三角の頭を
忙しくうごかして 説明する
「坊や 正義の味方してよ。お願い」
単純な ボクは 義はないけれど
助太刀することにした!
計画に従って、ボクは 庭のシマトネリコの
木の枝先の一つを 尖らせた
その枝の上には 緑の葉が
沢山ついた 別の枝がある
その 枝先に エサをつけて
カマキリは 上の枝でモズが
来るのを 待ち伏せる。
エサは ボクが前もって
野原や田んぼで捕まえた。
4日後に計画 実行だ
カマキリの勇敢な戦い
仇討ちの 日が到来した。
カマキリは 枝に登り 葉の陰で
息を殺し 鎌をふりあげて じっと動かない
ボクが エサのコオロギを 枝につける。
何度か 他の鳥が来て
エサをたべては 飛び去る
モヅは なかなか現われない。
最後に残ったエサを 付ける。
これが 取られてしまうと 計画中止だ。
11時を回った頃 するどい
モズの高い鳴き声が 「キーキー」と
庭に ひびく。
「来たぁぁ!!」ボクは
緊張して 唾を飲み込む
モズは 他の木に止まり しばらく
様子をみていたが、餌がついた
枝に飛んできた。
エサを食べようとした瞬間
カマキリは マントのように
羽根を精一杯広げ
鎌を構えて モズの頭の上に
フワリと 飛び降りる
「ギーギー キー」 モヅが鳴き叫んで
勢いよく 空に飛びあがる
モズの目に カマキリがしっかりと
鎌を立てて しがみついているのが見えた。
体半分は モヅのくちばしに
咥えられたままだ
でも 鎌をゆるめない
あっという間の 仇討ち劇だった
木の下には カマキリの緑の
はねが 数枚落ちていた
カマキリは 立派な 女戦士だった
命は 初めから捨てていたに違いない
小さな虫の一厘の魂
その後 庭に来るモヅの中で
片目をつぶったままの 鳥がいた
カマキリは かたきを 討ったのだ
「ちいさな虫にも 一厘の魂だわね」と
話を聞いたバアバが つぶやいて 合掌した
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