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映画レビュー:トップガン★★★☆☆

──酎愛零が映画「トップガン」を観て感想を書く話──


 管制官のコーヒーこぼしはもはやダチョウ倶楽部レベルのお約束芸。


 どうも、スマホを持ち忘れて出勤し、解放感に満ち満ちていた私です。


 今回はAmazonPrimeで映画「トップガン」を観ました。
 まあ、きっかけはもちろんあれです。2022年6月5日現在、映画館で公開されている「トップガン:マーヴェリック」の評判が良いようなので、前作を観てみようと思ったんですね。


 結論から言いますと、5点満点中、3点。

 圧倒的なトム・クルーズ礼賛映画。戦闘機もドッグファイトもバイクもライバルもロマンスも挫折も復活も、すべてトム・クルーズをおいしく鑑賞するための装置です。人間讃歌はトムの讃歌ッ!ストーリー?知らない子ですね……


■あらすじ

 インド洋上の空母で防空任務に当たるピート”マーヴェリック“ミッチェル大尉は、一騎当千の艦載機乗り。その彼が空戦のエリート中のエリートを養成する訓練学校「トップガン」へ招聘される。そこで自分と同じく凄腕のパイロットたちと切磋琢磨するが、直感で戦闘機を操縦し、エゴイスティックで協調性もない彼は扱いにくい存在となってゆく。美しい教官チャーリーと恋仲になり、甘いひとときを過ごすマーヴェリック。しかし直後の訓練で、自らの無謀な操縦が招いた事故で良き理解者であった相棒グースを失ってしまう。失意の底にあるマーヴェリックは、その時の恐怖がフラッシュバックして以前のような奔放で天才的な飛行ができなくなってしまっていた。そんな時、インド洋での実戦任務がトップガン卒業生たちに言い渡される……


(※ここからはネタバレを含みます。ネタバレが嫌な方はブラウザバックでお戻りください。)









■良かった点

・ていねいな戦闘機の描写、撮影

 1986年の公開当時に現役だった戦闘機たちの魅せ方が秀逸です。そこにつけてるのかーい!(≧▽≦) というところにカメラをとりつけており、私のような航空兵器好きなら大興奮することうけあい。主人公の搭乗する機体がF-14トムキャットというもので、艦上戦闘機としては格闘能力=ドッグファイト=戦闘機同士の空中戦に優れているので、挙動にいちいち華があります。可変翼機構をもち、大きな機体ながらスピードと身の軽さを兼ね備えたドラ猫トムキャットの勇姿を存分に拝むことができます。


・主要キャラクターが立っている

 自信に満ちて天才的だけど協調性のない主人公(当然ハンサム)、お調子者で主人公の良き理解者の相棒、理知的で美人なヒロイン、冷静沈着な性格で皮肉屋のライバル、厳しくも確かな手腕で主人公を導く上官と、ひと通りのキャラクターが揃って立っています。キャラクターが立っていると、物語がわかりやすいんですよね。特に相棒のグース。マリオかな?と思うほどの高音で笑い、既婚者ながら主人公と一緒にバカをやる、愛すべきキャラクターとして仕上がっています。あと、ライバルのアイスマン。最初は嫌味なエリートキャラかと思いましたけど、実は彼の言っていることは全部正しいのです(・∀・) 主人公よりむしろ彼の方が信頼できる。この二人がいちばん好きかも。


・指導教官がちゃんと強い

 指導教官の腕前は、エリート養成学校に集った猛者たちのさらに上を行きます。教官たちが仮想敵を演じ、学生たちがそれと戦うという訓練なんですけども、教官たちが乗っているのってA-4スカイホークなんですよね。A-4のAってアタッカーのA、つまり迎撃戦闘を行うF-14と違い(F-14のFはファイターのF)、格闘能力の劣る攻撃機なんです。しかもこの時点でもかなり型が古いという。そんな旧式で当時の最新鋭戦闘機を振り切り、あまつさえ仕留めてしまうというのですから、教官たちの凄さがちゃんと伝わってきますね。安易に主人公無双をさせない作品は好感が持てます。


・神曲の数々

「アンセム」「デンジャーゾーン」「愛は吐息のように」「マイティウイング」など、いちど聴いたら忘れられない神曲ぞろいです。ああ、トップガンの曲だったのね、というシーンもしばしば。


・スタイリッシュで美しい映像

 序盤の、オレンジ色の空を背景にほぼシルエットで空母への艦載機の離発着を映しているシーンが、いつまでも眺めていられるほどキレイでした。ここで流れるアンセムがまたベストマッチなんですよ〜



■残念だった点

・主人公のキャラクター造形に無理がある

 自信に満ちて天才肌、協調性なんて眼中には無い、ルールは破るためにある、簡単に言えば、主人公のキャラクターはこんな感じです。こんな戦闘機パイロット、というか軍人がいるか!言わずもがな、軍隊は規律なくしては機能し得ない組織です。フィクションということを差し引いても、こんな奴おらんやろ……となってしまいます。あらゆる創作において、「いや、そうはならんやろ」と「いや、こんな奴おらんやろ」とのどちらかを思わせてしまったら、それは失敗ということになると思います。


・主要キャラクター以外のキャラクターが薄い

 ライバルのアイスマン以外の同僚たちの影が薄すぎて誰が誰だかわかりません。しかも戦闘シーンではヘルメットに酸素マスクを着用しているのでなおさら判別が困難(だからヘルメットにコールサインを描いているんですね)。最終盤、失ったグースの代わりに複座の後ろに乗せるレーダー員の描写が無いまま誰かいつの間にか搭乗しており、ヘルメットに描かれたコールサインを見て(マーリン……?誰?)となりました。見返してみたら、序盤に登場した僚機のレーダー員でした。いや知らんから。


・音楽の魅力を(効果を)潰してしまっている

 個人的に最もダメだと感じた点。神曲であるアンセムを安易に使いまわし過ぎていて、ありがたみ大幅減。いや、この使い方はないでしょ。ここぞというときに使ってなんぼの神曲でしょ。オープニングでオレンジ色の空を背景に艦載機の離発着に使った曲なら、エンディングで任務を果たして、夕焼けの空の中、帰還した主人公たちの着陸シーンに流してこそ効果を発揮するものであって、それ以外で流していいものではないでしょう。


・戦闘シーンが見づらいし意外と少ない

 ガチャガチャしててちょっとぶつ切り感が強かったですね……まああんまり長く見せるとまずい理由(模型だとバレちゃうとか)があるんでしょう。あとは予算の問題ですかね。


■総評

 ツッコミどころは多々ありながらも、映像の迫力と音楽の力で観られる作品。ストーリーなどあってないようなもの、トム・クルーズのイメージ映像作品だと思って観るのが正しい鑑賞法だと思います。個人的にはふてくされてガン無視を決め込んでバイクで逃走したトムを、猛スピードで交通法規を蹴散らしてオープンカーで猛追するヒロインが怖かったのと、観ているこちらが心配になるくらい登場する男たちが汗をかいていることが印象に残りました。

 正直に言って、ストーリーのどうでもよさ、キャラクターの荒唐無稽さ、音楽の安易な使い回しが目立ち、イメージ映像以上のものではありません(私も何回か早送りしました)。それでも公開当時、アメリカでは海軍を志望する若者が激増したというのですから、イメージの力おそるべし、というところでしょう。今から30年以上前にこの映像を撮れたということも驚異的です。上向いていた時代の勢いというものを感じますね。


 というわけで星三つ!カッコいい映像と神曲を楽しめます!私もあのヒロインみたいにバドワイザーらっぱ飲みしたい!✧◝(⁰▿⁰)◜✧ 


映画評価基準……
★★★★★:何度でも観たい
★★★★☆:ぜひ観たい
★★★☆☆:観ても損なし
★★☆☆☆:一度観ればいい
★☆☆☆☆:観なくてもいい
☆☆☆☆☆:お金を捨てたいなら






今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それでは、ごきげんよう。

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酎 愛零(ちゅう あいれい)
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