韓国水安堡旅行#03.オルゲンイグク~二日酔いにも効くカワニナのスープ~
前回記事の続きです。
忠清北道(충청북도)忠州市(충주시)に位置する水安堡(수안보)は、古くは高麗王や朝鮮王にも愛された韓国最初の天然温泉地です。
山に囲まれた自然豊かな土地柄、昔からキジ肉が郷土料理として親しまれていますが、オルゲンイ(올갱이)と呼ばれる小さな巻貝の「カワニナ」を使った料理も有名です。なかでも、二日酔いの解消に効果があるオルゲンイグク(올갱이국)のお店は、キジ料理専門店同様、街中にありました。
付け合わせ(반찬)はキムチと山菜
オルゲンイグクを注文するとすぐに、付け合わせの小皿が並びました。
左下から山菜のお浸し、山クラゲの和え物、茹でたニラを大豆の粉で和えたもの、白菜キムチ、青唐辛子のピリ辛和え、カクテキです。
わたしはこの、山クラゲと玉ねぎをすりえごまで和えた料理が大好きです。コリコリとした食感が魅力的で、味や香りは強くないため、えごまの風味を十分に堪能できる一品でした。
山クラゲは、ステムレタスという茎レタスの仲間を乾燥させたものだそうで、韓国語ではグンチェ(궁채)、またはチュルギサンチュ(줄기상추)やサンチュチュルギ(상추줄기)と呼ばれています。見掛けることが少ないため、たまにこうして付け合わせで出てくると、このお店は当たりだと思わせる貴重な食材です。
こちらの山菜ですが、名前は分かりません。水安堡は山々に囲まれているため山菜が豊富です。初めて見るものも多く、そのため名前を知らないものがほとんどでしたが、その分、興味深かったです。
オルゲンイグク(올갱이국)
ご飯とオルゲンイグク(올갱이국)が運ばれてきて、本日の昼食が出揃いました。
オルゲンイ(올갱이)とは
オルゲンイ(올갱이)は淡水に生息する小さくて細長い巻貝で、日本語では「カワニナ」と呼ばれています。また「オルゲンイ」は忠清道の方言で、標準語では「タスルギ(다슬기)」と言います。
カワニナには、タンパク質、カルシウム、鉄分、ビタミンA、アミノ酸、糖質、リン、脂質が含まれ、以下のような効果があると言われています。
肝機能の改善と二日酔いの解消
身体の熱を放出・渇きの改善
大小便の排泄
眼の疲労・視力の改善
神経痛など痛みの緩和
貧血の改善
このように様々な効果があるカワニナですが、生で食べないのはもちろんのこと、お腹を下しやすい人、下腹部が冷えやすい人は食べ過ぎないように注意が必要です。これは、陰陽五行説ではカワニナは「陰」の性質を持つ(=身体を冷やす効果がある)ためです。そのため、普段から冷えが原因でお腹を下しやすい人は、温かい性質を持つニラと組み合わせて食べることで性質を中和させるのが良いとされています(『제철 ‘다슬기’ 아미노산 풍부해 간 기능 회복 도와』より)。
さて、話は戻り――。
下茹でしたカワニナを一つひとつ殻から取り出し、野菜と一緒に茹で汁で煮込んだのがオルゲンイグクです。小さなカワニナの身を手作業で取り出して作る手間暇の掛かった料理です。
味噌の風味がほのかに香るスープは、比較的さっぱりとしていました。貝の出汁が効いていますが臭みはなく、とても食べたやすかったです。
辛いのが好きな人、または途中で味を変えたい人には、唐辛子を入れるのがおすすめです。
みじん切りにした青唐辛子は強いシャープな刺激とすっきりとした後味を与え、赤い唐辛子はじんわりと効いてくる辛さを演出します。
◇◇◇
オルゲンイグクとおかずの調和が素晴らしい食事でした。
カワニナはスープ料理だけでなく、野菜と和えて酢コチュジャンで味付けたオルゲンイムチム(올갱이무침)、チヂミのオルゲンイジョン(올갱이전)などがあります。
機会があれば、ぜひ召し上がってみてください。
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