できないことじゃなくて、できることを探して伸ばす/ドラマで学ぶ子育て
お子さんは決してできないお子さんじゃありません。
できることが、こんなにたくさんあるんです。
日本テレの土曜ドラマ「二月の勝者」を観ています。原作はチラ見したのみですが、「おお!原作のビジュアルまんまじゃん黒木蔵人!」な柳楽優弥さんに期待度急上昇→コロナ禍の影響で放映延期→で、ようやく観れる!って楽しみにしていたドラマです。
我が子は2人とも中学受験はしてませんが、中学高校と保護者として過ごしてきて、コロナ禍では特に公立の限界を感じることもありました。(学校も先生も頑張ってると思うのですが…)
そんなこともあり、ドラマの軸は中学受験ですが、子育て、教育について感じることも多いこのドラマ。
(↑ドラマの公式サイトはいずれ無くなる可能性もあるので、原作コミックのリンクを貼っておきます)
知らない世界を教えてあげるのが大人の役目
第2回のメインは、一番下のクラスに在籍する電車好きの男の子、❘匠《たくみ》くんのお話。成績も上がらず本人も親御さんも、中学受験も塾もやめたいと言う面談の席でのスーパー塾講師、黒木蔵人の言葉が親心に刺さりまくりでした。
受験をやめて自由な時間があったら何がしたい?という質問に、(たぶん電車関連の)MYチューブ=動画が観たい、という匠くん。溜息をつく両親(勉強じゃなくて動画か…という感じのガッカリした表情)。
そこですかさず電車の動画を見せる黒木先生。この動画は中学生が作っていること、私立中学の部には鉄道研究会のような部活もあること、しかも鉄道関係の部活がある学校は少なくないこと、などを伝えます。匠くんの目がどんどん輝いていくのがわかります。やる気スイッチオン! あー、この自分の好きなことの話になったとたん、目がキラキラする感じ、子育てあるあるです。子供がまだ体験してない「楽しい未来」を教えてあげるのも大人の役目だとも思うのです。
できないことじゃなく、できることに目を向ける
大好きな鉄道に夢中になれる環境があること、鉄道好きの仲間がいる場所があることを教えてあげた黒木先生。しかし鉄道関連の部活がある学校は偏差値60以上がほとんど。匠くんの偏差値は40台。無理だと言う両親に、黒木先生は匠くんのテストの成績を見せて言います。
確かに点数も偏差値も低い。だけど社会の「地理分野」は8割取れている。この分野だけなら偏差値70。算数も、鉄道関連の時間の計算などは正答率がとても高い。
お子さんは決して「できないお子さん」ではありません。よく見てください。できることがこんなにたくさんあるんです。
そうなんです! これよこれ! 黒木先生の名言出ました!
これは子育てで最重要といってもいい考え方だと思うんです。
勉強に限らず子育てに限らず、人はできないことについ注目してしまうけど、実はできてることがいっぱいある、という考え方は、昔、アドラー心理学でかなりよく聞いていました。アドラー心理学の子育て講座では、当たり前のようにできていることを探す、欠点に見える気質を長所に置き換える、というワークをします。この話はまた別の機会に。
何かに熱中できる子は強い
ドラマの話に戻ります。
電車の種類や時刻表、電車のことならメチャメチャ細かいことまで覚えている匠くん。その記憶力を活かせば、ほかの科目も十分伸ばせる可能性がある。
そういえば「ドラゴン桜」でも何かに熱中した経験のある子は、東大に行ける=勉強にも活かせる可能性がある、というセリフがありました。
(↓ このセリフは「1」の中のセリフですが、最近ドラマ化された2のリンクを貼っておきます)
匠くんの場合は電車でしたが、何か夢中になれるものがあれば、それを勉強に転換できる。生き物が好きなら生物分野から伸ばす、絵を描くのが好きなら絵に描いて覚える。マンガが好きなら歴史マンガや、科学系のマンガを読んでみる。スイッチの入れ方さえ教えてあげれば、「学ぶことって面白い」って思える子っていっぱいいるはず。ここにスイッチあるよ~スイッチはこうやって入れるんだよって。
黒木先生のプレゼン力のすごさ
やる気がしぼみ切ってた匠くんに、ずんずんスイッチを入れていく黒木先生の流れるような話の持っていき方が巧みとしかいいようがないのですが(匠くんへの話だけに巧み…たくみ…すみません昭和な人間なのですみません)
黒木先生は、お母さんの苦労までねぎらいます。
・塾に持たせる塾弁=お弁当作りの手間
・大量のプリント整理
・夜遅い塾帰りをいつも心配してること
お母さんは息子さんに我慢させて受験を無理強いしてる、苦労させてると後悔してるかもしれませんが、苦労してるのはお母さんも一緒です、と声をかけると、お母さんはほろりと涙…泣けるよ―泣いちゃうよー。私もウルっとしてしまった。そうなんですよ、お母さんのがんばりってなかなか見えづらくてなかなかほめてもらえない。だからこうやって思いもかけない人から、頑張ってますねって言われると泣きたくなっちゃうんです。私はだから普段から自分で自分をほめて、お母さんえらいよね!って言っちゃう(笑)。でもやっぱり頑張ってるねって言われると嬉しいものなんです。みなさま、そこんところよろしく!by矢沢永吉 誰に言ってるんだ。
「できない子」なんていない
面談のあと、黒木先生が、塾では新米の佐倉先生(井上真央)に言った言葉も刺さります。
勉強が楽しくなければ受験勉強じゃない。
あなたは子供たちに、勉強の苦しさばかり教えてませんでしたか。
子どもを切り捨てることはできない、と言いながら本心では無理だと思っていたんじゃないですか。
あなたは私に勉強ができない子の気持ちがわからないのかと尋ねましたが、私は誰ひとりとして「できない子」だと思ったことはありません。
あとで佐倉先生が振り返ります。
私は、子供がどこでつまずいているか、できないところがどこなのかばかり見ていた。できるところはどこか、を見てあげなきゃいけなかった。
できないところじゃなくて、できることに目を向ける
もちろん、受験とあれば、できないところを見ないまま、というわけにもいかないと思いますが、まずはできるところに目を向けて、ここができてるよって言ってあげるだけでも子供のスイッチになるんですよね。できることは本人にとって当たり前で「人よりできることなんだ」って気が付かないものだから。
ちなみにうちの娘たちは絵が好きで絵ばかり描いているのですが、母である私は絵心がないので、そんな絵を描けてすごいねーと言うと、え、こんな絵描ける人ほかにもいっぱいいるじゃん、って言うことも多かった。娘たちにとって絵を描くことは息をするように勝手にやってしまうことだから。でもやっぱり褒められると嬉しそうなんですよね。ドラマの匠くんだって電車の名前を覚えるのも時刻表を覚えるのも、好きだから勝手にやってしまうことなんですよね。でもそれが強みになるって知ってスイッチが入った。
できないところに目をむけず、できることに目を向ける。
大事なことだから何度も書いておく。そうは言っても子育てしてたら、できないことに目が向いて、怒っちゃったりするんですよね(汗)。母親だもの。byみつを でも普段からできてることはないか~できる子はいねが~となまはげ母となって探せば、子供のできてることいっぱいある! 自分にはできないけど子供ができてることもいっぱいある! できるだけ子供のやる気スイッチを見つけていきたいとドラマを観て改めて思った次第です。
面白いドラマから受け取れるものはいっぱいある!
原作のコミックは1,2巻をだいぶ前に読んだきり、なのでドラマを観ると原作と比べてみたい気持ちにかられますが、いったんドラマを楽しんでその後、原作イッキ読み!をしたいと思っています。
しかし最後の展開、黒木先生どんな秘密が? 次回につながる思わせぶりなラストが気になる!来週も楽しみです。今回のツボは黒木先生の高速自転車漕ぎでした。あのビジュアルで面白すぎだよ!