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文章を書くことの力を感じた一冊【アンネの童話】アンネ・フランク著、中川李枝子訳、酒井駒子絵

以前『アンネの日記』を読んだことがあります。
実は日記だけでなく童話も残していました。

こちらの本は、14の童話と16個のエッセイで構成されています。
1943年7月〜1944年3月に書かれたものが収録。

この頃、アンネ・フランクは
隠れ家で潜伏生活を送っていました。

13歳の誕生日プレゼントに日記帳をもらって
3週間後に隠れ家生活が始まりました。

書くことでアンネは救われていたのかと思いました。

こちらの作品は、
メロディアスライブラリー2018.4.29放送されました。


・書くことで癒していた

アンネの日記を読んだ時も同じことを考えました。

童話やエッセイという形で文章を書くことで
窮屈な隠れ家生活を乗り切っていたのではないかと感じました。

「エファの見た夢」「妖精」のように、
理想の世界を描かれた物語もある一方、
エッセイでは、学校生活や隠れ家での生活について書かれていました。

隠れ家にいる間は、見つからないように
平日の日中は物音を立てないように過ごしてました。
会話も気軽にできなかったでしょう。

書くことで話し相手を見つけていたように見えました。

・書くことで空想ができた

妖精や天使が出てきたり
「小熊ブラーリーの冒険」のように動物が出てくるお話もあります。

「ファンタジーを書いていたんだ」と思いました。

「小熊ブラーリーの冒険」を読んで
動物が旅に出ている空想をすることで、自分自身も旅気分を味わっているように見えました。

当時、ユダヤ人のアンネは、
警察に見つかったら強制収容所に送られるため、
死と隣り合わせの生活を送っていました。

空想をすることで、
現実から離れられたと感じました。

・書くことで自分自身を内省できた

「キャディー」を読んで思ったことがあります。

主人公キャディーの両親との関係性が
アンネに似ていると思いました。

『アンネの日記』では
父親とはうまくいっているものの、
母親とは折り合いがよくないことが伺えます。

キャディーは交通事故で大怪我をします。
回復した後に日記を書くようになりました。

キャディーは感覚や思考力や意見を持つひとりの人間で、ほかの人とは違う、キャディーはキャディーなのです。

アンネの童話 p118

「まるでアンネみたい」の思いました。
主人公キャディーに投影しているかのようです。

・感想

「もし戦後生き延びていたら、どんな作家になっただろうか?」
そう思わずにいられません。

私を含めて世界中に多くの読者がいます。
15歳で亡くなったけど、世界中の人の心でいつまでも生き続けています。

当時亡命していたオランダ政府から
「戦時中のことを日記など、記録に残すように」と呼びかけられていました。
今の時代の私たちに、何が起こったのか伝えるためでしょう。

ナチスに見つかったら、燃やされてもおかしくありません。
しかし、奇跡的に隠れ家の協力者のおかげで
保管ができました。

多くのホロコーストの体験談は、
生き延びた人たちが戦後長い期間が経ってから
書いているケースが多いです。

その当時の出来事が、
リアルタイムで残っているのは珍しいと
20冊近く読んで気づきました。

書くことは自分の気持ちを癒したり、
落ち着けたりする作用もあります。
更に後世の人たちに伝えることもできると
実感しました。

改めて書くという行為の力を感じました。

以上、ちえでした。
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