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<文章の書き方>Vol.6 お手紙de“書く”練習編-おまけ- 「季節の挨拶文を書く~ことばdeスケッチ~ 私はこんなふうにやってみました!編 その2」
このnoteでは、私自身がライターとして仕事をする中で教わってきたことや気づき、「私はこんなことを大切にしています」ということを書き綴っていきます。
「文章を書くことに苦手意識があるけれど、気持ちや思いをじっくりと伝えるために、好きになれたらいいなぁ」「自分が出会った素敵な人や場所、出来事について、文章で誰かと共有できるようになれたらいいなぁ」と思っている方にとって、少しでも何かご参考になれば嬉しいです。
1回目の記事で「“書く”コミュニケーションの練習として、1人、誰かのことを思って、そのたった1人に伝えるために書く、お手紙を書いてみませんか?」と提案しました。
お手紙を書くことを通して、伝える力や表現力を磨いていけたらいいのではないかなぁと考え、2回目の記事から「お手紙de“書く”練習」をテーマにお話ししています。
これまでに、練習編①「伝えたいことを書き出し、整理し、型に入れる」、練習編②「つっこんで、内容を深める」とお話ししてきて、前々回は練習編③「時候の挨拶を書く~ことばdeスケッチ~」をテーマにお話ししました。
その中で、「時候の挨拶(お手紙の冒頭に書く、その時々の季節のことと、相手を気遣うメッセージ)には定型文を引用せず、自分の感性を生かした独自の表現を楽しむ部分とし、文章を書く・磨く練習をしませんか?」と、その1つの方法として「ことばdeスケッチ」を提案しました。
「書き慣れる」ためには、習慣化することが大切です。「これなら、続けられそう!」という方法を探るべく、いくつかの方法を試してみています。
前回は
「この日、『ことばdeスケッチ』をする!」と決心
↓
「あ、この景色を誰かと共有したい」と心ときめいた景色の前で立ち止まって5分間、言葉でスケッチ!
↓
翌日に言葉でスケッチした内容を100文字程度の文章にまとめる
という方法を試しました。
今回は「あ、この景色を誰かと共有したい」という景色を写真に撮っておいて、あとでその写真を見ながら、文章を書いてみるという方法にチャレンジ。その「試してみた!」を共有しますね。
そもそも「ことばdeスケッチ」って?
自分が今、見ている・感じている季節を、絵ではなく、言葉でスケッチしてみようというものです。
その方法として、
-
①その日もしくはその週に印象に残った
風景や音、香り・匂い、感覚、心象などを書き出す。
②「①」の中からトピックスやキーワードを選ぶ。
③「②」の中から、
相手に映像が思い浮かぶように、
100文字以内の文章でまとめる。
-
という流れを提案しました。
作家の遠藤周作さんも、文章を書く初歩的な訓練として、風景や人などを見て「~のような」と修飾語や形容詞をつけることをゲーム的に行っていたそうです。ご興味がある方は、遠藤周作著『十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。』(新潮社、2009年)を読んでみてくださいね。
今回の方法「撮影しておいて、あとで文章化」
次のようなプロセスで行いました。
①「あ、この景色を誰かと共有したい」風景をスマホで撮影
「ああ、なんかいいなぁ」「きれいだなぁ」など、自分の心が動いた風景をスマホで撮影しておきます。
②写真を見ながら思い出したことを箇条書き
あとで写真を見ながら、この風景のどこに心が動いたのか、その時に感じたり思ったり考えたりしたことを思い出して、箇条書きで書き出していきます。
文章化は後でしますから、体裁にこだわらず。また、ささいなことでもいいですから、思い出すままに、とにかく書き出していくことがポイントです。
あと、時間は「5分間」と決めました。時間をかけて思い出すというより、ぱっと思い出せることが心に強く残っていることだと思うから、時間を区切ったんです。
③箇条書きの内容をまとめて文章化
100文字程度の文章にまとめます。
文章をいきなり書き始めるのではなく、まずは「伝えたいこと=核」を決めるところから始めました。「私はその景色を見て、どうして『あ、この景色を誰かと共有したい』と心ときめいたのか?」「その景色を見た時に、どんな気持ちになったのか?」などを考えて、「このことを伝えたい」ということを明確にします。
その「伝えたいこと=核」を伝えるために必要な要素を、箇条書きした中からピックアップ。そのピックアップした内容をつなげて、文章にしました。
今回の方法を実践した私の結果がこちら!
①「あ、この景色を誰かと共有したい」風景をスマホで撮影
→撮影した写真がこちらです!
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②写真を見ながら思い出したことを箇条書き
→5分間、思い出したままに書き出してみました。
●ハナミズキの木が、赤色の実をつけていた
●ハナミズキの木を動画撮影中。虫の鳴き声に気づいた。鳥も鳴いていた
●ハナミズキの木が、こんなにも赤い実をつけるんだと初めて知った
●写真ではなく、動画だからこそ、音に気づけた
●風の音も聞こえた、感じた
●道路を車がせわしなく通りすぎる音も聞こえた
●空の、やさしい青が印象的だった
●秋を感じた
●涼しさを感じる今日この頃。秋の訪れを少しずつ感じていた
●空を見上げたら、秋空っぽい、やさしい空色と雲
●雲が棚引いていく感じがいいなぁと思った
●ハナウタを歌いたくなる感じ
●スキップもしたい感じ
●心軽やか
●気持ちいい朝
●朝のおさんぽ時間
●こんな時間がたまらなく好きだと思った
③箇条書きの内容をまとめて文章化
→「伝えたいこと=核」を考えてから、
「②」で書き出した内容から合うものをピックアップ。
その内容をつなげて文章にしました。
伝えたいこと=核:
耳を澄ますと、いろんな“秋の音”が聞こえてきます。
ピックアップ:
●ハナミズキの木を動画撮影中。虫の鳴き声に気づいた。鳥も鳴いていた
●写真ではなく、動画だからこそ、音に気づけた
●風の音も聞こえた、感じた
●空を見上げたら、秋空っぽい、やさしい空色と雲
ピックアップした内容をつなげて100文字程度の文章化:
虫の美しい鳴き声や鳥の元気な歌声、風のやさしい音に気づいて、はっとしました。1年の変化を追い続けている「ハナミズキの木」を、写真ではなく、動画で少し撮影したから気づけたこと。耳を澄ますと、いろんな“音”が聞こえてきます。そんなことに心ときめいた後、ふと見上げたら、秋空。
ちなみに・・・
この文章をお手紙の時候の挨拶にも活用するならば、最後に「○○さんが最近、秋を感じた出来事は何ですか?」「どんな“秋”を見つけましたか?」など、相手への一文を追記します。
感性、気持ち、思いを言葉に宿すために
「自分は何を感じたんだろう?」「この感じたことや気持ちを、あの人と共有するためには、どんな言葉でどう表現したらいいんだろう?」と考える時間は、自分自身を取り戻していく感覚もあって、豊かな時間です。
日常のちいさな遊びとして取り入れることで、自分の感性を研ぎ澄まし、気持ちや思いがちゃんと宿った言葉で表現したり、コミュニケーションをとったりできるようになるのかなと思いました。
ポイントは日記ではなく、「お手紙」を想定すること。つまり、自分だけで完結させないということです。そのことが、表現力やコミュニケーション力を磨くには不可欠だと考えています。
「“あの人”と共有するためには、どうしたらいいのか?」という気持ち、考える視点を持つからこそ、表現できることがあるのです。
今回で一旦、「お手紙de“書く”練習編」は完結します。全6回、ありがとうございました。次回からはまた新たなテーマで書いていきます。
「お手紙de“書く”練習編」シリーズ一覧
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