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【随想】小説『地雷グリコ』青崎有吾

これは、ミステリーと違って、先を推理しながら読むのは、難しいな。なるべくフェアに情報は読者へも与えられているのだと思うが、さすがにそんなんありかという読者が知り得ない情報で逆転とかされると、途中で考えるのをやめてしまう。それよりも、いま何が起きてるか、説明されてる文章を理解するのに必死になって、推理してる余裕もだんだんなくなってくる。推理小説じゃないからそれはいいんだろうけど、そうなってくると、楽しみ方が難しくなる。つまり、心理戦の駆け引きを楽しむ小説になるからだ。相手をいかに騙すかとか、裏をかくとか、相手の気持ちを読むとか、うまく手玉にとるとか、そういうところがポイントで、そのためには、その心理戦がいかに読者の想像を上回るかにかかってくる。そうなると、フェアに情報を出してしまうと、先を読まれてしまい、読者の想像を超えられない。かといって、読者が知らない方法で勝敗が決まってしまうと、そんなんありかと興醒めされてしまう。そうならない絶妙なポイントで、読者が納得するギリギリのラインで裏切りを用意して筋書きしなければならないので難しいのだ。そう考えると、カイジはよくできている。あんなシンプルなのに、物語の展開が二転三転どころか、何十転もしていて、それでいて破綻してる感じに見えない。複数人での戦いというのもあるかもしれない。本作は基本一対一の勝負で、圧倒的に強い主人公の少女が、いかに勝つかというのをずっと見ていく小説だ。テニプリと一緒。相手も勿論猛者たちで、勝てないと思わせていくのは定石通り。少女のキャラクターが、デスノートのニアっぽくて、アニメ化したらキャラがかぶってしまいそうという余計な心配をした。なんだかんだ表題作の地雷グリコが1番面白かったかな。自由律ジャンケンが意外と難しかった。坊主衰弱はずるいという感想で、だるまさんがかぞえたはギリギリ、最終バトルは、ゲーム考えた塗辺くん天才といった感じ。


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