自分の領域
を、脅かされるのが怖かった。
母がこっちに来ている間、
母を見張っている私がいた。
言葉ひとつひとつ
しぐさひとつひとつ
気配ひとつひとつ
空気が揺れるたびにが
反応して、先読みして、、
母をコントロールしようとする。
私のペースを乱さないで
私の領域を侵さないで
怯えれば怯えるほど
心に茨が生えたように
心がカチコチに固まっていく。
べきねば こうあるべき に支配されていく。
母に優しく出来ない。
母の前でゆるめない。
緊張しっぱなしな私はひとり
自分で勝手に疲弊してしまってる…
母を思い通りに動かしたい。
母に出来る私を見せつけたい。
本当に汚い自分ばっかりだった。
悲しいし悔しい。
なぜそうなってしまうのか…考えてみたら、
これまで私はいっぱい我慢してきていたからだ。
母を助けるために
母に楽させるために
母を喜ばせるために
母に笑ってもらうために
たくさんの"母のために"で自分を犠牲にしていた。
その気持ちが怨念となって
母に分からせようと暴走しているんだ。
「なんで分からないの?!」
肚の底でそう怒っているんだ。
私はただ、母の笑顔が見たかっただけ。
純粋に笑って欲しかった。
大好きだから幸せでいて欲しかった。
自分を我慢させたのも
自分を犠牲にしていたのも
私の単なる勝手なエゴ。
母には母の自由がある。
何に喜ぶのか
何に幸せを感じるのか
何をどうしたいのかは
母が決めること。
私にはコントロール出来ないの。
自分が自由を望むなら
母にも自由を許すこと。
どんな感情も感じていい。
どんな言動も許されていい。
私は私で母のためにと…
置き去りにしてきた気持ちと向き合っていこう。
深い悲しみ、寂しさ、無力さ、やりきれなさ、、
たくさんたくさんあるだろう。
とてつもない痛みを感じるだろう。
だけど
大好きな人には笑顔でいてほしい。
どんな瞬間も自由であってほしい。
それが純粋無垢なあの頃の私の
たったひとつの願いだったはずだから。