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死亡遊戯で飯を食う。 鵜飼有志 ネタバレ注意

作品概要

萌え×デスゲームの異色作。

主人公の幽鬼(反町友樹そりまち ゆうき)十七歳(表紙の女の子)は生還率七割のショウゲームに参加して28回目のベテラン。

三百万円の賞金やゲーム内での美少女たちの醜態をたのしみにしつつも、真の目的は九十九回のゲームクリア。

その到底達成不可能に思える目的を持ったのには過去最大級の参加者と過去最低の生還者数を記録した9回目のゲーム【キャンドルウッズ】が関係していた。

勝つために。生き残るために。物語が必要だった。
幽鬼ユウキは言った。「――一緒にすんな‼」

死亡遊戯で飯を食う 223頁

構成によるキャラクターアークの描き方の上手さ

読み終わって一番印象に残ったのは、前半部の28回目のゲームと後半部の9回目のゲームの時系列の入れ替えとそれにより生じた現実感の強すぎるキャラクターである幽鬼ユウキの独特な魅力だった。

前半はベテランとして成熟した幽鬼ユウキのセンスと経験で、難ありながらも確実にクリアする安心感を読者に与えるが、それゆえに生じた幽鬼ユウキの無敵感はデスゲームならではの緊張感を薄れさせてしまうし、何より成熟している以上幽鬼ユウキの成長が後半に感じられなくなる。

本来物語は前半に欠けた主人公を細部まで描き出して後半にその欠けた部分を新しい形で取り戻すという基本があるが、この基本にのっとるなら後半部はなろう主人公のような都合の良い大活躍を続けていく様を見させられることになるだろう。

しかし、過去のゲームに焦点を戻すという手法によってまだ経験が浅いのに勝利する幽鬼《ユウキ》の類まれなるセンスの強調と前半に感じた共感し辛かった動機、「九十九回のゲームクリア」というきっかけに共感できる仕掛けもほどこしている。

この構成で前半部で読者にとってあこがれる対象になった幽鬼ユウキに、後半部で共感できるようになった上にさらに魅力的になったことで読者はメロメロになってしまう。真の意味でキャラ萌えした読者が次巻に手を伸ばすのは時間の問題ということになる。作者の鵜飼先生の達者さがうかがえる(恐ろしいことにこれがデビュー作らしい)。

購入リンク先と次回の本

次回の読書感想文は「死亡遊戯で飯を食う。2」作者 鵜飼有志

まあ、面白すぎたので現行している6巻までは読むことは確定した。毎度毎度新奇なデスゲームへの好奇心と美少女たちのコスプレ絵と安心して共感できる無敵の幽鬼のおかげでかなり手軽に読める。文体もくせが少なく読みやすいのでラノベ初めてって人にも向いてる作品かもしれない(もちろん宣伝等は頼まれていない。自主的にやっているのである)。

ちなみに最新第7巻は9月25日に発売。さらにアニメ化も決定とのこと。

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