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3回結婚する女性【しろがねの葉】千早茜著

「銀掘は長生きできない。ここの女性は3回夫を持つ」

この本を読む前、あらすじで知りました。
「どういうことか」と疑問に思いました。

銀堀だけではなく、炭鉱で働く男性にも通じますが、病気で長生きできないことを意味していました。


・男も女も覚悟してる

主人公ウメの2人の夫は病気で亡くなりました。
さらに銀堀をしてた息子たちも先に亡くしました。残ったのは自分と娘だけです。

この描写を見て、銀掘りの男性を夫に持つことは
彼らを見送ることを意味すると実感。
最初の夫である隼人が、
病気で先が長くない時にウメにこう言いました。
「龍(次の夫)と結婚しろ」と。

今の時代では考えられませんが、
自分が病に冒される中で、
残された自分の家族が路頭に迷わないように、
彼らなりに考えていると感じました。

ウメが親のように慕った喜兵衛は
「男は女がおらんと生きていけんのじゃ。おまえも直にわかる」とウメに言いました。

この言葉に対して、後になってからウメは
「女も愛する男がいないと生きていけない」と言っています。

銀掘に行く男性も、その家族である女性や子供たちも覚悟をしていたことが伺えました。

ある日、 Twitter を見ていたら
「今の男にとって結婚や女は必要ない」と
何かのアンケートを引用して
主張していた人がいました。
返信を見たら賛否両論です。

読了後にこの投稿を見たので
「400年前と比べて、人間の本質がそこまで変わったのか」
「男も女も、互いをいらないと切り捨てることができるものか」
そんな疑問を感じました。

・女への変化を受け入れる

ウメが喜平のところに来たのはまだ幼い頃。
子供の頃なら、男も女も見分けがつかないので
銀掘の現場に行ってました。

しかし、(推定)10歳過ぎると足に肉がつき、
胸も膨らみました。第二次性徴期です。

おそらく生理が来たと考えられます。
おとよという女性から教えてもらって
理解することができました。
それまでは「自分の体がおかしくなった」と
戸惑ってました。

今も昔も先人から教えてもらうことで、
理解していたと感じました。

隼人と結婚してから、近所の主婦たちと
井戸端会議をするようになってました。
徐々に自分の状況を受け入れているように見えました。

・感想

芥川賞・直木賞の候補作が発表された時に、図書館で受賞作を予想するイベントを開催さるてました。

当初、直木賞の作品は単行本化されていたので、
既に発売されてました、借りられていたため、
事前に読めず。
芥川賞の作品については、
文芸雑誌しか手掛かりがない時期でした。

作品のタイトルと簡単なあらすじを見て
直感で投票。全く読んでませんでした。

芥川賞の方は、鈴木涼美さんの『グレイスレス』、
直木賞の方は、こちらの作品に投票しました。


後から新聞の論評や文学YouTuberさんの発信を見て、「別の作品の方が良かったかな」と頭をよぎりました。
蓋を開けたら、こちらが受賞したので驚きました。

戦国時代末期の石見銀山で生きた女性の一生を通じて、学んだことは2点。
「男も女も、お互い必要」
「第二次性徴期の変化は、先人に教えてもらってから受け入れが始まる」と学びました。

以上、ちえでした。
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