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毎日走る。話したことのない、あなたへ。

おはようございます。

僕は、毎日5:45に走り始めます。
今は真っ暗。
同じ時間、同じ人にあいます。

始めの直線で、自転車に乗ったおばあさんに出会います。
「おはようございます。」と挨拶するけれど、おばあさんの目は、遠くを見つめています。ひとこぎ、ひとこぎ、大切に自転車を前へと進めています。

次に出会うのは、大きな犬を連れたおじいさん。
セントバーナードっていうのかな?品のある大型犬を連れています。
「おはようございます。」と恐る恐る挨拶するけれど、犬はワンとも言わず、おじいさんは、リールに力を込めることに集中します。

新聞配達のおじさん。なぜか、神社の駐車場でスマホを触っているお爺さん。必ず、すれ違う派手な色のセダンの車。

毎日、僕らは、出会い、言葉を交わすことはないけれど、お互いの存在を認識し、日常の歯車を回す。

時折、出会わないあなたの体調を心配したり、今日はお出かけかしらと、詮ない想像をしてみたり。

空には、月が残っています。ひんやり、ツンとした朝日を待つ空を星が彩ります。
一歩一歩、トントントン。同じリズムで走ります。
自分が、暗闇に溶けていきます。
僕というものが、他人から見えない存在、いや、ただの風景へと変換されていくのです。

毎日、同じ時間に、トントントン。



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