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江戸時代のことは、小説やらでしか知らないけど、でもそれなりに幸せそうだと感じてしまう。
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2021/12/25「江戸時代」
作家の宮部みゆき先生が、現代ものの小説を書くと身心が参ってしまい、時々、江戸時代のものを書いて身心を休めるといった内容のことをどこかで読んだ。ただ、どこで読んだかはきとしない。
私はつくづく読む方も同じだと思う。江戸時代ものの小説はほんとうに心身が休まる。
メンタル障害を患い、病気休暇や休職を余儀なくされたとき、江戸時代には随分助けてもらった。
読書をすればインナートリップにいざなってくれる。名も無き長屋の面々はみんな幸せそうで、事件があってもへっちゃらだ。猫が助けてくれたり、あやかしもイキだったりする。
いつのまにやら自分が主人公になっていて、頭を掻き掻きみんなに助けられ事件を解決する。
時には火消の組頭になったり、自分の妻も和服を着て登場する。
現実の世界では酒を一滴も飲めないのに、居酒屋の別嬪女将にいれあげてしまい、彼女の態度に一喜一憂してしまう。
本当の江戸時代を誰も生で見たことはない。でもそれなりに幸せそうだと感じてしまう。
現代からさかのぼること百年以上、電気などもちろん普及しておらず、化石燃料のような効率的なエネルギーもなかった。便利な素材もなかった。時を計ることもできなかった。言わずもがなだが、デジタルの類いは当然無い。
経済規模は今とは比較にならないほど小さかった。でも小説の限りかもしれないが、登場人物達はみんな幸せそうだ。
もっとさかのぼって石器時代でも縄文時代でもいい。その時代の者たちは経済規模の分しか幸せではなかったのか。
逆に現代人はどうだろう。空前の物質文明を享受し、人によっては人生を何千万回も遊んで暮らせるだけのカネを手にした者さえいる。
物質やカネを手にした分、幸せになったのだろうか。
そんな物質文明は経済という化身に魂を売って買ったもののように見えて仕方ない。
売っちまったものはなかなか買い戻せるものではない。
人間の生きる意味を考えると高い月謝だったで済まされるものではない。
なんてことをしたんだろう人間は。
厄介なのは自分の魂だけではなく他人の魂も許可無く売ってしまったことだ。(つづく)