賢い人がなぜ決断を誤るのか?
①認知バイアスの分類
1.パターン認識バイアス(確証バイアスなど)は、最初に考える仮説に影響する。
2.アクションバイアス(自信過剰など)は、するべきではないことを私たちにさせる。
3.惰性バイアス(アンカリング、現状維持など)は、私たちの動きを止めて失敗させる。
4.社会的バイアスは、組織のミスを導く。
5.利益バイアスは、意思決定者の判断をゆがめる。
しかし、失敗の全てをバイアスのせいにすべきではない。
意思決定の失敗の多くは、性急さと不注意当事者の能力不足、不注意、不誠実などの産物だ。
②自分のバイアスに気づくことができるのか?
結論、人のバイアスには気づくことはできるが、自分のバイアスには気づくことはできない。
これがバイアスと単純なミスとの重要な違いだ。
誰でも、ミスがどういうものかを知っている。
ミスを犯したときにはそれに気づき、再び同じミスをしないように行動する。
しかし、自分のバイアスに気づくことはほとんどない。
それどころか、自分の仮説や推論には自信を持っていて、疑おうとしない。
たとえば、確証バイアスに陥っていると、自分の仮説を否定するデータより、それを裏づけるデータを優先して探すようになっていることに気づかない。
そして全力を挙げて、自分の見方を裏づける証拠を見つけようとする。
このように、障害の存在に気づかなければ、それを乗り越えることができない。
③バイアスに対処する、でもどのバイアスに?
たとえば、あなたは「自信過剰になりやすい」と自覚していたとしよう。
だからあなたはいつもジャケットのポケットに「たぶん彼は正しい」とかかれたカードを入れている。
だが残念ながら、そのカードはあまり役に立たない。
きった誰でもこう思う。
「たぶん私は間違っている。でも、どこが?」
④バイアスの是正におけるデメリット
仮に自らのバイアスを抑制できて、完全に合理的で冷静な意思決定者になれたとしても、それは決してよいことではない。
私たちのバイアスはヒューリスティクスの副産物だ。
ヒューリスクティクスとは、私たちが日々の意思決定の際に、強力で、迅速な方法として用いる「直観」のことだ。
たいていの場合、それはよい結果をもたらす。
バイアスの悪い影響ばかり見ていると忘れがちになるが、ヒューリスティクスは人を迷わせる一方、必要不可欠な貢献もしてくれる。
通常、必要性の高い道具を、時々ミスを起こすという理由で捨ててしまうのは、愚かな選択だ。
⑤個人のバイアス、組織の意思決定
要するに、自身のバイアスを把握するのは非常に難しく、どのバイアスを是正すべきかを事前に知るのは不可能だ。
個人のバイアスを打ち消すことに執着するのは時間の無駄だ。
つまり、組織の意思決定方法を改善しなければいけない。
それは、「協働(多様性)」と「プロセス(ルール)」である。
⑥「プロセス(ルール)」と「協働(多様性)」
たとえば、宇宙飛行士の場合を見てみよう。
宇宙飛行士は、厳密に標準化された「プロセス」に忠実に従う。
宇宙飛行士は、何千人の候補から選ばれたエリートであり、極限の状況下での広範な訓練により、「宇宙船についての知識を完璧に取得し、未知の部分を排除する」ように訓練されている。
しかし、事件が発生しすると、宇宙飛行士は何よりも事前に決められた「プロセス」に頼る。
自らの直観を過信しがちな私たちは、宇宙飛行士の謙虚さに学ぶべきだ。
これこそがプロセスの重要性だ。
では、「協働」についてはどうか。
全ての宇宙飛行士が徹底的に訓練を受けるだけではなく、他のメンバーと疑問を共有し、互いを完全に信用して話せるようにならなければならない。
ミスや迷いがあれば、それを認める。
なぜなら、次の乗組員の訓練やチェックリストの改良に繋がるからだ。
無事帰還した宇宙飛行士たちが健全な意思決定を下せたのは、即興ではなく「プロセス」のおかけであり、個人の才覚ではなく「協働」の賜物だ。
『まとめ』
自身のバイアスを把握するのは非常に難しく、どのバイアスを是正すべきかを事前に知るのは不可能だ。
つまり、個人のバイアスを打ち消すことに執着するのは時間の無駄だ。
解決するには、組織の意思決定方法を改善しなければいけない。
それは「協働(多様性)」と「プロセス(ルール)」である。
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