得体の知れぬ不気味さ【妊娠カレンダー】
妊娠中のほのぼのした話を想像していました。
実際は…不気味さを感じました。
・観察日記みたい
妊娠した姉の様子を淡々と書いている様子。
妊娠初期のつわりから、つわりが治まってから10日で-5kgの体重を元に戻したことが触れられています。
あまりにも淡々と書かれているので、
小学校の夏休みの宿題にあった
アサガオの観察日記を思い出してしまいました。
・グレープフルーツの防カビ剤
主人公がバイト先(スーパー)から
売り物にならなくなったグレープフルーツをもらいます
輸入品だったので、防カビ剤がついています。
ジャムを作ったら、姉は喜んで食べました。
間接的にお腹の赤ちゃんへの影響が
仄めかされてました。
「妊娠中にそんな影響があっただろうか」と疑問だったので、防カビ剤について調べてみました。
輸入された柑橘類に使われています。
サイトによって見解が分かれますが、
実際に調べた論文があったので引用します。
この話で妊娠中の姉がどのくらいグレープフルーツを食べたかわかりません。
最後のこの一節に「そんな影響出るものなのか」と引っかかりを感じました。
・想像を超えた回答
私も「著者の妊娠体験に近いのか」と想像しました。しかし、あとがきで否定されています。
その内容に驚かされました。
この文章の前に、キッチンにあった腐った玉ねぎが猫の死骸に見えたことに触れています。
否定しているのは理解したものの、わかったような、わからないような…モヤモヤしました。
・感想
こちらの作品で、小川洋子さんが芥川賞を取りました。現在は審査員をしています。
読む人によって、何通りにも解釈できる作品と感じました。
私は、妊娠中の姉の様子を観察してる妹として読みました。
妊娠中に防カビ剤入のグレープフルーツをたくさん食べて、赤ちゃんへの影響を仄めかしていたのに、薄気味悪さを感じました。
妊娠、出産時にお腹の赤ちゃんへのトラブルはなさそうでした。
それでも「妊娠、出産=幸福」と単純に繋がらない話と思いました。
以上、ちえでした。
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