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ホロコーストを生き延びた男性が私たちに伝えたいこととは【世界でいちばん幸せな男】エディ・ジェイク著、金原瑞人訳

一時期、ホロコースト文学を
ひたすら読んでいました。

この本はリストアップしていたものの、
なかなか読む機会がなく、1年が過ぎました。
TEDxで公開されています。

この本を読んで
著者が生き延びた秘訣は何かを考えてみました。


・逮捕・勾留と逃亡を繰り返す

今まで読んだホロコースト文学との大きな違いは「逮捕抑留と逃亡を繰り返している」ことです。
収容所に入れられても隙あらば逃げています。

驚いたのは、収容所に向かっている列車から逃亡したシーンもあったことです。

著者のずば抜けた行動力を感じました。
生き延びるためには
自分から行動しないといけないと実感しました。

そんな彼も、さすがにアウシュビッツに収容されてからはそうも行きませんでした。

・人との縁を大切にする

終生親友だったクルト・ヒルシュフェルトと
互いに助け合いながら生き延びました。

著者は両親をガス室で亡くし、
他の親戚も亡くなりました。
妹の安否はわからない状態でした。
※戦後、再会できた。

収容所で出会った医師から
こんなアドバイスをされていました。

「エディ、生き残りたければ、仕事からもどったら横になって休め。体力を節約するんだ。一時間の休息で二日生きのびられる」

世界でいちばん幸せな男 p115

彼はこのアドバイスを守りました。
※多くの被収容者は、食料を探したり、家族や友人を探したりしていた。

親友を大切にしつつ、
出会った人のアドバイスに対して
素直に耳を傾ける姿勢も
生き延びられた要因だと思いました。

・憎しみは病気、がんのようなもの

憎しみは病気、がんのようなものだ。敵を倒すかもしれないが、そのうち自分自身も殺してしまう。

世界でいちばん幸せな男 p193-194

ナチ政権になってから、
自分の大切なものを奪われました。
憎しみを持っても不思議ではないと思いました。

しかし、著者は憎しみを持つことをやめました。

「ヒトラーは許さないけど、憎まない」
そんなことを言い残しています。
許してしまったら、殺された600万人の自分の仲間を裏切ることになるからとのことです。

「憎しみを持ち続けるのは体に毒」と感じました。

・感想

「こんなことは二度と起こしてはいけない」という気持ちが伝わります。
「一緒に文化的な生活をしてきた人たちが、獣のようになってしまった」と嘆いています。

同時にこんなメッセージも伝わってきました。

人はいまもっているもので幸せになろうと務めるべきだ。

世界でいちばん幸せな男 p161

わたしの復讐はー世界でいちばん幸せな男になることだ。

世界でいちばん幸せな男 p163

ホロコーストという大きな苦難を乗り越えた末に
怒りや憎しみを手放していったを
興味深く思いました。

「憎しみを持って生きていくか、
幸せを感じて生きていくか」

彼は後者を選んだように見えました。

幸いなことに彼は子ども、孫、ひ孫に恵まれました。
最後の方に家族写真が載っていましたが、
写真から幸せが伝わってくるかのようでした。

戦後に子どもが生まれた後、
著者の心境の変化を見て
「生きている限り、人生をやり直せる」と思いました。

以上、ちえでした。
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