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2022年8月の記事一覧

これから書き手をめざす人へのメッセージ(小説家・藤野可織)―文芸領域リレーエッセイ①

2023年度に新設する文芸領域への入学を検討する「作家志望者」「制作志望者」へのエールとして、作家、編集者、評論家の方がリレーエッセイとしてお届けします。 今回は文芸領域の教員で小説家の藤野可織さんのエッセイをご紹介します。 藤野 可織(ふじの・かおり) 京都市生まれ。同志社大学大学院修士課程修了。2006年「いやしい鳥」(『いやしい鳥』河出文庫)で第103回文學界新人賞を受賞し、作家デビュー。13年「爪と目」(『爪と目』新潮文庫)で第149回芥川龍之介賞を受賞。14年

「意味」について(1)

意味がある、という言い方で、僕は何が言いたいのだろう。 僕はこの言い方を「特殊な意味」で使っている。どういう特殊性かと言えば、現代思想的な背景がある、ということだ。さっそく固有名詞だけ出すと、ドゥルーズの『意味の論理学』における「意味 sens」の定義、その取り扱いを念頭に置いているのである。ただ、僕のその解釈が本当に合っているのかは、ちょっと疑問符が付くかもしれない。多少の独自解釈が入っているかもしれない。