「空と話す」―シロクマ文芸部「寒い日に」企画参加作品
雪の舞う 寒い日に
庭の百日紅の 根元に座り
天を仰いで 呼びかける
父さんが 愛した
百日紅の木は 葉を落とし
静かに 寝息を立ててる
毎年 父さんの命日は
いつも 凍えるような空だ
葬式当日は 強い北風が
出席者の 嘆き声を
寺の向こうの 大通りまで
運び去った
あれから どれだけの時が
流れたのか・・・
ふと 気が付くと 父の年齢を
追い越して 生きながらえてしまった
禁煙の 自分が
吸えない タバコをふかし
カンビールを 開ける
煙は 雪と手をハイタッチしながら
空へと 昇っていく
煙の 昇る先の雲のスクリーンには
病院の あれこれが
浮かび上がってくるよう
最後の日 酸素テントの中で
「タバコ 吸いたい
ビール 飲みたいと」
何度も 言ってたね
きっと 自分の死期が判ったのだろう
看護婦さんに 許しを得に行くと
眉を上げて 「とんでもない」と一言
もうろうとしてきた頭で
ボクの名をよび
「世のため 人のために
やってきたのに どうしてだ・・」と
途切れ 途切れに 口を開いた
どうして あんなに急いで
天国への旅に 出発してしまったのか・・・
ボクが 父さんの病を
一日でも早く
見つけられなかったからだね
いくら 天に向けて
言葉を くゆらせても
父さんの 照れ笑い顔と
タバコ臭い手の ぬくもりと
小太りな 背の感触は
もう 取り戻せない
小牧幸助様企画 シロクマ文芸部 題「寒い日に」
参加させて いただきました。 小牧様いつもお手数を
おかけいたします。
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