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2024年8月に読んだ本の感想―今月の1冊は「ぼくの哲学」アンディ・ウォーホル


毎月この記事書いてると「今月も早かったなあ」「あまり本が読めなかったなあ」って思う。

「ぼくの哲学」アンディ・ウォーホル


文庫化したので嬉しくて再読。
スープ缶やマリリン・モンローの絵で有名な、アメリカを代表するポップアーティストが愛について、死について、芸術について、など様々なテーマで語る自伝的エッセイ。次々とアイディアが止まらないような変わった文体で天才アンディの頭の中を覗き見しているような気持ちになる。

アメリカ的価値観に触れられる本でもある。アメリカのいいところは、大金持ちも庶民も同じものを食べて同じTVを見ているところらしい。たしかに~
「雰囲気」の章が大好き。

ぼくの理想の街には長い目抜き通りが1本だけ。交差する道や横道が一切ないから交通渋滞もない。一方通行の長い通り。そこに縦に高いビルがあってみんなが

エレベーター1台
ドアマン1人
郵便箱1つ
洗濯機1つ
ごみ箱1つ
前に木1本
隣りに映画館が1つ

で暮らしている。
目抜き通りはとても幅が広いから、誰かを喜ばせようと思ったら「今日通りでお見かけしましたよ」と言えばいいのだ。

アンディ・ウォーホル「ぼくの哲学」新潮文庫p.212

「プロだけが知っている 小説の書き方」森沢明夫

この手の本もたまには読んでみるか、と思ったんだけどけっこう良かった。
割と無意識にやっていることも多くて整理できたし、いいアイディアだなあ真似してみたい、と思う部分もあった。

個人的には、全く小説を書いたことがない人がこういう本を読んで書き始めようと思っても難しいと思う。全部ちゃんとやろうとすると何も書けなくなりそう。

とにかく長編も短編もひととおり思うままに何か書き上げてみてからブラッシュアップのために読んでみるといいのかも。

「変な家」雨穴

話題になっていたので読んでみた。
ミステリー要素もあるホラーで怖くて面白かった。
けど、比較すると「近畿地方のある場所について」のほうがこちらに迫って来るような感じでぞっとしたかなあ。

「坊っちゃん」夏目漱石

再読。4回目くらいかも? 
高校時代に進路指導の一環で大学出張授業というのがあった。大学の色々な学科の先生が高校にやってきて授業をしてくれたのだけどその中の「日本文学」担当の先生が扱っていたので思い出深い本。
それが面白かったのでやっぱり文学部に進学しようかなと思ったような覚えがある。

清の存在が大事。
最初の1文と最後の1文がすごく印象的な本。でも好みかと言われたら、内容がさっぱりしすぎていて漱石の中ではあんまり好みではないかも。

「硝子戸の中」夏目漱石


そういえば読んだことないな、と思って読んだ。
かなり好み。今月の1冊を「ぼくの哲学」とどっちにしようか迷った。
漱石のような偉大な作家でも今の私たちと変わらない小さなことで悩んだりするんだな、と感じる1冊。
硝子戸の内側でいろいろなことに思いを巡らせている姿につい共感してしまう……


「小説を読んでほしい」と来た人が後から「何かの賞に推薦してほしい」と言ってきたり、しつこく仕事の依頼をしてくる人との書面のやり取りの行き違いがあったり、今だったらSNS疲れみたいなことになっていたり。

生について、死について、漱石は私が感じてはいてもうまく言葉で表現できないことを端的に表現してくれる。

耐えられない苦しみや悲しみが人を輝かせていることもある、みたいな一文。作家さんとかアーティストってそういう感じの人いるかもなあ……↓↓

その人はとても回復の見込みのつかないほど深く自分の胸を傷つけられていた。同時にその傷が普通の人の経験にないような美くしい思い出の種となってその人の面を輝かしていた。
彼女はその美くしいものを宝石のごとく大事に永久彼女の胸の奥に抱き締めていたかった。不幸にして、その美くしいものはとりも直さず彼女を死以上に苦しめる手傷そのものであった。

夏目漱石「硝子戸の中」古典名作文庫p.25


「小さいコトが気になります」益田ミリ

益田ミリさんの本もマンガもすごく好きで、新刊が出るたびに読んでいる。
なんていうか、世界の感じ方が優しくて寄り添ってくれるような感じがして癒される。マンガもシンプルな感じが好み。

こういうのあるある、って思うんだけど自分ではうまく気づけないことを丁寧にすくい上げて見せてくれる。用もないのにお店に入って売っているものを確認したくなっちゃうの、なんか分かる気がする。

私が特に好きな1冊は「お茶の時間」かな。
東京ドームみたいなところでピクニック、してみたいなあ……。

「推しの子」も最新刊まで読みました。
私の推しは黒川あかねちゃんです!


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