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読書メモ:東京都知事列伝

基本情報

『東京都知事列伝 巨大自治体トップは、何を創り、壊してきたのか』
青山
2020年3月15日

都知事選が7月7日投開票ということで、過去の都知事の政策等に関して勉強したいと思い手に取った一冊。
著者の青山さんは、1967年から都庁で勤務され、1999年から2003年までは石原知事のもので副知事を務められた方で、自治体職員の立場から見た歴代の「都知事」に関してまとめられている。

構成

序章  都知事の条件
第一章 安井誠一郎
第二章 東龍太郎
第三章 美濃部亮吉
第四章 鈴木俊一
第五章 青島幸男
第六章 石原慎太郎
第七章 猪瀬直樹
第八章 舛添要一
第九章 小池百合子

感想

都庁内で、現場で知事とともに都政にあたっていただけあり、非常に臨場感があり、読み応えがあった。
特に石原知事時代に発生した三宅島噴火への対応に関しては、緊張感があり、また、石原知事が「避難先では、体育館で寝かせるようなことはするな」と指示をしており、思わず年初の能登半島地震と比較してしまった。
(避難された方々は都営住宅に避難)

実際には青山さんは、石原知事時代に副知事をされていたこともあり、石原知事に関する記述が多くされている。
それでも、石原都政一期目を中心に書かれており、二期目以降の記載が少ない。石原知事は国政に出馬するため4期目の途中で辞任したが、年々都庁に来る機会が減り、都政へのやる気がなくなっていったということを聞いたことがある。

私が物心ついた時の都知事と言えば、都市博中止をかかげて当選した「青島都知事」である。
1期4年だけ勤めて2期目は出馬しなかったこともあり、記憶に残る成果と言えば都市博中止だけだったが、本書に記載があり、臨海部の開発については青島知事時代に決定されており、青島知事も賛成だったのことである。

本書を読んでいて気づかされたが、都知事の仕事・都政というは、政治よりも「行政」だということである。そのため、どのような方針で「都市作り」を進めていくのかというのが本来の課題である。

ここ最近の都知事選を考えると、本来の「東京都をどうしていくか」という論点があまり議論されていないように思う。
(そもそも主要候補が討論会に参加しないということをしたのも一因だろうが)

今回の都知事選は、候補者が50名以上出るようだが、主要候補は、現職の小池百合子知事と蓮舫参議員の二人だろう。
過去現職が負けたことがないという事実はあり、選挙の研究結果としても実績のある「現職」の方が有利なのは間違いない。裏金問題の影響も出るとは思うが、「東京都という街をどうしていくか」という都市作りに関して、積極的な議論がされ、投票できるような状況になることを願う

都知事、都庁の仕事は何かということを気づかせてくれた一冊であった。

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