【映画メモ】関心領域
人間の関心の先にある光と影。
その光の部分だけを観て、影には目もくれない。
そんな印象を持った。
『収容所の隣の幸せな家族』の話でありながら、
収容所そのものの描写はなく
あくまで家族の視線や表情や
家の隣の建物から上がる煙は物音のみ。
"収容所"ではなく
あくまで"家の隣の建物"という説明がしっくりくる。
だってそこは関心の領域外だから。
まるでそこに収容所があることを忘れてしまうほどに
ただただ幸せな家族の触れ合いが描かれてた。
子どもたちはそれが何なのか本当に理解しているのか
父親の仕事が何なのかわかっているのか
妻が「理想の家」と言ったのは本心からなのか
「子どもと一緒に残る」と言ったのは本当に子どもたちのためになったのか
妻の母が去った理由を心から理解できていたのか否か。
家族は全て知ったうえで、あれほど幸せに暮らしていたのか。
それとも"幸せ"を演じていたのか。
少し前に観た
『縞模様のパジャマの少年』に出てくる妻とは真逆の人間性が少し恐怖でもあった。
冒頭の不協和音にしろ、劇中の真っ赤な画面にしろ、
不安を煽るような演出も相まって
鑑賞後はなんとも言えない後味だったけど、
それでも映画館で観れてよかった。
いつかアウシュビッツをこの目でしっかり見ておこう。