食思考マラソン(15)飲酒について;「解呪」型飲酒 その1│太田充胤
世の中には、というか私の中には、飲酒した状態のほうが明らかにはかどるタイプの原稿というのが存在します。
これはたとえばアーティストにとってのドラッグのような、霊感の源としてのアルコールということではありません。私の場合はむしろ、アルコールによって明らかに思考の明晰さが低下します。新しいアイデアが生まれやすくなると言われればそんな気もしますが、実際のところはよくわかりません。
私にとって、飲酒のメリットはそういうところにはありません。飲酒しながら書いたほうがいい原稿とは、そういう霊感を必要とするものではありません。端的に言えば、飲酒が有効に作用するのは、アイデアは自分の頭の中にあり、本当は今すぐにでも書けるはずなのに、のびやかにそれを書くことを理性が阻害しているようなケースです。
以前自分のnoteでもすこし書いたことがありますが、書き手にはある種の呪いがかけられています。
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