送迎バスの子どもを置き去りにする事故について思うこと
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以前勤めていた職場で送迎に携わっていたので、今回の事件は他人事ではないなと感じています
今回はなぜ、このような事故が起こるのかを関わっていた者目線でまとめていこうと思います
ハインリッヒの法則
みなさんは「ハインリッヒの法則」はご存じでしょうか
「1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と300件の怪我に至らない事故がある」というものです
福祉、医療のみならず、働いている人はこの法則を意識している人は多いのではないでしょうか
事故や怪我に至らない300件のものを「ヒヤリハット」とし、以前の職場ではこのヒヤリハットも
職員同士で共有していました。これがとても重要です
なぜなら、この事故に至らない300件が、重大事故につながっていないのは「運」が良かったからです
職員同士でヒヤリハットを随時確認することで、危険性を限りなく少なくすることができますし、ほぼ毎日些細なことでも報告するようにしていました
このような経験則から、「送迎バスの事故」の原因を私なりに分析してみました
根本の原因
私はこの事故は根本の原因から大きく派生していったものだと考えています
根本の原因は「急な変更」です。この急な変更は
・スタッフの休み
・子どもが休みのためのスタッフの調整
・他部署、他クラスへの応援
等が考えられます。他にも様々あるでしょう
そしてこの「変更」から以下のことが発生します
・運転手、添乗員に普段関わっていないスタッフがすげ替わる
・送迎ポイントの位置が曖昧、また、お子さんへの対応が分からない
・ご家族に対してどんなこと普段伝えていたのか分からない
・帰園した後のクラスのフォローにどのように入るか不透明
・普段行っていない業務が発生する
等など、本来なら余裕をもって対処できるものでも、上記のような状態では人間は100%のパフォーマンスができません。むしろ余裕がなくなり、普段見えることでも見えなくなります
この余裕のない状態に、
例えば、
・元気なお子さんがバス到着時にバスから飛び出してしまいその対応に追われたり、
・バスから子どもをクラスに送ったのち人員が足りていないクラス活動にそのまま入らざるを得ない
というような状況が加われば
容易に「しなければならない最低限の確認」を怠ってしまうのです
子どもに関わる業務を行う上で、業務のプロであることは当たり前ですが、それ以前に「人間」であることを忘れてはいけません
・必ず忘れてしまう生き物
・・マルチタスクで、パフォーマンスを落とす生き物
・見落としてしまう生き物
・加齢により、さまざまな認知機能が衰える生き物
であることを前提にし対策が必要になります
まとめ
自画自賛ではありませんが、以前勤めていた職場の職員の練度はものすごく高かったんです。人間関係も、お子さんへの関わりも、考え方も…
それでも事故は起こり得るのです。危ない場面はあるのです。私自身、このような事故への対策を考えるのですが、紙ベースやデジタルも扱うのは「人間」です。必ずエラーは起こるのです。機械的な、自動で検知するシステムがあれば、必ず導入するべきです
私がこの記事を書いているのは、9月6日時点から書いています。もちろん園の落ち度は100%ですが、やや同情的な目線も入っていました
しかし、9月7日の記者会見の様子での日々の対応を聞くとこの事故が起こったことは「必然」であると思ったし、怒りしかありません
保護者も怒りのあまりに倒れるのも無理はないと感じました。あまりに体制がずさんですし、このような事故の確率が高い環境でいままで自分のお子さんが被害にあわなかったのはそれこそ「偶然」だからです
もう一つ切り離して考えたいのは、このような命を預かる職業であるにも関わらず、子どもと関わる保育士などの労働環境は劣悪である言わざるを得ません
給与面で言うとツイッターでもトレンド入りした「手取15万」は保育士のことでであり、地方では10万~なんて話も聞きます
労働環境は職員の努力、考え方で変わるかもしれませんが、国が定めているこの「命を預かる仕事」への評価はこの程度なのです
今回の件は起こるべくして起こったものですが、給与が安いのにどんなに誠実に頑張っていても、「一回の重大事故でここまで追い詰められる労働環境って何だろうな」 という切ない気持ちにはなります。正直な気持ち 割りに合わないのです
報道でもありましたが、「練度の高いスタッフ」を生み出すには「労働環境の見直し」が不可欠です。厚労省、文部科学省の厳重な通達でそうなるなら苦労しません。練度の高いスタッフが生まれる前に、この環境ではこの職業に愛想が尽きるのです
「労働環境の見直し」と、「技術面の基盤づくり」がなければ、今後もこのような事故は続く と少なくとも私は考えています
以上になります
これからも少しづつ投稿していけたらと思っています。
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