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子供のためのオルセー美術館(97) 飛び出る色は何色?/ゴッホとカイユボット•1本の白い線と三角と

みずうえしろつちうえしろ


今日きょうしずかなセーヌがわよう!
カイユボットは大好だいすきなヨットを細長ほそながいキャンバスにきました。
ヨットのは、

すこしのかぜでもさきがピンとして、しろのとがった三角さんかくになりました。
まぶしいしろ
するととたんにみずうえに、白いしましまがいくつもかさなって、ゆらゆらこうのほうまでながれていきました。

カイユボットの三角さんかく白色しろいろは、あおみずびこむくらい元気げんきしろです。


さて、ここはアルルの遊園地ゆうえんちのはじっこ。

ゴッホは、ボヘミアンの旅人たびびとたちのきました。
ながたび合間あいましずかなひととき、うま荷車にぐるまからはなたれてくさべています。

ほこりだらけのホロ馬車ばしゃは、あかみどりでこんないろとりどり。ここにゴッホのしろはあるのでしょうか。

さがしてみましょう。

あそこにしろうま

それからがついた? こっちのしろせん

広場ひろばふとせんはまっすぐに。
ゴッホはぶあついしろでズズズッと、馬車ばしゃかって一直線いっちょくせんきました。


ゴッホのたった一本いっぽんしろせんは、そらよりもどこよりも、つち地面じめんをいちばんあかるくせたのです。

Vincent Van Gogh
Les Roulottes, campement de bohémiens aux environs d'Arles 1888
フィンセント・ファン・ゴッホ
アルル近郊のボヘミアン達のキャンプ 1888

1888年8月12日、ゴッホは弟テオに「縁日の停車場、赤と緑の馬車の小さな習作を描いたところだ」と手紙で打ち明けた。アルルに到着して以来ゴッホはこの地を散策するたびに目の前に現れる多くの主題に心を奪われていた。
このロマのささやかな野営地は、その対照的な色彩とその光景から醸し出される平和でゆったりとした雰囲気がゴッホの関心をひいた。

musée d’orsay 

Gustave Caillebotte
BATEAU, ÉTUDE Vers 1893
ギュスターヴ・カイユボット
ヨット 習作 1893

このヨットの作品は習作。1880年代に印象派グループが解散しグループ展が終わってからは、カイユボットはパリで展覧会を開くことはほとんどなかった。
1887年にパリを離れるが、彼がパリを離れたのはノルマンディーのレガッタに参加するためだけだった。
しかし彼は以前にも増して大胆なスタイルで「アマチュア」の活動に触発された作品を熱心に描き続けた。特に大好きなヨットは自ら設計制作までして舵をとり、のちにセーヌ川を航行する自分自身の傑作を残すことになる。

musée d’orsay 
ひときわ輝く白

お読みいただきありがとうございました。
オルセー美術館カイユボット企画展からヨットの習作と、ゴッホの穏やかな作品をご紹介しました。
カイユボットの絵は、白一色の三角だけ。習作なのに驚くほど引き込まれる白でしたのでテーマに。ゴッホの白もあわせて見ていただきました。
ゴッホは小さいサイズの優しい色合いの作品にもかかわらず、インパクトのある白い直線にどきっと驚かされます。この線とキャンバスの半分もある何もない地面が光り輝いているのが画像で見えるでしょうか。
白色は、クレヨンでもあまり使われない色。もっと使って、白は輝くよ、と遠い昔、子供の頃の自分に言ってあげたいと思いました。

白い道

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