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【あがり症】小話:仲間とつながる

大阪で
「あがっていいお話練習会」を主催している
ロン毛です。


今回は、

“仲間とつながる”をテーマに、
ちょっとした小話を書いてみました。


それでは、どうぞ!



「なんてクソッタレなヤツらなんだ。
 信頼できるヤツなんて一人もいない。」



ある国に単身乗り込んだ「A」は、

現地スタッフへの不信感をつのらせ、
こう吐き捨てた。





Aがこの国への海外赴任を命じられたのは、
半年ほど前のこと。


社運をかけたプロジェクトの事前調査のため、
Aに白羽の矢が立ちました。



もともと海外赴任に抵抗の無かったAは、

「なんとかなるだろう」と、
軽い気持ちで引き受けることにしました。



しかしです。


Aを待ち受けていたのは、
想像を上回る困難でした。





Aは、その国で仕事をスタートさせてすぐに、

現地スタッフとのコミュニケーションに
苦しむようになりました。



言葉の壁はもちろん、

仕事に対する価値観の違いが
壁となって立ちはだかり、

時には、衝突するようにもなりました。



そのほかにも、
約束が守られないことも散々思い知らさせました。



こんなことが度重なり、
急速に不信感を募らせるようになります。




そんな中、
Aには相談できる人が一人もいなかった。



Aは単身乗り込んでいる身であり、孤独でした。



誰にも相談できず、ストレスは蓄積する一方。



やがて夜も眠れなくなり、

先々のことを考えると
悲観的な気持ちがドッと押し寄せるようになりました。



「俺にはこの仕事はもう無理かもしれない、、、」

そう、思うようにもなりました。





そんなある日、Aは偶然、
現地の”日本人コミュニティ”を見つけます。



試しに参加してみると、

何年もこの国でビジネスをしている先輩が
親身になって話を聞いてくれました。



Aは思い切って打ち明けました。


「現地スタッフとうまくいかなくて、悩んでいる」と。



すると、先輩はこう言いました。



「その気持ち、すごく分かります。
 私も最初は同じ経験をしました。」




そして先輩は、現地スタッフと
うまく仕事をするコツを教えてくれたのです。


Aは、その的確なアドバイスに目から鱗。


「これなら、やれそうだ」と思いました。





日本人コミュニティに参加するまでのAは、
異国の地で孤軍奮闘していました。


自分一人でなんとかしないといけない!と、
全てを抱え込んでいたのです。



しかし、コミュニティとの
出会いを通じて気づくことができました。


「自分は一人じゃない」と。



Aは、仲間とつながったことで、
再び仕事に対する希望を取り戻しました。



以降Aは、頻繁に
このコミュニティに参加するようになりました。


このコミュニティは、
Aにとっての心の拠り所になっていきました。




この物語はフィクションですが、
似たような状況に陥る人は少なくないと思います。


トラブルに直面したとき、
人は孤立し、どうしていいか分からなくなるもの。


でも、孤立が問題だとすれば、
回復のカギは「つながり」にあります。



最近読んだ本に、こんな一文がありました。

心的外傷体験の核心は孤立と無援である。
回復体験の核心は有力化と再結合である。

心的外傷と回復(増補新版)P294
/ジュディス・L・ハーマン


ということで、

もし、あがり症に孤軍奮闘している方がいたら、
同じ悩みを持つ仲間とつながってみてください。


“仲間がいる”ことや、
“悩んでいるのは自分だけじゃない”と知ることは、

あがり症からの回復の大きな手助けになります。


私の体験談が
皆さんのあがり症克服の
お役に立てれば幸いです。

(関連リンク)
あがり症のせいで人生がボロボロになってしまった
あがることが前提!というゴキゲンな場所

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