【散文詩】半自動筆記に依る夜想曲(10)-1『創世記』-1
『では』と私は言った。『始めに言葉が有った様に、世界は何時何処とも判らぬ内に、既に在ったと云う訳なのですね?』
『はい』肋骨は言った。
『林檎が下へ落ちるのが当たり前で有る様に、丸く、美しく紅く実るのが当然で有る様、旋律が川と魚の流れと等しく有る様、亦、混沌の胎に全てが存する様に、全ての事の始まりから然う在ったのです。』
或る朝、食事の支度をして居ると其れは唐突に現れたのだった。
余りの面妖さ戸惑っていると、肋骨は自分が最初の『女』のものだと言い、経典の此世の始まりは全て出鱈目だと言い立てるので在った。
<続>
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