食思考マラソン(16)飲酒について;「解呪」型飲酒 その2│太田充胤
「解呪」型の飲酒の実態についてです。
あくまでも「解呪」して原稿を書くことが目的なので、泥酔してはいけません。適度な酒量にとどめること、はじめの一歩で踏みとどまり二歩目を踏み出さないこと、これが「解呪」型飲酒の条件です。私の場合、アルコール耐容量の少なさと現実的な制約から、そのような条件をもっともも満たしやすいのが焼酎であるということになります。
冒頭の写真、切子のお猪口を使っていますが、入っているのは日本酒ではなく焼酎です。
焼酎はさまざまな点で、上記の目的にかなっています。量の調整が容易であり、1人でも適量を摂取できること。開栓して時間が経っても味がそれほど(日本酒とかワインほどには)落ちないところ。したがって自宅に複数の種類を置いておくことができること。
たとえば写真のものは750mlの瓶ですが、飲むペースが遅いので開栓してからたぶん半年以上が経っています。さすがに風味が落ちてきたような気がしますが、まだ普通に美味しいです。
連載の趣旨とずれますのであまり詳しくは書きませんが、写真の「七窪」はかのプレミア焼酎「魔王」と同じ杜氏が作ったもので、杜氏自ら「魔王越え」と評したというエピソードで有名です。たしかに「魔王」を思わせるような、「芋らしいのに透きとおる恍惚感」みたいな風味があります。「芋々彩々」というのは紅芋、紫芋、黄金千貫などをブレンドしたバリエーションで、焼芋焼酎的なほっこりした甘さがでています。
「七窪」にはいくつかのバリエーションがありますが、そのなかでアテなしで飲む場合──というか原稿をアテにして飲む場合には、これが一番合うような気がします。いうなれば原稿にあう酒です。伝わるかどうかちょっと自信がありませんが、世の中には原稿にあう酒とあわない酒があります。
さて、これをお猪口に1杯分注いで、氷を多めに入れて飲みます。
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