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イタリア版 神仏習合(トップ画像が)

昨日、月曜日から新しいバイトを始めた。
いつも初出勤の翌日はシフトを入れないことにしているのだが、それでもいつも通り朝五時半に起床した今日、火曜日。僕が起きる6分前に、こちらの記事[↓]が投稿された。


※この記事(上のリンクの記事ではなく、今あなたが読もうとしてくださっているこの文章)は、日本人の僕とイタリア人の友人アンドレアがイタリア語で交わした会話(フィクション含む)を、日本語に訳したものです。
ほぼ会話文のみで構成されているので、誰の発言であるかを明確にするため、僕の台詞にはL、アンドレアの台詞にはA、仏像の台詞にはBを、「」の前に付けてお送りします。


L「もう最終回か。書く方からすれば長かったと思うけど、読む方としてはあっという間だったな」

A「毎回知らないことばかりだったから、とても新鮮で興味深かったよ。画像もたくさん載っていて分かりやすかったし。いつか日本に行って実物を見るのが本当に楽しみだ」

L「来年僕の滞在許可証が取れたら、そのあとに帰国するときはお前も一緒に来る予定だもんな。そういえば、この前kaekoikさんに『鎌倉にあるおすすめの寺』を教えてもらって、来月中にそこへ初詣に行くつもりなんだ。将来お前を案内できるように、ちゃんと見学してくるよ。閻魔大王が祀られている寺らしいんだけど、今回の記事は、その閻魔大王こと "日本版ミノス" から始まってる」

A「二人の役割は似ているけれど、イタリアの(地獄の)裁判は裁判員制に近くて、日本のは陪審員制に近いんだ... この世に残された人が死者の罪を軽くできるなんて... 亡くなった本人は煉獄へ行かなくてもいいんだね」

L「日本には煉獄なんて無いんじゃね? 額に7つの "P" を刻印されずに済むけど、供養してくれる人が誰もいなかったら、そのまま罪に応じた地獄行きだな」

A「『生前の行いが記録された冊子』の中から、最も重い罪が適用されるんだろうね」

L「日に何人死ぬか知らないけど、何人もの一生が紙*ベースに収められてるってすげぇなw あと、いい行いも加味*してほしいところだけど、まぁ、お前の言う通りかもね...なぁ、お前が人生の中で犯した一番重い罪ってなに?」
(*掛詞になっています。神と)

A「さぁ...なんだろう... 君は?」

(以下、フィクションです)

L「アルフレードが残した大麻を売り捌けなかったこと」

A「...おい」

L「だってそうだろ。ダンテの地獄(Wikipediaのリンクはこちら)でいうと、『裏切り』は最下層の第九圏で罰せられるんだよ。『窃盗』が第八圏だから、アルフレードを裏切ったことのほうがスリより罪が重いじゃん」

A「アルフレードは君に大麻を託したわけじゃない」

L「まぁそうだけど。で、お前は?」

A「...食い逃げ...かな」

L「それは罪じゃないよ。『肉親』同然の人間を裏切らなかったんだから。僕に言わせれば、今までにお前が話してくれた中では、ケンカ相手の頭をワインボトルで殴ったことだと思うけど。『暴力』だから第七圏だね。でもさ、それを言わないってことは... 他にも何か、もっと悪いことしたんだろ」

A「してないよ。しかも、あれは正当防衛で... そんなことより、仏教の地獄だとこれらの罪はどんな地獄に該当するの?」

L「えーっとね、Wikipediaによると、窃盗が第二層の『黒縄こくじょう地獄』。熱く焼いた縄で身体に縄目をつけられ、熱鉄の斧で縄目の通りに切り裂かれるとか... 食い逃げもこれにあたるんじゃね。人を殴るのは罪に問われないみたいだけど... お前、仏教徒だったら最悪だったわ。さらに『邪淫』が加わると、第三層の『衆合しゅごう地獄』へ行かないといけないから... 相対する鉄の山が両方から崩れ落ち圧殺される、とか」

A「日本では女の子と遊ぶのは窃盗よりも罪が重いのか... カトリック教徒でよかった。一方、君の場合は仏教徒になるほうがいいね」

L「どうだろ。より低い所から高い所へ上った方が達成感は大きいから...」

A「いや、勝手に上ってこられないだろ」

L「僕は上るもん。阿弥陀如来に迎えに来てもらえなくても、地蔵に助けてもらわなくても、全然平気」

A「...俺には地獄で泣きながら助けを求める君の姿が目に浮かぶようだけど。きっと供養しないといけないんだろうな... ということは、君より49日間長く生きないといけない」

L「大丈夫。僕の父さんの家系は短命だし、多分いける。でも、供養なんてしなくていいから、地獄の最下層でルシファーに会えるように祈ってよ。実物が見てみたい。kaekoikさんの記事のあとがきに、展覧会で『もし一つだけ貰えるなら』ってあるじゃん? 僕、世界中にある美術品で一番欲しいものはアレクサンドル・カバネルの『堕天使』なんだよね。地獄から這い上がって天国にのし上がったら、神様を説得してカバネルが描いたルシファーみたいな感じに転生させてもらうの。そのあと神に戦いを挑んで、『一敗地に塗れたからといって、それがどうだというのだ!』って言うんだ!」

A「...そんな先の話をしていないで、もう少し近い未来を考えなよ。kaeは『いつか仏像についてイタリア語で発信してみたい』っていう夢を叶えたけど、5年後の君は?」

L「そうだな... 英語は大嫌いだから、ラテン語の短長三歩格イアンボス・トリメトロスで会話形式の記事を書いてみせる!」


...さて。『仏像』シリーズ最終回というわけで、最後に、イタリアはエミリア・ロマーニャ州、フォルリンポーポリにある行きつけのバールに飾られていた仏像(トップ画像のやつ)を分析してみようと思う。

B「kaekoikよ、一年間ご苦労であった」

髪(←掛詞になっています。神と)は螺髪、三道があって、宝飾品をつけていない。両足を組んで座り、禅定印を結んでいる。薬壺は持っていないから... 釈迦如来かな? でも、蓮華座に座っていない... クリスマスツリーに飾られているポインセチアを敷いてあげたらいいのに。

241210

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