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運の方程式

「運」を科学で攻略!

人生を好転させる、最先端の研究成果を解き明かす。

近年、科学者たちは「運」を科学的に研究し、良い偶然を引き寄せる方法を解明し始めています。

プリンストン高等研究所、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、ハートフォードシャー大学など、世界の一流機関のチームが研究を牽引し、画期的な成果を上げています。

本書では、最新の「運」研究に基づき、運をつかむために必要なスキルを伸ばす方法を、実践的に解説します。





・行動×多様

たくさんの行動を起こすスキルとは何か?

問題の答えを探すべく、一旦遠回りをして、別の疑問について考えてみましょう。
それは、「天才に共通する性格とは何か?」というものです。
その答えは「開放性の高さ」でした。

簡単に言えば、天才たちは、みな「好奇心」にあふれていたわけです。
何にでも興味を持って取り組めば、それだけ幅広い経験を得ることができ、難しい問題への対応力も高まります。
ジャンルを超えた知識が身につくおかげで思いもよらない情報が結びつき、斬新な思考や表現が生まれる確率も上がるでしょう。
どんな行動も、あなたの行動は決して無駄ではありません。
偉大な発見の中には、当初は無駄と思われた行動の積み重ねから生まれたものも多いからです。
有益な答えなど探さなくても構いません。
子どものような好奇心を持ち続ける中で、たまに正しい答えが見つかれば良いのです。


・察知

「知的謙虚さ」なる言葉をご存知でしょうか?

一言で言えば、自分の知識と能力の限界を正しく把握できている状態のことで、知的謙虚さを持つ人は、己の不十分さに気づいているがゆえに、自らの意見にしがみつきません。

知的謙虚さのレベルが高い人には、以下のような特徴が見られます。
①自分の間違いがわかっても、意地にならずに意見を修正する。
②自分とは意見が異なる相手と出会っても、寛容な態度を崩さない。
③データやファクトをもとに真実に近づくのはがうまい。

知的謙虚さを持つ人は自分の限界を知っているため、そのぶんバイアスに惑わされにくく、客観的な情報をもとに真実を追求できます。
知的謙虚さは、あなたの察知力を高めるためには欠かせない要素です。


・行動(継続力)

さまざまなことに挑戦(行動)することはわかったが、全てに同じリソースを注いでいたら、いくら時間があっても足りません。

どこかのタイミングで「行動のメイン」を決めなければ、全てが表面をなでただけで終わりかねません。
いかにも難題ですが、実はある程度の目安なら存在します。
一言で言えば次のようなものです。
「自己調和ゴールを目指す」

この考え方では、私たちの持つモチベーションの種類を、4つのパターンに分類します。

①外的動機
報酬を受け取るため、または罰を避けるためなど、外部からの期待や要求だけに基いて発揮されるモチベーションです。
「上司に言われたからやる」など

②義務動機
自分を他者よりも優れた人間だと思うため、または他人よりも劣った存在だと感じたくないために発揮されるモチベーションです。
「友達より良い成績をとりたいから勉強する」など

③統合動機
その活動の価値を、心から信じることで発揮するタイプのモチベーションです。
「この勉強は人の役に立つから価値がある」など

④内発動機
報酬の獲得や目標の達成ではなく、活動そのものからのモチベーションを得るパターンです。
「ランニング自体が楽しい」など

これらのモチベーションのうち、継続力が高まりやすいのは「統合動機」と「内発動機」です。
どの活動に活動を続けるべきか迷ったら、ぜひ「自己と調和しているか?」を基準の一つにしてみてください。


・回復

何度も見てきたように、幸運の発生率を上げるには行動の量を増やすしかなく、行動の量を増やせば自ずと不運の量も増えます。
より多くの幸運をつかみたいなら、より多くの不運を事前に織り込んでおくしかないでしょう。
この問題に対処するために、問題に直面した際に取り組んで欲しいのが「科学者マインドセット」です。

このマインドセットは、次のような視点で問題を捉えます。
①問題を解くためには、仮説と検証をくり返すしかない
②実験の失敗とは、新しく得られたデータのひとつでしかない
この考えを持つだけで、人生の挫折から立ち直るスピードは格段に早くなります。

こうした失敗の捉え方は、一般的な失敗のイメージとは大きく異なるでしょう。
現代社会では、失敗を「己の欠陥」と同時にみなす傾向が強く、それゆえに私たちの多くは挫折を無能の証拠だと思いがちです。
その一方で、科学者にとっての失敗は、能力の低さを示す証拠にはなりません。
実験の失敗は仮説のエラーを示す情報のひとつでしかないため、どのようなミスや間違いを犯そうが、それは真実に一歩近づいた証拠にすぎないからです。
もっとも重要なのは、「世界は壮大な実験室である」という視点を忘れないことです。


『まとめ』

私たちの成功は、大半が能力よりも「運」で決まる。
運の方程式は、「幸運=(行動×多様+察知)×回復」である。

運をつかむためには、初めに「行動(チャレンジ)」の総量を増やし、それと同時に行動の「多様性」を広げていくことで、複数の偶然が舞い込むための土台を作ります。
そのうえで予期せぬ変化を「察知」し、失敗から何度も「回復(立ち直る)」することで、たんなる偶然をポジティブな巡り合わせに変える。


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