子供のためのオルセー美術館(93)雨のパリを歩いてみない?/カイユボット、新しくなったパリを行く
今日も雨、ひと雨ごとに冬が近づくパリ。マドレーヌの街かどから、
サン・ラザール駅の坂を上のほうまで歩いていくと、ここは新しくできあがった道路。
傘をさして先を急ぐ人たち。あそこには馬車も走っています。
カイユボットは、この雨が降る駅裏の新しい通りを描いて印象派の展覧会に出しました。この大きい絵にはみんなが驚き、話題になりました。
石畳の通りはどこまでも続いているように見えるし、遠くまでいっぺんに見渡せるくらい広く見えるのです。
新しくなった石畳は雨に濡れて光っているけど、もう水たまりはないから大丈夫。
パリジャンはおしゃれしてハットをかぶり、ピンと布をはった傘に細工のある木の持ち手をにぎります。
実はこの絵に、カイユボットもいるんですよ。どこだかわかる?
ほらここに。
カイユボットはコートのボタンもかけずにさっそうと、黒い毛皮の縁取りがあるドレスの女性と一緒です。
おや?
むこうに何があったのでしょう、ふたりで何か見ながらこちらに歩いてきます。
あっ、気をつけて!
よそ見してると、向かいの人とぶつかっちゃう!
Gustave Caillebotte
RUE DE PARIS, TEMPS DE PLUIE 1877
The Art Institute of Chicago-Orsay
ギュスターヴ・カイユボット
パリの通り 雨 1877
シカゴ美術館 オルセー美術館企画展2024 カイユボット
お読みいただきありがとうございました。
なんとかっこいいパリのムッシュたち!
カイユボットの描く150年前のパリの景色は今と少しも変わらず、ただ行き交う人々のおしゃれな傘やハットが当時をしのばせます。
落ち着いた地味な色合い、雨に濡れた石畳にうつる光の反射と人の影。印象派展に出展ながら、その写実性や細かい筆にサロンの古くからの常連も絶賛。ただ真ん中の街灯から左右に全く距離感の違う人々を斬新に描き、それまでカイユボットに酷評を続けてきた印象派の良き理解者エミール・ゾラは、「等身大の現代的な題材から逃げない、最も勇気ある若い画家、M.カイユボットの名を挙げよう」と好評をよせました。
パリの秋はひと雨ごとに深くなっていきます。
雨が多い寒い毎日。それでも晴れ間がのぞいたら、このとおり!
オルセー美術館企画展カイユボット デモビデオ55秒