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「亜麻布みゆの短歌」通信 返歌と変化の七十首目
亜麻布みゆの短歌コーナーへようこそ。金土日曜日以外はぶっとばしましょう。この通信では、普段noteで小説やエッセイなどを綴っている亜麻布みゆが、X上でつぶやいた短歌についてまとめています。
コニシ木の子さんの「なんのはなしです課」通信みたいな感じにしてますが、コニシさんと真逆で、自分の話しかしてませんのでご了承ください。
Xの歌人の皆様:こんにちは。いつもお世話になってます。短歌初心者の私にいいねくださってありがとうございます。亜麻布みゆです。noteも見てくださって嬉しいです。普段はnoteでエッセイや小説を書いています。
(サイトマップ)
今後noteを書きたい歌人の皆様、ハッシュタグ(#なんのはなしですか)をつけてnoteを投稿されてみてください。いいことが起こります✨
詠んでいるうちに、私が短歌を詠んでいる理由、だんだんわかってきました。それは、私の書く文章に、もっと繊細さを加えたい、そういう思いがあったのだなあと思います。
もともと、私は「ざっくり」文章を考えてきました。「大体、伝わればいいや」、文章や言葉に対する甘えが、あったのかもしれません。
短歌を詠み、他の歌人さんの素晴らしいお歌を拝見して、三十一文字の奥深さ、世界、可能性に気づきました。短歌を詠むように、一字一句に気を配りながら、文章を書いてみたい。そのように思い始めたのです。
ひとまずの目標を、百首と置いてます。
気づいたら累計七十首詠んでました。短歌を詠む上で、嬉しいこともあったので、この機にご紹介できればと思います。合計8000字近くになってしまいました。良さそうな所だけ読んでもらえたらと思います。
気になることや、好きだなあと思う短歌があったら、コメントいただけると喜びます。
短歌 TOPICS
まず、TOPICSとして亜麻布みゆの短歌活動で嬉しかったニュースなどをまとめております。
noteで選評いただく(野口み里さん)
いつも日替わりの短歌のお題をくださる「単語で短歌」の管理人、野口み里さんより、「気になった一首」としてnoteでご紹介いただきました。短歌を始めた時の一つの目標として、「どなたかから選評いただく」を上げていたので、一つ叶いました。それも、私の文章の地元である「note」から、というのが嬉しいところです。故郷に錦を着て帰ってきました(?)
評をいただいた短歌は下記、「西」というお題でした。
「と」が高い西のあなたの「ありがとう」一人の時もずっと真似する / 亜麻布みゆ
— 亜麻布みゆ|ゆるやかな野心家 (@amanumiyu) January 31, 2025
単語で短歌お題『西』https://t.co/6SkdoP1j0H#短歌 #単語で短歌 #短歌アプリ57577 https://t.co/o8Sj8nblQW pic.twitter.com/NyDrfCD1Zm
評:初句の「「と」の高い」でぐっと吸い込まれる感じがします。詠み飛んでいくとありがとうのイントネーションだとわかる流れが素晴らしいですね。確かに関西の方が言うありがと↑う↓は印象的でそれが好きな人ならことさら真似してしまいたくなる気持ちがわかります。素敵な歌をありがと↑う↓(さっそく真似してみました)
初句の「「と」の高い」など、意識していない部分まで丁寧に読んでいただき評をいただき隅から隅まで嬉しかったです。野口さんは、「単語で短歌」のお題で集まった短歌を全て読まれているそうです。この度は、ピックアップいただきありがとうございます。そして、いつも、「単語で短歌」楽しんでいます!ほんまにありがとうございます〜(関西風のイントネーションで)
令和時代に返歌をいただく(サ行さん)
短歌に短歌でお返事をする「返歌」。平安時代の話かと思っていましたが、なんと令和の時代を生きる私も初めて返歌をいただきました。本来の意味での令和ロマン。本来の意味で使ってる人おらんわ。
私に初めてをくださったのは(←語弊w)Xで優しい短歌を詠まれているサ行さんです。サ行さんは、おそらく関西のお方で文字から関西弁が伝わってくる、愛にあふれた短歌を詠まれるお方です。
もともと、サ行さんはこんなお歌を詠まれてました。
ほんますき 西の魔法をじわじわと東のきみに染み込ませてく/サ行#単語で短歌 #tanka #短歌 https://t.co/arF1EyNkK7 pic.twitter.com/NfIHcOpHWl
— サ行 (@Ns4HhpKEzA10870) January 24, 2025
他にも好きな短歌はたくさんあるのですが、私はこの短歌、個人的にものすごく刺さりました。私は千葉出身で、大阪在住経験があるのですが、関西に住むと、リズムが違うのかどうしても関西弁になってしまうんですよね。それを「西の魔法」と表現されたのが素敵だなあと思いました。
ちょっとこの短歌が心に残りすぎて、「西」のお題で出したのが、上記「選評」のところでも述べたこの短歌なのです。
「と」の高い西のあなたの「ありがとう」一人の時もずっと真似する
完全に西の魔法にかかってるなあ。ちなみにこれは以前書いた自作小説から想像を広げたものでもあります。
「東のきみ」に対して「西のあなた」って言っちゃってるし完全にインスピレーションを得てしまっているため、サ行さんにその旨お伝えしたところ、なんと返歌をいただきました!優しすぎる。
亜麻布みゆさんが素敵な短歌を詠まれていたので勝手ながら返歌をおくらせていただきます…
— サ行 (@Ns4HhpKEzA10870) January 31, 2025
これからは西の魔法を手に入れたきみと一緒に「「ありが と う」」言う/サ行 https://t.co/1cVTVorrKt pic.twitter.com/SLAPZJSUKF
この「ありが と う」の空白が、関西なの、わかる。素敵。
サ行さん、ありがとうございます〜(関西のイントネーションで)。
自分でも返歌、すぐに詠めるようになりたいなあ。
感想を書いて頂く(美桜さん)
また、大変嬉しいことに、お二人の方から感想をいただきました。
お一人目は、美桜さん!
なんとなんと!
— 亜麻布みゆ (@amanumiyu) January 31, 2025
Xで知り合った美桜様よりとっても嬉しい紹介をいただきました!noteの舞台裏として始めたXでしたが、Xでの嬉しい出会いもあるんですね✨本当に嬉しい✨ありがとうございます! https://t.co/LST6lqbiMV
美桜さんは、Xで知り合った方ですがnote、X全て読んでくださいました。
小説も細かいところまで読んでいただいて、嬉しいです✨
そして、ご自身もお名前の通り美しい短歌を詠まれる方です。うっとりしてしまいます。
この世はね 水が彫刻して創り 光が色をつけた作品 / 美桜
— 美桜 (@mio_wonderful) February 4, 2025
アプリ日替わりお題『彫刻』https://t.co/MJKVWGrbMy#短歌 #tanka #短歌アプリ57577 pic.twitter.com/fznK7f58Gs
世界観が美しいです。そして、本当にそうかもしれません。水の彫刻。光の色。そんな世界だったら、いいなあ。私には書けない世界です。
感想を書いて頂く(ほしのおりさん)
また、昨日ほしのおりさんからも私の短歌から一つ引いていただき、美しい感想をいただきました。
君からのラインの通知オフにした孤独を賭けて傷つきに行く
5、亜麻布みゆさん@amanumiyu
— ほしのおり (@stardusts_1123) February 4, 2025
だいたい同じ時期に短歌を始めさせていただいた感じなんだなーと,アプリでもこちらでも親近感を感じさせてもらってます。これからもよろしくお願いします❣️ pic.twitter.com/rVhkagAYM0
いい短歌を詠める方は、感想自体が美しい。
noteのコメント欄でも、そんな経験をしたことがあります。
短歌にも共感いただいて、的確に評をいただき、とても嬉しいです。
ほしのおりさんは、幻想的でハッとさせられる短歌の多いお方です。
特に好きなのは下記の短歌です。
やまいの蛾に 頭食べ尽くされぬよう、聴いて、ブルーライトの森で / ほしのおり
— ほしのおり (@stardusts_1123) January 28, 2025
(再掲かも)https://t.co/rVmvQfWl5g#短歌 #tanka #短歌アプリ57577 pic.twitter.com/Fq96NnpxjP
やまい、は体の病でしょうか、心の病でしょうか。わからないですが、病んでいると、頭の中がいっぱいになってしまう時ってありますよね。それを蛾と表現。そして、そういう時はブルーライト(スマホやタブレット)に癒される時があります。その事象を幻想的に表現されてるなあ、好きです。
「コピー短歌」を頂く(秋山ともすさん)
キャッチコピーと短歌、俳句って相性いいですよね。私もコピーライターになりたくて大学で俳句部入ってたようなことがあります。
そして、実際コピーライターをされながら歌人でもいらっしゃる秋山ともすさん。コピーライターならではの斬新な視点をもつ作品が好きです。
500円で「わたし自身」を詠んでいただく「コピー短歌」という取り組みをされていたので、とても興味を持ってご依頼しました。
#コピー短歌 のお問合せをいただくことが増えてまいりましたので、以下補足説明となります。
— 秋山ともす (@kiyama_Co) February 4, 2025
・お申込みから納品までDMで完結いたします
・納品物は画像&テキストデータとなりますが、送料をご負担くだされば現物(紙)の納品も可能です
・お支払いはPayPayまたは銀行口座振込でお願いしております https://t.co/iQGN1eLLwd
ともすさんには私のnoteのエッセイや小説などをお読みいただき、そこからイメージした作品を作っていただきました。
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短歌見た途端、泣きそうでした。特に上の句、美しいです。私は本名の苗字が好きじゃないというエッセイを出したことがあります。なんだか自分の名前を過去ごと肯定していただいような気がして、大切な作品になりました。秋山ともすさん、素敵な短歌を本当にありがとうございます!
亜麻布に迷い込んだ言葉たち
お待たせしました!
亜麻布に迷いこみ、短歌の餌食になった言葉たちを紹介します。
実は本格的な再開は今年なのですが、2021年ちょっと詠んでました。
先日も短歌を始めるまでの記録を書いています。
その分も含め、累計ってことにしてください。
一首目〜十首目
2021年に投稿した短歌もいくつか含んでます。
1.天国に一時滞在するからか離陸する時少し眠たい
2.二次会もいい人がいい人のまま二十三時の渋谷は閉じる
3.排他的経済水域忖度し二手に分かれ泳ぐ太刀魚
4.建物は骨から生まれふるさとはニュータウンでいつも曇りで
5.よこしまとたてじまのちがい思いつつうつ伏せになり整体師を待つ
6.社用車でキノピオ課長が爆走し月曜めがけて投げるボム兵
7.「テ対」「受対」速い自体がつぶれかけ塾ってなんで白いんだろう
8.PCの淵に付箋の花畑摘むか踊るか全部燃やすか
9.十辛よ胃をいじめぬけ叱責が五臓六臂に染み込む前に
10.エクセルを使えるリスが現れて埋めたきのみを一括管理
31文字に収まればラッキーという感じでしたね。伝わるかどうかとか、情景とか、あんまり考えられずにいました。
個人的にお気に入りなのが、2です。
2.二次会もいい人がいい人のまま二十三時の渋谷は閉じる
私、お酒はそんな強くない割には、飲み会が大好きです。普段見せないその人の本音が見えるからです。あるコンテスト応募作品に「居酒屋エッセイ」を書くぐらいには。ですが、一次会であんまり表情崩さなかった人は、二次会でもそのまま本音を見せなかったりします。そんな、せっかく遅くまで飲みに行ったのになあ〜という残念さです。
十一首目〜二十首目
11.「←二分半あっためて食べてやけどしないで」業務仕様書みたいな愛情
12.三十一文字 その外側に切り取られている食パンの耳をラスクに
13.来世ではコーヒーカップに乗りたいなシャリの布団に金のゆりかご
14.あの人のところは今ごろ吹雪いてる「シュガードーナツ一つください」
15.あと何回私は最後と言うのだろう国産おやさいドーナツを割く
16.ワイファイが繋がりにくい モノクロのポンデリングが時々欠ける
17.この人も厳しいだろうか新しい職場にピンクのドーナツクッション
18.変態はこんな気持ちかマネキンのシャツに手を入れ値札まさぐる
19.食パンに卵を割り入れるくぼみ涙腺みたいに頼りない土手
20.ドーナツ教原理主義者が現れてアナアキストと呼ばれていたり
ここからは全部2025最新です。他の人の短歌を読むようになって、ちょっと工夫し始めました。
個人的にお気に入りなのは、17番目の短歌です。
17.この人も厳しいだろうか新しい職場にピンクのドーナツクッション
偏見なんですけど、転職や異動後の新しい職場で、前の職場と同じような持ち物を持ってる人がいたら、性格まで同じように予測して、ちょっと身構えちゃいません?ま、偏見なんですけどね…
二十一首目〜三十首目
21.ドーナツの穴みたいだね冗談が途切れた後の君とのキスは
22.「下ネタは君には早い」お互いにヒーローヒロインぶっていた日々
23.春 冬の隙間に割り込むエナジー マックシェイクを思い切り吸う
24.まっすぐなチュロスを齧っていた君にミスドのチュロスを買って帰ろう
25.ドーナツを7つ集めて現れる龍にもらったドーナツの穴
26.神様は夜に裸足で散歩する星を踏んだらめちゃくちゃ痛い
27.茶葉たちは放課後みたいにダッシュして夕方にはもう眠たくなってる
28.あたらしいゆめをみながら散歩する沼の底から山の先まで
29.無農薬肥料にこだわり作られたキャベツを包む保守派の新聞
30.ドーナツの穴があったら入りたい そうして周りをむしゃむしゃ食べる
「発想」と「伝わる」の間を模索してる感じがしますね。
お気に入りは、23です。
23.春 冬の隙間に割り込むエナジー マックシェイクを思い切り吸う
マックシェイク吸う時って、ちょっと吸う力がいるんですよね。なんかそんなエネルギーを持って、春は冬に割り込んでくるんじゃないか、ちょっとあったかい日の一首でした。
24もお気に入りです。
24.まっすぐなチュロスを齧っていた君にミスドのチュロスを買って帰ろう
時間が見える短歌に憧れてます。「幼馴染のあの子が今は妻」を三十一文字で表すみたいな。そういう短歌を作ろうと思いました。まず、まっすぐなチュロスはディズニーで「齧る」もネズミ(=ミッキーマウス)を示唆してます。ディズニーでデートしていた君にミスドの輪っかのチュロス「ハニーチュロ」を買って「帰る」(=一緒に住んでる)ことを表してます。あと、ハニーチュロは輪っかなんで、それも「ご縁があった」ことが示唆されてます。1000年後、偶然この短歌が残ってたら古典の先生とかが解説してくれないかなあ。
三十一首目〜四十首目
31.鍵はもう見つかってたけどもう少し一緒にいたくてガチャガチャしてた
32.人間はミニマリストになれなくて「野」「原」の名だけ継がれゆく街
33.これからがひしめくセリアのカゴの中エプロンだけはフランフランで
34.一昨日のLINEをなん度もかじってる毛布のさなぎの中のあおむし
35.久しぶり!元気にしてた?泣くなよーもう行かないと、あ、あと朝だよ
36.クレームがまとう葉っぱの包み紙ビリビリにして一人苦しむ
37.大根に味が染みてる今日できた彼氏のことをいつ話そうか
38.僕たちはあの言葉から始まった「さっきの言葉実は嘘なの」
39.五限目の枕草子いとねむし春はこもれび秋もこもれび
40.わたしにもそうなのでしょうライターの火種をかばう丸いゆびさき
初めての「プチバズり」を経験しました。
31.鍵はもう見つかってたけどもう少し一緒にいたくてガチャガチャしてた
実話。もう少しどころじゃなく一緒にいるその人からは、「鍵はちゃんと決まったところにしまっとけよ〜」って注意されてます。
個人的に気に入ってるのは、34です。
34.一昨日のLINEを何度もかじってる毛布のさなぎの中のあおむし
息子に読んでる「はらぺこあおむし」から着想を得ました。寒い日は、毛布の中で、さなぎになります。それで、好きな人からの嬉しかったラインを確認するんです。今じゃないですよ。
40も個人的に気に入ってます。
40.わたしにもそうなのでしょうライターの火種をかばう丸いゆびさき
タバコを吸う人と付き合ったことはないのですが、ちょっと憧れます。特にライターをこっそりつける仕草が好きです。あんなにワイルドなのに、こっそりライターをつける仕草、もうドキッとしちゃいますね。( #なんのはなしですか )
四十一首目〜五十首目
41.君の過去すべて木の役として出て時々頬を撫でる葉となる
42.添えられた花の化石は葬式がなかった頃の「アイシテマシタ」
43.朝四時に飲み干すバナナスムージー秘境の鍵がこじ開けられる
44.恐竜が今の時代も生きてたら骨から美味しい出汁が出てくる
45.君からのラインの通知オフにした孤独を賭けて傷つきに行く
46.自分以外しあわせだろう黄昏に漂う醤油濃いめの香り
47.「ベートーヴェン」その「ヴ」に気づかれないようにこっそり開ける四月の教科書
48.君がため三色そぼろを仕込む夜時限爆弾みたいな愛情
49.遠雷を心に秘めていたんだねやさしい人と言ってごめんね
50.足つった!その瞬間からささやかな執行までが短い死刑
前述のほしのおりさん他、何人かの歌人さんから気に入っていただけた短歌が現れました。
45.君からのラインの通知オフにした孤独を賭けて傷つきに行く
好きな人からのラインって、通知オンにするか、オフにするか迷いますよね。オフにすると、来てるかな〜と思って開いて、ああ来てないってなって、傷つく。でも、オンにするとそわそわ。どっちが正解なのか、わかりません。でも、通知オフにして、いちいち傷つきに行く、その姿も尊いんじゃないかって思って詠みました。
47.「ベートーヴェン」その「ヴ」に気づかれないようにこっそり開ける四月の教科書
個人的にお気に入り短歌です。四月に配られたばかりの教科書って、ちょっと糊付けがきつい。だから、あんまり開けないのですが、前の学年まで「ベートーベン」と表記されていたのに、新しい学年で「ベートーヴェン」ってなってると、ちょっと嬉しいな、なんて気持ちを詠みました。
五十一首目〜六十首目
51.清らかになるな濁らせてゆけ美だって「ひ」じゃなく「び」じゃないか
52.神様の代わりに信じるテレビマン瞬間的に差し込むさみしさ
53.お揃いの赤い帽子で観覧車取られる前に告白しよう
54.罫線の呪いに閉じ込められているあなたの黒いスーツを脱がす
55.母じゃない最後の朝に供された具も塩味もない握り飯
56.アリスインワンダーランド 鳩時計ちょうどの時間にだけはなれない
57.誦じた「伊豆の踊り子」その声で恋って土砂降りなんだと気づいた
58.謙遜の心は疲れて早く寝る深夜はヒャッハー自分最高
59.「と」が高い西のあなたの「ありがとう」一人の時もずっと真似する
60.狩人の記憶だろうかふわふわのぞうさんを追い噛み付く0歳
53.(寿司のお題)みたいに、ちょっと可能性に挑戦して失敗気味なところもありますね。でも色々な可能性に挑戦しているうちに…
59.「と」が高い西のあなたの「ありがとう」一人の時もずっと真似する
上述の、返歌と選評をいただいた短歌を詠むことができました。さながらエジソンのように可能性に失敗しながら挑戦することが大事なんだと実感しました。
個人的お気に入り、というか思い入れがあるのは55首目です。
55.母じゃない最後の朝に供された具も塩味もない握り飯
テーマが「覚悟」。私の中で覚悟といえば出産。出産当日に病院から出されたおにぎりは、食事制限をしていることもあり、海苔は巻かれていたものの、具も塩味も付いていないものでした。食べにくかったけど、それが戦いの前の食事のようで、まさに覚悟でした。
六十一首目〜七十首目
61.戦争が始まる国の母親と文法だけのレッスンをした
62.やわらかいほど包丁で切れなくて鶏だった日の世渡りを知る
63.とろとろのプリンを噛まずに飲み込む他人がほめられているさみしさ
64.「あっ…」「どうぞ」同時にやぶる静寂が共同作業のはじまりだった
65.不機嫌な彼の飛ばしたコンドルは裏返っても振り返らない
66.「また一つ年を重ねた」という人がこっそり思うミルクレープ
67.恵方巻きかじる視線のその先でアイアンマンに目を逸らされる
68.隕石の影が僕らを包んでも何かの比喩にするんだろうな
69.昆布だし醤油みりんに砂糖塩よーく煮込んだとれない汚れ
70.Xでいがみあってる人たちも「ろうにゃくにゃんにょ」と言えば綻ぶ
ちょっと楽しく、すごい歌人さんと比べるとまだまだだけど、自分の表現を掴んでも実感が残るようになってきました。言葉が向こうから駅までぐらいなら迎えにきてもいいよ、って言ってくれるようになった気がします。
お気に入りはこれ。
65.不機嫌な彼の飛ばしたコンドルは裏返っても振り返らない
お題「リコーダー」。「コンドルは飛んでいく」を中学校の音楽で習った人じゃないと伝わらない話です。個人的に、音楽のテストでこの曲を一人一人リコーダーで吹かされた思い出があります。中学生の時、反抗期なのか不良なのかっていう不機嫌な男の子もいて、不承不承、みんなの前で吹いてました。真面目に練習してないのであんまり上手くなかったけど、ミスをしても気にせず演奏する姿が、人柄が現れてて、ちょっと可愛かったです。
終わりに
ここまで読んでいただいてありがとうございます。もし短歌を続けられていたら、2月4週目のどこかでまた「あまぬみゆの短歌」を自分で回収したいと思います。
短歌を詠んでいると、毎週ショートショートの410字がとても余裕がある文字数に感じられます。それでも、ちょっとはみ出てるんですけどね。一文一文に意味があるような作品を作れるようになりました。
また、他の歌人さんも優しく交流してくださり、元々のnote書きさんとの交流といつか交わったらいいなあとも考えております。
短歌は詠んでいて良いことしかなかったです。
これからも短歌を通じて言葉に挑戦し続けたいです。
私の記事にしては長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!この記事の感想や、気に入った短歌がありましたら教えてくださると嬉しいです。
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