見出し画像

誰も知らない私の悩み

「ジャーナリング」と呼ばれる一種の瞑想法めいそうほうがあるそうだ。
一定の時間内に自分の頭に浮かんだことを、ありのままノートに書き出していく。

ペンと紙さえあれば、簡単に取り組めるのがジャーナリングの魅力だ。
頭に浮かんだことを手当たり次第に書き出していく点が、日記と異なる。

日記であれば、「1日のできごとの記録として書く」「言葉を選んできれいな文章として書きたくなる」「その日のできごとを、書く対象にしやすい」などの傾向がある。

それに対し、「いま頭に浮かんでいることや感じていることを書く」「言葉を選ばずとにかく頭にあるものをそのまま書く」「感情面について書くことが多くなる」のがジャーナリングの特徴だ。

ポジティブであるかネガティブであるかを問わず、抽象的な文章や表現であっても、ためらわず文字にしていく。
頭の中で漠然としているものを「文字」という目に見える形にすれば、普段気づきにくい漠然とした気持ちや考え方が明確になり、自分の新しい一面を知ることができるという。文字を通して、自分と向き合うきっかけを作るわけだ。

まずは、自分がリラックスできる環境を整える。十分な空き時間を用意し、心が落ち着く場所で好きな曲や飲み物を用意して始めてみる。
他人が目につく場所、たとえばカフェなどでは意外と集中できない。他人がいる空間は、意図せずとも気になってしまうものだからだ。

朝はまだ脳が目覚めていないので、潜在意識と繋がりやすい。朝の方が、本当の自分と向き合えるチャンスが増えそうだ。朝のジャーナリングで、1日をポジティブに過ごせるという感想も多いらしい。

一方で、振り返りやネガティブなことを書きたいのであれば夜に行う。仕事や上司への愚痴、人間関係のモヤモヤなど、明日に持ち越したくないことはその日のうちに書き出して、頭の中をスッキリさせる。
「人に見られる」と思うと、感情を素直に書き出すことができなくなる。ノートは絶対、誰にも見せないと決意して管理するのがいい。

制限時間を決めて、頭に浮かんだことを自由に書き出していく。書く内容や意味などは気にせず、ともかく書き進める。文章の内容や方向性が変わっても気にする必要はない。ページ全体を使って、のびのびと書いていく。
1~5分、10分など、自分で定めた時間内を集中して書き続ける。初めのうちは、短時間でいい。

誤字脱字は一切気にしない。ひたすら手を動かすことに集中し、むしろ正しくキレイに書こうなどと思わないことが大事である。文字ですらなく、ペンでぐるぐると円を書いてみたり、ぐちゃぐちゃっと書き殴ってみたりするなど、その時の自分の感情に出来るだけ素直であるべきだ。

制限時間に達したらペンを止めて、ノートに書いた内容を読み返してみる。書いた内容を通して、そのときの自分の気持ちや本音を観察するのだ。
書くだけでなく、書いた内容をチェックする手順を加えることで、文章を客観的に見られるようになる。
気になった点や気付いたことがあれば、違う色のペンでメモしておくのも良い。文章化した自分の感情を、より明確化できる。

ジャーナリングを続けることには、いくつかのメリットがある。
まず、感じていることを言語化する習慣によって、自分を客観視できるようになる。自分の考えや感情を言葉にするスキルも向上していく。

考えや感情を言語化するため、自分がなにに悩んでいるのか、なにが原因なのか整理できるようになる。頭のなかにある考えや感情をひたすら紙に書いているうちに、ふと頭のなかに「もしかしたら原因は○○かもしれない」といった考えが、思い浮かんでくるようになる。

自分が抱えているネガティブな考えや感情を紙に書くことには、ストレス発散効果があるといわれる。ジャーナリングは一人で、自分の好きなタイミングでおこなえるため、相談相手がいない人や、相手の反応を気にして自分から相談するのが苦手な人でも、実践可能な方法だ。

紙に書いた内容から、これまで思いもよらなかった未知の自分に出会うことがある。「自分はこんな風に感じていたのか」「思ったより人間関係でイライラしているんだな」など、新たな発見を得られるのだ。

ジャーナリングは頭に思い浮かんだことをそのまま書き出せばいいのだが、ある程度テーマを決めておいたほうが、やはり書きやすい。
たとえば、対人関係で悩んでいるなら他者との関係についてや、イライラやモヤモヤが続いているならその感情についてなど、今抱えている悩みや改善したいテーマを一つ決めて、「書く」ことにチャレンジしてみる。

1日の始まりにジャーナリングを行う場合は、その日1日を素晴らしいものにするために出来ることを書き出す。「今日1日の予定と、そのときに感じてみたい思い」「今日覚えたい仕事や学びたいこと」などだ。

「よくわからないけどモヤモヤする」「不安になりやすい」などメンタルの不調を感じやすい人には、以下のようなテーマがある。

・今感じている感情や気分は?
・どんな時に不安を感じやすいのか
・心の痛みを感じる原因は?
・モヤモヤを解消するためにできることは?
・過去のトラウマから学んだことは?

自己肯定感を高めたいなら「これまでの人生で一番嬉しかった出来事や誉め言葉」「自分の好きなところ」など。
かなえたい目標や夢に向かって頑張っている人であれば、「夢を実現したらやりたいこと」「目標達成の妨げになる要素」などを書き出すのもいい。
最初のうちは1分など短時間でいいので、きちんと時間を決めて行い、習慣化することが大切だ。

最後に僕自身の事をいえば、ジャーナリングをやったこともなければこれからやる予定もない。よって、超無責任な記事を書いているわけだ。
すでに実践されている方、やってみようという方がいらっしゃれば、その効用と結果を、ぜひ教えてください。

イラスト Atelier hanami@はなのす

いいなと思ったら応援しよう!