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出版翻訳者ミーティングに参加しました。
イカロス出版株式会社から刊行されている業界誌『通訳翻訳ジャーナル』主催の出版翻訳者ミーティングに参加しました。プロの出版翻訳者の方々、編集者の方、さらに出版翻訳オーディションサイト「トランネット」の方が登壇され、出版翻訳に携わるみなさまとの交流会もあるとのことで、迷うことなくリアル会場での参加に申し込みました。
フィクションの部のご登壇者は、英米文学翻訳家の三辺律子さん。翻訳企画の持ち込み方やシノプシスの書き方にとどまらず、海外ファンタジー、児童書、YAの系譜も含めて幅広くお話しくださり、大変勉強になりました。私の場合、翻訳に取り組んでいると目の前にある本と訳文にばかり意識が向きがちなのですが、もっと俯瞰する目を持って、自分が興味のある分野でどのような出版の流れが起きているか、海外と日本の社会で何が起きているか、人々(=読み手)の意識がどう変化しているかなど、訳している作品の世の中における立ち位置や世相の動きに広く気を配っていくことが大切だと感じました。
続く出版翻訳セミナーでは、トランネットの代表・上原さんが、オーディション時の具体的な選考基準や、訳出時に気をつけるべきこと、意識すべきこと、出版翻訳のトレンドなど、なかなか知る機会のない貴重な情報を惜しみなく提供してくださいました。今後の勉強や取り組み方の道しるべとなるとても有益な内容でした。
最後のノンフィクションの部では、英日ノンフィクション翻訳者の児島修さんと、児島さんのお訳書『DIE WITH ZERO』を担当されたダイヤモンド社編集者の畑下裕貴さんがご登場。児島さんの翻訳の進め方や過去の失敗談、書籍を訳す際に心がけておられることに始まり、発売後数年かけて43万部の大ヒットとなった『DIE WITH ZERO』の版権獲得から発売までの流れ、そのなかでの児島さんと畑下さんのやりとり、そして、潜在読者に同書の存在を知らせるため、内容を実際に読んで理解してもらうために畑下さんがほどこされた工夫の数々など、ここでしか聞けないお話が満載でした。児島さんと畑下さんのお話をうかがい、「本を届ける」ことと読み手に対しプロの方々がここまで心を配っておられるのだと初めて知り、自分にはこの視点が足りていなかったことを反省しました。
数時間にわたり3つのプログラムを拝聴して、広い視点を持つこと、受け取り手のことを想像することが、自分にとって今後の鍵になるのではないかと感じました。
その後に交流会もあり、他社の編集者さんも大勢お越しくださったのですが、各社の特色などもきちんと把握していないまま初対面の編集者さんにどんな切り口でご挨拶をすればいいのか、周囲の翻訳者さん、学習者さんとどう会話すればいいのかわからず戸惑ってしまい、めったにない直接交流の機会を十分に生かせないままお開きの時間となってしまいました。相手のお話を聞き、ていねいかつコンパクトに自分のことを伝えられるよう、次のチャンスのために準備していこうと思います。
交流会では緊張してしまいましたが、当日会場に到着する直前に相互フォローさんが「後ほどお話ししましょう!」とメッセージをくださってとても心が温かくなりました(そして実際にお会いできました!)。また、数年ぶりにお会いできた翻訳者さんと書店にご一緒でき、大好きな作品の翻訳者さんにもついにお会いして訳してくださったお礼を直接伝えられ、以前からSNSで存じ上げていた方々ともお話しすることがかない、実り多い1日でした。主催してくださった通訳翻訳ジャーナルのみなさま、ご登壇されたみなさま、そして当日交流してくださったみなさま、本当にありがとうございました。