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どこかに埋もれて見つけられなくなってしまうと悲しいから自分の本棚に飾っておきたい。そんな記事を集めた、自分満足用のマガジンです。
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2024年9月の記事一覧

掌編小説|ついたち

 足音が近づく。手にしていたスマートフォンは布団の中に隠し、枕元にあった漫画を開いた。  予想通り、足音は私の部屋の前で止まり、次にはドアをノックされた。 「こん、ばん、み」  気に入っているタレントの挨拶を真似て部屋へ入ってきた母は、手にコミック本を数冊抱えている。 「どうしたの、それ」  触れないのも気まずい。だから質問を投げた。 「もうさ、我慢できなくて大人買いよ。知ってるよね?〝あたいらのピンチョス〟」 「聞いた事あるような、ないような」  仰向けから体勢を変えて横向

海亀湾少年のショートショート【エッセイ】

 短かいから読みやすい。短いから書きやすい——。  ショートショートを制作したことがある人なら、これと似たようなことを思った人は多いのではないだろうか。初めての創作で、いきなり原稿用紙百枚分の純文学作品を書き上げるのは難しい。けれども、小説の面白さを知った読者が、自分にも書けるのではないかと思い、小説の実作に挑戦しやすいのは、このショートショートという型式のように思う。  わたしもそのパターンだった。  小学生の頃から漫画のみならず、文章だけの子供向け読み物も好んでいた