「部活=体罰」 そう長年感じていた理由を言語化できた本とは【スポーツ毒親】島沢優子著
「スポーツと体罰は切り離せないもの」
中学生の時、そう感じてました。
スポーツを楽しんでいる人には申し訳ないですが、
あまりいいイメージがありませんでした。
そうはいいつつも、
中学生の時は水泳部に入っていました。
私は顧問の先生に恵まれました。
彼は人格者と言う言葉が相応しかったです。
暴言を吐いたり、暴力を振ったりすることは
一切ありませんでした。
しかし、他の部活に入ってる友人たちから話を聞くと、叩かれたり暴言を吐かれたりするのは日常茶飯事とのことです。
ここ数年、学校などで教師が殴ったり、暴言を吐いたりするとニュースになるようになりました。
しかし、私が中学生の時は当たり前でした。
部活動だけでなく、
普段の学校生活も当たり前のように
体罰がセットになっていたからです。
・本書読んで気づいたこと
登場するチームや部活のほとんどは
全国大会レベルの強豪チームばかりです。
偶然なのか九州エリアが目立ちました。
「知ってる学校かもしれない」と思ったくらい。
不思議なことに登場したのは、サッカー、バスケ、バレー、ボールなど団体競技がほとんどです。
私がやっていた水泳や陸上など個人競技は
ゴルフ以外出てきませんでした。
・なぜ毒親と気付けなかったのか
インタビューしてる人の多くが
「自分は毒親だった。早く子どもをやめさせればよかった」と後悔していました。
なぜ自分たちが毒親と気づけなかったのか、
その理由が3つあります。
1.全国大会の魔力
「全国大会はキラキラしていた」
この一言が印象に残りました。
まるでインスタ映えして、キラキラしたい女性達とその姿がダブりました。
それは保護者だけでなく、
指導者も取り憑かれているとのことです。
「自分が成し得なかったことを、子どもに実現させてほしい」
「全国大会に導いた指導者になりたい」
指導者も承認欲求で動いていることに
気付かされました。
2.トラウマ性結びつき
単語を見ただけではわかりませんでした。
暴力を振るわれたら、
一刻も早く離れるのが安全です。
それなのにも関わらず
「離れたくない」と思うような状態とのことです。
3.生存者バイアス
インタビューを受けた方が、
かつて所属していたチームにいた別の保護者です。
学生時代、その保護者自身も
バレー部顧問から暴力を受けたそうです。
「あの時頑張れたから今の自分がある」と
思っているとのことです。
過去を否定できないから
変われないとのことでした。
以上の理由を聞いて「スポーツ絡みのセクハラ、パワハラの報道が相次ぐのは当然。今後も続く」と納得しました。
・性暴力の被害者は女性だけでない
性暴力の事例は九州にある私立高校の話でした。
11人の保護者から顧問は訴えられました。
しかし、一部の親は顧問を庇おうとしました。
訴えられた顧問の先生のために弁護士を雇ってあげようとしてた人までいました。
こちらは裁判の結果、懲役11年になりました。
裁判の証言を聞くたびに、
顧問を庇おうした親たちも
被害者の会に加わっていきました。
余談ですが、被害者になるのは何も女子生徒だけではありません。
男子生徒も被害者になるケースはあります。
性被害について女性も声を上げられません。
男性なら尚の事難しいです。
その理由として三つあります。
1.「男らしさ」の刷り込み
2.「男性は被害に合わないという思い込み
3.保護者世代の性のタブー視
私はこのケースを読んで、
「男性でもあり得るだろう」と思いました。
なぜなら、昔受講をした性教育の講座で
男の子の性被害経験者の割合が、
女の子の性被害経験者の割合と比べて、
少しだけ少ないくらいの割合だったからです。
「男も女も関係ないじゃん」と衝撃を受けました。
言うまでもありませんが、
男性も人格を崩壊させられてしまいます。
親自身が、「こういうケースもあり得る」と気づくしかなさそうと感じました。
・親にできること
体罰や暴言のニュースの度に
「スポーツで結果を出させてるから、
ちょっとした暴言や暴力ぐらい
目をつぶればいいじゃん」
という大人もいます。
夫ともそういうニュースについて
話したことがあります。
「下手に実績を作ってる指導者だからこそ罪深い」と話しました。
ある人の言葉が印象に残ってます。
「子供を「こう育てたい」よりも「どう育つかな?」と考えた方がいいですよ」
著者がインタビューしてた時に言われたそうです。
確かにスポーツで結果を残せたら、
子供も嬉しいし、親だって鼻高々でしょう。
しかし、人間形成を軽視してでも優先させるべきことなのかと考えさせられました。
多くの人は
スポーツをやめてからの人生の方が長いです。
こんなデータがあります。
NBAの元選手の約60%は5年以内に自己破産。
これには驚かされました。
確かに優秀な選手だと
莫大な報酬を得られるでしょう。
しかし、きちんとした金銭感覚を身に付けないまま、大人になった人も少なくないと感じました。
スポーツを通じて
人間的に成長できるならいいですが、
結果至上主義で、人間形成を犠牲にするようなやり方はどうなのかと考えさせられました。
まだうちの子どもたちに
スポーツをさせていません。
始める時は部活にせよクラブにせよ、
よく考えて選びたいと思います。
・感想
西日本新聞の書評欄で見つけた本です。
『スポーツ毒親』とキャッチーなタイトルに惹かれました。
このタイトルから受けた印象は、
「スポーツを通じて子どもの心をズタズタにした毒親」でした。
実際読んでみたら、自分がやったことに対して後悔してる保護者でした。
「もっと早くやめさせたらよかった」
そう悔いてる人たちばかりです。
もしかしたら、
著者のインタビューに答えた保護者の子ども達は
幸せな方なのではないかとすら感じました。
ここに登場してる時点で「自分は間違っていた」と自覚しているからです。
この問題は保護者だけの話ではありません。
指導者にも言えます。
「自己実現の道具として子どもたちを利用していないか」
そう振り返らないと、指導者自身の存在が
害悪になりかねないと感じました。
「子どもを「こう育てたい」よりも「どう育つかな?」と考えた方がいいですよ」
一人の親として肝に銘じます。
以上、ちえでした。
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