毎日書く #03 through the senses
僕がフェイ・フューの内部世界を漂っていたときのこと。
フェイの内部で何度も会った、あの四角いオブジェクト。真四角じゃなかったかもしれない。
ゆがんだ四角かもしれなかったけど。
そういう幾何学的なものがたくさん浮かんでいるのを僕は目にした。
それらは動いていたと思う。
僕は流れに逆らって漂っていた。
というか、僕も、流れていた。逆流と逆流どうしが、どうにかしてすれ違っていたんだ。
蜜豆の缶詰に入っている、ピンクや緑の色の付いた寒天。
あれに似た色合い。
というか、蜜豆の缶詰そのもののようだった。あのストリームは。
紅いえんどう豆を僕は一つ口に入れる。
歯で割れると粉が溢れる。
ざらざらした、ふくよかな粉。その量たるや、膨大。
僕は周りを漂っているえんどう豆の全てを割ってみたい。
僕はたちまち、えんどう豆を収穫する人になる。
僕はそのための支度さえする。
えんどう豆を入れる籠を腰に下げ、移動しながらえんどう豆を取っていく。
はやく取った豆を挽いて粉にしたい。
石臼を回す。早く挽いてしまいたい。僕の手は震えさえする。
ごりごり。
豆はゆっくり砕けて粉になる。
粉を口に入れる。たくさん詰め込む。
そのために今までがんばったのだ。
僕は豆の粉を口へ詰め込む人になる。なりたかったのだから。
口を粉で満たす。
口を粉で満たす。飲み込むのも待てないほどに、急いで満たす。
満たす。
それがやりたかったのだから。
僕はそこへ崩れ落ちる。
口から豆の粉を溢れさせて・・・。