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子供のためのオランジュリー美術館(9) ローザと3匹の犬/アンリ・ルソー、公園を行く馬車

ここはパリのチュイルリー公園こうえん、このまえまでオリンピックの気球ききゅうがあったところです。

パリ14八百屋やおやをやってるジュニエおじさんは、あたらしいうま、ローザがおり。
日曜日にちようびには、馬車ばしゃって公園こうえん散歩さんぽかけます。今日きょうめいのレアも一緒いっしょです。

みんなのかおは、ちょっとほこらしげでしょう?なにしろあたらしい馬車ばしゃなんですから。

なんて気持きもちのいいみち
ここはパリでも人気にんき公園こうえんだから、

自慢じまんうまはしらせるジュニエおじさんは、どんなにうれしいでしょう。

アンリ・ルソーは、こんなたのしい不思議ふしぎきました。
最初さいしょにこのくために、ならんでいるをなくしました。そうすると、こうの青空あおぞらくもがよくえるのです。

さて、このに3びきいぬがいるのにがつきましたか?

馬車ばしゃってベロをしているのは、ジュニエおじさんがっているいぬ、マルキ。まるでひとみたいにみんなと一緒いっしょにこっちをています。


そして馬車ばしゃしたにいるくろいぬ
みんなからおおぎるってわれましたが、ルソーは全然平気ぜんぜんへいきです。

だって、ジュニエおじさんの馬車ばしゃがどんなにひろいかよくわかるし。

さあ、あともう1匹いっぴきはどこにいるでしょう。

えっ?
うままえをトコトコあるいているあんなちいさいの?もうみんなびっくりです。

ルソーは、うま立派りっぱに、もっとおおきく目立めだたさせるためにこんな小さいいぬいたのです。だってローザは、ジュニエおじさんご自慢じまんったばかりのうまですから。


最後さいごに、ルソーがいたローザのあしかげてください。


うまなのに、ひずめでつま先立さきだちしている!
ほら、ルソーがいつもやるお得意とくいかた。まるでかんでいるみたいに見えるあれです。
へんなの!やっぱりおかしいでしょ。


いえいえ!
なんてったって、この主役しゅやくは、自慢の馬ローザなんですから!!

HENRI ROUSSEAU
La Carriole du père Junier  1908
アンリ・ルソー
ジュニエ爺さんの馬車 1908

毎朝バグノーとヴェリエール・ル・ブイソンの市場菜園家から仕入れた野菜を売っていたジュニエ氏。彼はルソーと古くからの友人で、ルソーは彼に金を借りていたので、自慢の馬を買ったばかりだったジュニエ氏のために、ルソーが絵を描くことになった。ルソーは写真から絵を描いた。
しかし、ルソーはいくつかの重要な変更を加えて作品の本質を明らかにした。
彼はチュイルリー公園の通りから木を取り除き、とりわけ3匹の犬の大きさと位置で遊んだ。犬は造形的な機能を担っている。
大きな黒い犬は荷車に奥行きを与えた。
ルソーの信奉者画家マックス・ウェーバーがルソーに、この黒い犬は全体のスケールに対して大きすぎると指摘したが、画家は、自分の絵がそれを要求しているのだと言い返した。
一方、荷車の前を歩く犬のミニチュアは、馬の記念碑性を高めている。
馬は蹄の先で奇妙な立ち方をしており、地面に落とされた影がその効果を際立たせている。馬は、ほとんど宙に浮いているように見える。
ルソーはこうしたパラドックスが好きで、特定の人物を純粋に絵画的な空間に浮遊させている。
馬車の乗客は、ジュニエ氏を除いて、ビザンチンのアイコンのように正面から厳密に描かれている。

musée de l’orangerie 

お読みいただきありがとうございました。
ルソーの絵の、不思議で奇妙な感じをいだかせる細部の構成にはいつも驚きますね。
以前にご紹介した絵、主役の花嫁もやはり浮き上がっていました。

自ら写実主義者と言いながら子供のような純真でナイーブな作品の数々。多くの説明は不要なルソーの揺るぎない自信を感じる絵。是非ただただ楽しんでいただきたいです。


さて写真をご覧いただいたように、パリはすっかり秋模様、今日も最低気温は7度と雨が続き冬近しです。
オリンピック以来、チュイルリー公園からやっと見えるようになったコンコルド広場は、後片付けが進まずまだ立ち入り禁止です。

国旗のポールがまだ多数並ぶコンコルド広場
公園からやっと見えるようになったシャンゼリゼと凱旋門

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