恍惚の人

彼は
なかなかの
忘れん坊さん

普段
しっかりしているから

可愛いところだと
思う

でも
やだと
彼は言う

アルツハイマーになって
わたしのことを
忘れたらどうしよう
と
怯える彼

未だに会うと
本当に綺麗だ
好きだ
愛してると

言ってくれる
彼だから

きっと
アルツハイマーになって
私のことを
忘れても

朝、目覚めて
私を見ると

恋をしてくれるでしょう

奥手で
なかなか
告白してくれない
彼だから

朝ごはんを
一緒に食べて
お散歩しても

まだ
気持ちは伝えてくれない

ランチの時間になって
ようやく
気持ちを打ち明けてくれる
はず

でも
ずっと一緒にいたい気持ちは
早く伝えてくれるから

アフタヌーンティーの
時間には
プロポーズしてくれる
かもしれない

奥手で
なかなか
初めてのベッドに
誘ってくれない
彼だから

ディナーを食べて
ゆっくりとワインを飲んで
まったりと
したときにようやく

ベッドに誘って良いかな
と
紳士に誘ってくれるはず

相性が良い私達で
彼の好きなセックスを
私はよく
知っているから
恍惚の人を
恍惚の境地に
連れていくわ

そうして
愛してる
と
言い合って
眠りにつくの

毎日
彼はわたしに
恋をする

毎日
彼はわたしに
プロポーズする

そんな
日々の繰り返しなら
恐くないでしょ

毎日
新鮮な告白をくれる
彼に
わたしも
毎日
恋に落ちるの

素敵な
日々でしょ