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【法学部生向け】 法律行為の意義 なぜわざわざ習うのか? 水曜の夜会
ごんばんは。lotterです。
記事をのぞいていただき、ありがとうございます。
前回まで、あんまり取り扱われていないであろう、
・法律行為が権利変動原因のひとつであること
・法律行為が意思表示を要素としていること
を論証してきました(ここまでの2回はコチラ)。
そして!これが第一編「総則」に書かれていることから、
・意思表示を要素とする権利変動をまとめる概念であること
も分かります。
なんのためにこんなことをしてきたのか!!
すべてはこの日のためだ!!
1.法律行為の意義
おぉ、教科書っぽい。
意義といわれるとピンときませんが、なんとなく、
どんな意味があるのか、どんな内容なのか
みたいなニュアンスだと思ってください。
この記事
の最後の方で解説したように、権利の内容は多様で、法律行為という概念で説明することはできません。
なので、どんな権利を持っているのかということについて、
法律行為という概念は具体的な答えを出せません。
役に立たん❗️
・・・実際その通りで、裁判のときに法律行為うんぬんというのはあんまりない(少なくともそれだけで決着がつくようなことはほとんどない)。
ではなぜ、わざわざ講義で習うのでしょうか?
民法はなぜわざわざ第一編「総則」に規定を置いたのか。
それは、
「自分のことは自分で決める」という
私的自治の原則にとって、
法律行為概念は特別な意味を持つから
と説明できます。
法律行為は、前回まで説明したきたように、意思表示を要素とする権利変動原因です。
意思表示については次回以降解説していきますが、表示しているのは自分の意思です。
つまり、
「自分の意思で権利を変動させる(ことができる)」
ということを民法は基本としている
といえます。
それはまさに、私的自治の原則を反映したものであり、民法は私的自治の原則を承認しつつ、様々な規定を作り上げているといえるのです。
法律行為という概念は、わたし達が自分の考えや行動を自分で実現していくための手段なんですね。
2.だからなに?
でも、法律行為という概念と私的自治の原則が、自分の意思という点で結び付くとしても、だから?という感じだと思います。
私的自治の原則は、近代法の大原則で、しかも、資本主義制度とも深く関係するので、日本という国家にとって(というか、他の多くの国家にとっても)基礎となっている考え方ではあります。
そして、それを民法が承認しており、法律行為を特別なものとして位置付けていると考えるならば、
法律行為に関わる民法の規定というのは、
安易に例外ルールを設けない方がいい
という解釈が導かれます。
つまり、
人が行った法律行為は最大限に尊重されるべきで、
国家や他人がそれに対してむやみに
制約を加えてはならない
ということです。
自分で自分のことが決められなくなっちゃうから。
権利の具体的内容とはあんまり関係のない法律行為という概念ですが、
民法や民法の規定を修正する他の法律を
解釈するときには役に立つ
ということがわかってもらえたかなと・・・。
例えば、消費者契約法という法律には、消費者保護のために、民法に規定されているよりも多くの「法律行為が効力をもたなくなる場面」が定められています。
しかし、それは、「消費者保護だから大体どんな内容にしてもOK」という大雑把な議論ではなくて、
消費者保護のために必要だとしても
・どの範囲で
・どのように
無効となる場面を規定するか
という検討が必要で、そのときには法律行為という概念をよく理解したうえで、過度な制限とならないように詰めていかなければならないということです。
3.まとめ
まとめておきます。
いきなり出てきてみんなを惑わせてくる法律行為概念。
次回からはもう少し具体的な内容を解説していきますが、
法律行為という概念は、
自分(の意思)で自分の法律関係を決めていく
という基本を表現するためのものだということは、頭のすみっこに置いといてください。
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