子供のためのオルセー美術館(86)このあざやかな黄色は?/出番が終わったら・ロートレック
ムーランルージュの美しい道化師、130年前のパリから
パリのムーラン・ルージュのダンサー、チャウカオは、当時ではめずらしいサーカスの女性のピエロです。
足上げカンカンダンスも上手だし、アクロバットもできる人気者でした。
おっ、チャウカオだ!
スポットライトをあびてチャウカオが出てくると、お客さんは大喜び。拍手がなりやみません。
そして、舞台が終われば、楽屋に直行。
トレードマークの大きな黄色いフリルの襟を急いではずします。
もう暑いし邪魔!さっさと取らなくちゃ。
ロートレックは、華やかな舞台にいる人気者の姿ではなくて、
こんな踊り疲れた楽屋のチャウカオを、背中から描いたのです。
それにしても、この鮮やかな黄色はどうでしょう!
ごわごわと重なってすき通った黄色いチュチュの襟は、疲れた後ろ姿のピエロを、まだ華やかに見せます。
それと、頭にきゅっと結んだ、
キュートな黄色のリボンも!
ロートレックの描く色はいつもカラフル。
茶色のボール紙に、赤いソファや緑の壁。何度も何度も細かく筆を動かしました。
あ、誰か来たんじゃない? 鏡にうつってるけど?
もう!ほっといて!
誰が見てたって、かまやしないわ!
Henri de Toulouse-Lautrec
Clownesse Cha-U-Kao 1895
Huile sur carton
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
女道化師チャ・ウ・カオ 1895
ダンボール
Henri de Toulouse-Lautrec
Entrée de Cha-u-Kao 1896
Metropolitan Museum of Art
チャウカオの入場 1896
お読みいただきありがとうございました。
お子様には毎度少々説明の難しいロートレックのモデルたちですが、ロートレックの絵はいつも何か素直な子供のような描き方をしていませんか。
こんなお子様にでも表現できそうな、この素早い筆致や鮮やかな色使い、ダンボールに描いた一風変わったシーンの切り取りは、このダンサーのプライベートを表現するにもぴったりですね。
さきほどパラリンピック開会式が始まりました。
今晩また気球が上がります。空も秋、ですね。
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