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日記・エッセイ

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日々の日記、または過去のエッセイ。
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#毎日note

エッセイ#44『ほんとにあった夢十夜⑤』

 こんな夢を見た。  その理由は恐らく寝坊かと思われるが、私は古本屋のアルバイトに遅刻をしてしまった。今まで無遅刻無欠勤を守り通してきたが、アルバイト3年目にして初めてこのような失態を犯してしまった。  アルバイト先である店舗は、自宅から自転車で30分程の所にある。しかしながらその時の私はなぜか、徒歩での出勤を試みてしまった。特に焦っている様子も感じられない。  過去に自転車に乗る夢を見たことがないことからも、もしかすると私の夢には自転車が存在しないのではないかと予想される。

エッセイ#43『ほんとにあった夢十夜④』

 広い荒野の真ん中に、私は独りぽつんと立っていた。  まるで『北斗の拳』の世界を再現したかのような土地に、訳もわからず立ち尽くしていると、突如として大量の昆虫が現れた。ムシは苦手だ。特に、芋虫や毛虫、ムカデやヤスデなんかは、その文字を見ただけで虫唾が走る。  しかしその昆虫の大群は次の瞬間、またしても突如としてやって来た屈強な男達によって捕獲されてしまった。私は思わず「助かった……。」と安堵の声を漏らしたが、これで終わりではなかった。なんと男達は、彼らの手に握られた昆虫を舌で

エッセイ#42『口内炎』

 私は過去に、大病を患ったこともなければ、これと言った大怪我もしたことがない。中学1年生を最後にインフルエンザにも罹っておらず、虫歯もほとんど出来たことがない。花粉症でなければ鼻血も出ないし、便秘になってこともなければ、アレルギーもない。つまり、目を見張る程の健男児である。  そんな私は現在、とある症状を抱えている。その名はズバリ、口内炎だ。  遡ること4日。その日私は朝6時に起床し、その直後に口内に嫌な違和感を覚えた。口内炎が出来ていた。  この時はそこまでの大事だとは感

エッセイ#41『同姓同名』

 佐藤雅彦氏の『考えの整頓』には「もう一人の佐藤雅彦」というエッセイが収録されている。自分と同姓同名に人が街にいて、それがきっかけとなり面白い勘違いが起こる、といった内容だ。  その作中には次のような文が登場する。  私の本名はやや特殊であり、同じ字を書く人にも同じ読み方たをする人にも出会ったことがない。それどころか下の名前に関しては、現実でもフィクションでもほぼ見掛けたことがない。「ほぼ」というのも、一度だけとあるドラマに私と同じ名前を持つ赤ちゃんが登場したのだ。その時の

エッセイ#40『ほんとにあった夢十夜③』

 こんな夢を見た。  私はなぜかラジオブースにいた。どうやら朝のラジオ番組の生放送らしく、ブース内には朝特有のゆったりとした空気が漂っていた。  この空間において、私の立場はラジオパーソナリティでもゲストでも、はたまた放送作家でもない。ただただそこにいるだけで、動くことも話すことも出来なかった。こんな不自然な状況なのに、目が覚めるまでは夢だと気付かないのは一生涯の謎である。  私の隣には日替わりのゲストが座っていた。そこにいたのは、某女性アイドルの”I”である。彼女は私と同

エッセイ#38『ご長寿』

 皆さんは「きんさんぎんさん」をご存知だろうか。正直なところ私はこの2人のことを、そこまでよく知らない。  と言うのも、「きんさん」こと成田きんさんは平成12年の1月に、「ぎんさん」こと蟹江ぎんさんは平成13年の2月に天寿を全うしている。筆者は平成13年の3月生まれなので、2人が生きていた時代を生きていないのだ。  そのため私にとっての「きんさんぎんさん」はテレビの中だけの存在であり、狩野英孝や山西淳よりも遠い存在である。狩野英孝と山西惇は、生で見たことがあるからだ。ちなみに

エッセイ#37『古本屋の思い出-後篇-』

店長 私のアルバイト史上最大の転機が訪れたのは、大学4年の初夏のことである。これまで店長を務めていた船橋さんが、職場を移動することになったのだ。  いつも通り漫画の棚入れ作業をしていると、80円コーナーの本の何冊かが背表紙を上に向けた状態で置かれていた。また誰かがイタズラをしたか、本が独りでに動き始めたのだろうと思い、元の状態の戻すと、全く面識のない男性に声を掛けられた。  「おーい、それ戻しちゃ駄目だよ~」  そう言ったのは「エリアマネージャー」を名乗る人物で、スマホのよ

エッセイ#34『古本屋の思い出-前篇-』

まえがき 本日をもって古本屋のアルバイトを辞めた。初出勤は大学1年生の夏のことだったので、もうかれこれ3年半の月日が経過したことになる。  始めた理由は本が好きだからでも、家から近いからでも、時給が良いからでもない。ただただ人との会話が苦手だからだ。居酒屋やコンビニは「見知らぬ相手との会話」が必ず発生する上に、何だか業務内容も大変そうだ。私には絶対に務まらない。「人との会話が少なさそう」を条件に求人サイトを見ていたところ、目に留まったのが古本屋のアルバイト募集だった。  先程

エッセイ#32『20円のボールペン』

 だいたい1ヶ月くらい前に、アルバイト用に20円のボールペンを購入した。よく百均に売っている5本で110円のボールペンのような、キャップが付いているタイプのものではなく、歴としたノック式のボールペンである。私は目を疑ったが、書ければ何でも良かったので、試しに買ってみることにした。  書き心地は、決して良いと言えるものではなかったが、全く書けないということはない。アルバイト先の点検表にサインをしたり、メモを取ったりする程度には充分役に立つ。凄い。凄いが、怖さの方が若干勝っている

エッセイ#31『保存の法則』

 最近、ちょっとした不運に見舞われ続けている。  卒論の参考文献を探しに、遠く離れた街の図書館へ行けば休館日。その帰りにマクドナルドへ寄れば長蛇の列。マイナンバーカートの申請をすれば、顔写真の余白が少なくてやり直し。デパートのトイレでコートを着たら、袖を抜けた手が壁に当たって怒っている人みたいになるし。舞台のチケットを取ろうと思えば、アクセスが集中しすぎてサイトを開けくことも出来ず。やっと繫がったと思えば、予定枚数終了の表示。イヤホンは壊れるし、手袋は友人の車に忘れる。