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「生きがいは大切」と学んだ短編【藍を継ぐ海】伊与原新著
科学の知識を織り交ぜながら
その土地の歴史や人々の生活が
描かれていると感じました。
著者の本を読むのは初めてです。
科学の知識と登場人物の描写の
バランスがいいと感じました。
今回は5つの短編のうち、『星隕つ駅逓』より印象に残ったことを取り上げます。
・隕石への情熱
隕石について情報交換をしている「日本流星ネットワーク」の投稿者たちの情熱に驚かされました。
彼らは専門の研究者ではなくアマチュアです。
専門家顔負けの機材を持っています。
隕石を探すためにわざわざ県外から、
物語の舞台である北海道遠軽町に訪れます。
そこのメンバーたちが交代で宿泊することになりました。
住民で郵便局員の信吾や
その家族にまで隕石の捜索を依頼しました。
・父のために嘘をつく娘
信吾の妻である涼子は、
父である公雄のことを心配していました。
涼子の母は癌で亡くなりました。
父は定年退職が迫っており、それと同時に長年働いていた郵便局の閉鎖が決まりました。
生きがいを2つも失って、
父がどうなるかを心配しています。
現に公雄の生活習慣や身なりが乱れています。
生きがいをなくした人がどうなるかと考えると、
涼子の気持ちに共感しました。
詳述は避けますが、
父が大切にしている野知内という土地の名前のために、嘘をつきました。
・あるきっかけで父は回復
公雄は最終的に回復しました。
「日本流星ネットワーク」の人たちや
隕石をきっかけに交流があった学芸員に
野知内について話します。
父は祖父から3代にわたって
野知内郵便局を大切にしてきました。
興味を持ってもらえたのが大きかったようです。
・感想
「日本流星ネットワーク」の人たちは隕石、
公雄は野知内という町が
生きがいということを実感しました。
生きがいがあると、生活に張りが出ると
彼らを見て改めて感じました。
そうでもなければ、「日本流星ネットワーク」の人たちもわざわざ北海道の遠軽町まで来ないでしょう。
生きがいを失いそうになった公雄の回復を見て
特に年を取ると、より生きがいが大切と実感しました。
以上、ちえでした。
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