初めてのノベルゲーム制作で、壮大なファンタジーっぽいバカゲーを作りました【役に立ったものまとめ】
はじめまして。
yukkiと申します。
この度、生まれて初めてゲームを作りました。
ジャンル:ファンタジー(バカゲー)です。
シリアスで壮大な異世界ファンタジー……に見える、100%ギャグのゆるふわファンタジーです。バカゲーです。
キャラ絵と一部背景はイラストレーターさん(神)に依頼し、それ以外は一人ぼっちで地道に作っていた作品ではありますが、想定よりもたくさんの評価や感想を頂け、ゲーム実況もして頂いたり、インディーゲーのメディアサイトに載せてもらえたり、大変嬉しくありがたHAPPYな事になってます。
※3/24追記
ティラノゲームフェス2023にて佳作とスポンサー賞を2名の方から頂きました!嬉しすぎるぜ!!
8割……いや9割はイラストレーターさんの美麗で重厚な絵にだいぶ助けられている所はありますが、BGMや効果音を自分で一生懸命作ったり、一生懸命タイピングしたり、一生懸命お話を考えたり、立ったり座ったり、ギックリ腰になったり、色々頑張りました。
選択肢も少なく30分位で終わるシンプルノベルですので、何時間も遊べるガッツリ作られたゲームに比べると物足りない作品かもしれませんが、一つの作品を作り切ったという事で自己肯定感爆上がり!騙されたと思ってみんなもやってみて!収入を倍にしたい人はプロフ見ても何もないよ。
このゲームを作ろうと至ったきっかけですが、まず私はハイファンタジーが大好きで……等と嬉々として語ると膨大な文字数になりそうなので割愛し、ゲーム制作&創作初心者がどうやって一本完成まで持って行ったのか、またどんなツールや資料が役に立ったかを残してみることにしました。
前置きとして、ゲーム作りやシナリオ作りの実践的な内容に関しては、プロの方や経験豊富な個人・サークルの方が書いた初心者向けの記事もたくさんあるのでそちらを参考にした方が良いと思います。
ではこの記事の存在意義は何かというと、私自身もよく分からないんですが、私自身が成功体験を反芻して満足しようという記事なんだと思います。
◆ノベルゲーム制作ツール「ティラノビルダー」
そもそもこれが無いと何も始まらないよというのが、ノベルゲームを作るためのツールです。私は複雑な事は苦手なため、とにかくシンプルに使えるツールを探し、たどり着いたのが「ティラノビルダー」でした。
このツールはとってもシンプル。ここで立ち絵を出したい!ここで爆発音を鳴らしたい!ここで曲をかけたい!ここで文字でっかくしたい!と頭に浮かんだ動作を、スクリプトやプログラミングの知識が無くてもドラッグアンドドロップで感覚的に実行できる、私のような複雑な事が苦手な脳筋タイプにもってこいのソフトです。
こんな神ツールですが、なんと無料で使えます。
ただ無料だと使用できる素材の数などに制限があります。私はサウンドをたくさん入れたかったので有料版を購入しましたが、無料でも十分しっかりとしたノベルゲームが作れると思います。
……と言っても、制限の無い有料版も1480円と破格なので、工夫に工夫を凝らして無料で使い倒すぜ!!というやり方を模索する位ならスパっと購入して快適に使うが吉だと思います。
私は複雑な事を考えるのがとても苦手なので、素材の数が上限に達した時点で複雑な事は考えずに購入しました。
尚、スクリプトを組んでもっと凝った事をしたいぜ!という方はティラノスクリプトというツールもあります。
これは機能制限などは無く無料です。すごい。
これを使ってノベルゲーどころかカードゲームやらパズルやらローグライクやらを作ってる方たちもいます。
すごい。天才か。
ティラノビルダーの注意点としては、ドラッグ&ドロップで気軽にどんどん素材を追加できる分、不要な素材も放置しがちです。
整理整頓が苦手なタイプだと気付かぬうちにどんどん重たくなって行くので、こまめにダイエットしないと大変な事になります。なりました。
尚これらのツールはとても有名で、もう知っている人&使いこなしている人がたくさんいるので、私はその道のプロに嬉々として語る愚かな素人と化しているかもしれません。すまんな。
◆シナリオや文章制作で参考にした資料
まず最初に、ADVは
・地の文での状況描写・心理描写が入るタイプ
・ほぼ台詞だけで進むタイプ
などがあると思いますが、この作品は後者の「ほぼ台詞だけ」で進むタイプにしようと早い段階で決めていました。
理由としては、ADVとしては取っ付きにくそうなハイ・ファンタジー風味であり(あくまで風味)、それとプラスで突拍子もない展開も多いので、サクサク読めてテンポよく進められてプレイヤーを疲弊させない作りにしたかったからです。
あと上手な地の文を書く能力が単純にない。
↓ 疲弊するファンタジーの参考資料(個人的には大好きな部類のゲーム)
それを念頭に置き、沢山書いて容赦なく削っていく方式でテキストを書いていたのですが、文章を断捨離するにもいい感じのお手本が欲しいなと思い資料を探す事にしました。
・自分の文章力を考える
そもそも、まず自分はノベルゲーを一本仕上げるだけの執筆力があるかを振り返ってみました。
まず前提として私はゲーム制作経験は皆無。
創作で何か形にしたのは「TRPGのシナリオ(身内用雑シナリオ1本)」位のもの。
あとは何か経験があると言えば、クラウドワークスやランサーズでよく大量募集しているような、しょっぱい報酬のライター経験です。それも
「デートにオススメな都内のおしゃれスポット○○選♪」
「脱毛サロンってどこがオススメ?比較してみました!」
「おしゃれさんの温活グッズ○○選!」
のような、かつてネットに蔓延していた心を無にして書いたような量産型記事の執筆経験です。
文を書くのは好きだし楽しそう!と思って始めた事ではありましたが、やってみるとマジでしんどかったので今このnoteを書いてる最中にもあの頃の気持ちを思い出しては何か苦いものが込み上げてきます。
つまり……ノベルゲーを一本仕上げる素地はゼロだという前提で動いた方が良さそうだという悲しき結論に至りました。
なのでまず「ノベルゲーム シナリオ 作り方」「シナリオ 初心者」等のワードで検索し、Kindleのサブスクで読める書籍やページを集め始めました。そして最終的に行き着いたのは
オモコロです。
オモコロ あたまゆるゆるインターネット
知らない人はあまりいないと思うのですが、一応オモコロが何なのかというと下記のようなサイトです(公式サイトより引用)。
資料集めとか言いながらネットサーフィンしてたの?と言われるかも知れませんが確かにそう。
あと、オモコロ編集部は天才の集まりだと思うので(あのARuFaさんが所属しています)、私のような凡人が軽々しく真似できるようなものでは無いのも承知です。
それでもオモコロを参考にしてみようと思った理由はちゃんとあります。
1. 短い文章で読みやすく楽しい会話
有象無象の記事でカオス溢れるオモコロですが、中でもオモコロ編集部の方達が集まった記事は複数人の掛け合いがテンポ良く書かれており、これは「台詞だけで進行するノベルゲー」の参考になるんじゃないかと思いました。
画像は「100人中80人位が共感するあるある」というお題で、永田さんが「水族館でガラス割れたらあそこに捕まろうと避難シミュレートしがち」というあるあるを発表し、全員に「ねーよ」と否定されている場面なのですが……
1人あたり30〜40文字位なので、4人合わせてX(Twitter)と同じ位の文字数で会話のキャッチボールをしている。
しかも一人でブツクサ己の意見だけを吐き出すTwitter(X)の140文字と違って、4人でパスを回す事によって少ない文字数でも「80人の共感は得られない複数の理由」「それに対する反論」がちゃんと描写されています。
実際はこんなにポンポン会話をしている訳では無く、かなり要約した文章だとは思いますが、複数人の掛け合いでテンポよく話を進めるという意図に対して、とても良いお手本だと思いました。
2. 分からない事の記事も面白い
オモコロはPR記事も多く、最初からPRコンテンツについて書いている記事もあれば、始終変な事をして最後に思い出したかのようにPRを始める記事もあります。そして、両方とも面白いです。
この「PR記事=分からない事の記事も面白い」というのはとても参考になると思いました。
というのも、私の作品はファンタジーの中でも、勇者や魔王が出てきて……というようなタイプでは無く、なんというかこの、通じるようで通じなさそうなファンタジー感をどう説明するか悩んでいる所もありました。
私はゴツめなファンタジーが大好きなので、主人公の職業である「バーバリアン」という存在は「普通の高校生のフリをしているが実は敵対組織と戦いを繰り広げる能力者」と同じ位分かりやすい存在なのですが、普通は「へえ。この作品、主人公のジョブはバーバリアンなんだね」と当たり前のように通じるものでは無いと思います。いや、通じるのかな?わかんないや。
そんな感じで、RPGで言う主人公たちのステータスやジョブや元ネタをどの程度説明するか悩みました。エルフの弓使いの女の子はどんな弓術を使うのか、魔法使いのおじいさんの魔力源は何なのか……。
悩みに悩んだ末にネットサーフィンに走り、オモコロをダラダラ読み始めて、一つの結論に至りました。
それは「なーんも説明しなくていいや」という事です。
オモコロのPR記事は、普通はPR記事という興味がなければ回れ右してしまいそうな題材でも、編集部の方たちの掛け合いが面白くて最後まで読ませてしまうのが凄い所。
このシナリオも主人公たちの経歴は後回しで「最後まで読んでいくうちに何となく彼らの事が好きになってきた」位の緩さでいいんじゃないかという結論に至り、主人公たちに自己紹介させるのは極力抑える事にしました。
初対面で長々自己紹介する・されるよりは、楽しくお話したい。
またこの作品は、壮大なファンタジーに見せる前振りの為だけのオープニングがあるため、そちらで説明が入ってれば十分だろうと思ったのです(そのオープニングすら超短め選択肢もあります)
以上がオモコロから得た知見です。知見と言ったら知見です。
◆背景素材で役立ったもの
Unreal Engine5(UE5)
Clip Studio Paint(クリスタ)
まずイラストに関して、一番最初はイベント(ティラノフェス)に間に合わせるためにAI生成で完成まで作り切り、その後キャラはAI絵をリファレンスとしてイラストレーターさんにまるっと依頼し、背景は一部を依頼して他は自力で集める事にしたのですが……
結論から言うと、私は
『Unreal Engine5(以下UE5)で撮ったアセット素材のスクショを、Clip studio paint(以下クリスタ)でイラスト調フィルターで加工する』
という方法で背景素材を集めました。
UE5とは超簡単に言うと3Dのゲームを作るのにめちゃくちゃ使われてるゲームエンジンで、このゲーム映像すげーってやつは大体UE5製です。FFシリーズとか。
そんな凄そうなゲームエンジン使ってるなんて….…お高いんでしょ?と思われそうですが全然そんなことはないです。
まずUE5は無料です。ゲームたくさん売れたら取り分支払ってね方式です。すごいゲームエンジンみんな無料。すごい。ちなみにPCのスペックはまあまあ要求されるので、私のPCはずっとギチギチ言いながら必死に排熱してました。
そしてUE5のアセットが売っているEpic Game Storeの規約は、買ったアセットを他のゲームエンジンで使ったりスクショを加工して使ったり売ったりもオールOK。つまり撮ったスクショをティラノで使っても何も問題なし。
なので撮ったスクショをクリスタでイラスト加工した後、更にフィルターでキラキラさせたりモヤモヤさせたりして背景素材として利用しました。
ちなみにフィルターの色合いや加工具合は全部フィーリングです。その結果後から見返したらなんか全体的に茶色っぽい。
ストアの方も信じられない値引きが入るセールや、月替わりで無料セールをやるので、欲しい素材が合致すれば、下手するとi-stockなどのサイトで有料画像を買うよりも安くつくのではないかと思います。
私は綺麗な山のアセットをセールでお安く購入し、色々使い回してました。綺麗なお山のアセットを買うと、綺麗なお空の素材も付いてくるのでお得です。
絵が描ける方だと自分で手を加えてもっと凄い神背景を生み出せるんだろうなあ。
また同じく有名なゲームエンジンだとUnityというものもあり、そちらも同じように利用できます。日本だとUnityの方が人気みたいですが、Unity挫折民からすると同じ使い方をするならUE5の方が私の感覚だと10倍ぐらい簡単でした。マジで。
この方法は、PCのスペックさえ許せば、手軽にいい感じの背景を用意できるので、私のような絵を描けない民にもおすすめしたいです。
サイバーパンク素材も豊富、日本の田舎風景のアセット等もあります。
ちなみにイラスト周りで一番苦戦したのは「スキンヘッドマッチョも
老人も描けてファンタジーがいけるイラストレーターさんを予算内で探す」という点でした。見つけられてよかった。
イラスト調にする加工方法は、下記のリンクを参考にしました
◆ティラノゲームフェス2023に参加してるよ
一生懸命文字を打ってたらまとめ所が分からなくなってしまったので唐突に切り出しますが、現在私の作品は「ティラノゲームフェス2023」というノベルゲームの祭典に参加しています。
プレイヤー側はたくさん遊んで感想を書くとプレゼントが貰える、制作者側はたくさん感想が貰えるWin-Winでとても平和なお祭りです。
ぜひ遊んでみてね。
以上が私がゲーム制作をするにあたって役立つ事まとめでした。
きっと私の記事を読んで「そんな事知ってるよ」と感じた方もたくさんいると思います。その事に対して何か綺麗な事を言って締めようと思ったのですが、何も思いつかないのでそのままにしておきます。
ゲーム制作はとっても楽しかったので、次はせっかく入手したUE5を生かしたゲームを作ってみたいなと思っています。
犬が爆走するゲームとか。
◆依頼したイラストレーター様
konoike様
キャラクターとドラゴンをお願いしました。ムキムキもムチムチも老人も美男美女もドラゴンもイケる凄いイラストレーター様です。
kokitune様
エルフのレストランの背景をお願いしました。
韓国とか青山の映えフラワーカフェ写真を送って「これを中世ファンタジーにして!差分は中華!」というだいぶ頭お花畑な依頼をしたのですが、完璧な映え背景を描いてくださいました。
お二人の名前が似ているのは全くの偶然なのですが、koで始まってeで終わるイラストレーター様は天才が多いのかも知れないです(サンプル数2)。