見出し画像

イギリス小話***③ナイフとアパートメント

今回は、2週間のイギリス旅行で宿泊した3つのアパートメントタイプの宿泊施設について、そこにあった刃物に関するエピソードも交えながらお話しします。

キッチン付きアパートメントのメリット

円安の影響もあり、イギリスの物価は非常に高く、今回は特に食費を節約したかったため、キッチン付きの宿泊施設を多く選ぶことにした。

イギリス名物料理といえば、のあのフィッシュアンドチップスも一人前3,000円以上するという情報を事前に得ていたため、
自炊ができる宿泊先を中心に滞在計画を立て、
ロンドン3泊、リバプールでは2種類を各3泊ずつのアパートメント滞在を組み込んでいた。

その結果、宿泊費と食費を大幅に節約することができ、効率の良い旅行ができた。
なぜなら物価高と言われているイギリスだが、
スーパーマーケットでは、食材の価格が日本とそれほど変わらず、意外に手頃に楽しむことができたからだ。

さらに、スーパーはまるで私にとっては遊園地か何かのアトラクションのように、
隅々まで見たくなる楽しい場所で、現地の生活を垣間見れる特別な体験となった。


スーパーマーケットの楽しさ

どの国に行っても、スーパーにはその土地の生活感が漂っており、訪れるだけでその地域の人々の暮らしが見えてくる気がする。

特にイギリスのスーパーマーケットの商品はパッケージデザインがとにかく美しく、色合いやセンスに見惚れて、何もかも欲しくなってしまう。

実際、水だけを買いに行ったつもりが、お菓子や果物、お土産、調味料、果てはエコバッグまで両手にいっぱい抱え込んで帰り、夫と苦笑いしたこともあった。

野菜や果物は見ているだけで楽しい
陳列棚の前で子供のように固まる(楽しすぎて♡)
パンやスイーツはお店で食べるより断然安い!

自炊の新たな楽しみ

主婦として普段料理をしている身としては、
旅行の時くらい手抜きをしたい!
だからこそ旅先での外食や宿の料理が楽しみのひとつだと思うかもしれないが、
スーパーで買った食材を使い、キッチン付きの宿で料理するのもまたこれが新鮮な楽しさがある。

IHコンロや見慣れない調理器具に少し戸惑いながらも、
旅先ならではの「勘で調理」をしていくことも、
たとえ失敗したとしても、新たな体験や思い出になるので全く苦にはならない。

さて、肝心のナイフ事情について

ロンドンとリバプールのアパートメントには、いずれも2〜3本のナイフやハサミが備え付けられていたが、
その切れ味が驚くほど悪かった。

最初は「たまたま切れないナイフだったのか」と思っていたが、
次に泊まった宿でも同じようにどれも切れない刃物が2〜3本置かれていて、
これがスタンダードなのだろうと思わざるを得ない。

ナイフを使わない朝食例①
緩やかなカーブが美しいロンドンで宿泊したアパートメントの外観


切れない包丁のストレス/
刃物の切れ味と治安の関係?

料理をする際に、包丁が切れないと、みじん切りやスライスなどが非常にストレスフルになる。
次にアパートメントに滞在する際には、刃物を持ち込むことができないため、
研ぎ器を持参しようかと思うほど。
それぐらい刃物に対する「なぜ?」が拭えなかった。

どうしてなのか、よかったら皆さんも考えてほしい。笑

ここはあえて調べずに考えてみると、もしかすると、治安との因果関係があるのか?
安全に配慮して、あえて切れ味の悪い刃物が用意されているのかもしれない、と勝手に想像してしまう。

家庭内で使っている包丁も、
もしこの程度ならばなかなかの問題だと思う。
イギリスの料理が美味しくないと言われているのはこういうことももしかしたら関係あるのかもしれないよ…
とかぶつくさ、心の中で思う。

同じ具材でカレーとスープを同時に
突如カレーが食べたくなって買った食材
包丁を極力使わない朝食例②


日本人の道具への執着

日本では切れない包丁をほっとくはずがない。(もちろん個人差はあれど…)
どうやって切れるようにするか、
いかに手軽に簡単に切れるようにするか、
なんなら百均ですらも切れる包丁は売っている。

私は自慢にもなんにもならないが、
お気に入りの百均で買った小さな包丁を常に切れる状態にしている。

もう10年くらい使っているこの包丁で
みじん切りもできるし、
レモンのスライスもできる。

この100円の最良コスパ包丁1本、
アパートメントにあるだけで全てが解決するのに、なんて思ったりして…笑

リバプール2件目のアパートメントのリビング
季節的にイチジクが安くて美味しかった!1個50ペンス(90円)ほど。
ドラム式洗濯機がキッチンにあるのは理想的
リバプール1件目のだだっ広いキッチンとリビングルーム、でんぐり返しも余裕でできる

「旅先で暮らすように泊まる」体験

このようにアパートメントタイプの宿泊施設は、「旅先で暮らす」ような体験を提供してくれる。
まさにそんな体験ができるのがアパートメントの醍醐味。
スーパーの買い物ひとつとっても、生活者目線で買い物ができる。

ナイフのことも、アパートメントに泊まらない限りはこんなに気になったりしなかったと思う。
ブツブツ言いながらも、
ちょっと興味深い気づきをもらえた。

思い出のまずいパスタ

最後に失敗作のエピソードをひとつ。

うちの夫は大のパスタ好きで
毎週土曜日はパスタの日と勝手に決めて、
それを私も楽だからと実行し続けて三十余年、
このイギリスでも何度かパスタを作ることをトライしたが、
旅の最後に自分史上、最も不味いパスタを作ってしまった。

後に詳細を記載することになると思うが、旅の最終日の前日、帰国の便のフライトがキャンセルされるというハプニングがあった。

あまりにも突然のことで動揺し、旅行会社に電話などしたり、
帰りの飛行機をまた取り直したりとなかなかの心労が溜まってしまった。

少しでも元気を出してもらおうと、
スーパーで材料を買い込み、
切れない包丁で野菜と豚肉を切り
トマト缶を加え、トマトソースを作った。

一番大きい鍋?のフライパンにお湯を沸かし、
コンロの目盛りマックスにしても沸騰しないのに痺れを切らし、
沸騰する前に多めのパスタを投入。

普段なら絶対しない、この行為。
おいしくできるはずがない。

与えられた条件で作ると
普段できていることも簡単にできず、
ソースは美味しかったけれど、
ゆであがったねちょねちょの麺にかけても美味しいわけがない。
泣きっ面に蜂。

一口食べてふたりして顔を見合わせて、うなだれた。

明日の飛行機どうなるかなぁ…

士気を上げようと元気にするつもりが結局二人してどんよりなってしまったが、
でも今となってはそれも良い思い出。

無事に帰国して数日後に食べた、
たっぷりの寸胴鍋にグラグラ沸いたお湯でゆでるパスタと、
よく切れる包丁で切ったスライストマトとモッツァレラチーズのサラダがとりわけおいしく感じたのはいうまでもない(笑)

キャッシュレスで全てカード決済できたのはホントに便利だった!


リバプールライムストリート駅前にて。
さて今晩は何食べよう?と考え中かな?

いいなと思ったら応援しよう!