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"my sleep"の所以

私は酒を飲まない。
タバコも吸わない。

くらっと酔う気持ちのいい感じ…
というのがわからないまま、リラックスとか肩の力を抜くとかそんな言葉は幻想だと思っていた。

どうしても力の抜き方がわからなかった。
身体的・心理的どちらの意味でも、方法がわからなかった。
風呂に浸かっていてもドライヤーで髪を乾かしていても、ベッドに横になっていても肩にぐっと力が入る。歯を食いしばっている。リラックス!と意識的に力を抜くと別の場所が力んでしまう。
そのうち顎関節症になった。
口が開かず食べ物が入らないので、平切りの干し芋しか食べられず痩せていった。
次第に目の閉じ方もわからなくなり不眠症になった。

5年ほど紆余曲折あって、ほっと一息つく術は身につけた。
お香、ロウソク、眠りの音楽、足湯、ハーブティー…
色々試したけれど一番は「べつに寝れなくてもいいや」と固執しなくなったこと。結局ね。それよね。

薬もいらない時期が数年続き、育児でまたバランスを崩したため(寝ないと心身もたない‼︎なのに寝かせてくれない‼︎なんだこの生き物は‼︎と発狂)今は超短期型の睡眠剤を使う日々。

私には、この薬が、人の言う酒と同じ嗜好品である。
もちろん処方された分しか飲まないよ。
ODではない。
でもずっと飲んでいる。
耐性がついてたかな寝れんなと思う日もあるけるど飲む量は変えない。ここで増やしていけばどうなるかわかっているからそんなことは絶対にしない。
でも毎晩サプリみたいな感覚で飲んで…しまっている。笑

ふわっと身体が軽くなるのだ。
ガチガチに固まっていた肩が緩み、こめかみの力がふっと解け、への字になっていた口元がぽかんとあほづらに。

この瞬間に、
「あぁ、今日も頑張った。おわる。リラックスしていいんだよ私〜だらんとしよ〜」
って思考回路もふにゃふにゃになっていく。
なぜかその後の方がやる気に溢れ、後回しにしていたことに手をつけたりする。
でも色んなことを推し量るスイッチが完全にOFFになるせいか適当で雑になるので「あ、この辺は今の私がやっちゃいけない領域」と判断もできるくらいの意識状態。

『誰彼構わず連絡してしまっていた』
『冷蔵庫の中を漁って朝にはゴミが…』
というのは健忘を起こす睡眠薬ではよく聞く話だが経験はない。
ただ、健忘自体は…まあたまにある。
うろ覚えのような、酒に酔った時のそれと同じ類だろうと思う。


できることなら酒を飲んで気持ちよく酔いたい。
タバコを吸ってふうぅ〜とリフレッシュしたい。
夜更けに甘いものを食べてご褒美時間を作りたい。
好きな映画やアニメを見て心を震わせたい。

が、酒を飲むと気持ち悪くなってしまう。
タバコは咳き込んで苦しいだけ。
甘い物は大好きだけど罪悪感が勝りご褒美にならない。
それなりに好きな映画もアニメもあるけれどじっと見ていられない。

「夜は薬を飲んでほげーっとするんだ!」
それだけが私の一日を生きるモチベーション。
…いやなくても寝れる。でもあったら幸せ!はもうこれ依存症デスカ?笑
それとも酒みたいに休肝日を設けたらセーフ?
依存の線引きもまた難しい。

だけどそれでも生きるべきなのでしょう。
法に触れず、迷惑をかけず、心配させず、やるべきことをやる私に落ち度はない。でしょう。
常識の範囲で頑張っている。でしょう。
なんて言うと自信がなくなってくる。あれれ。

《常識の範囲で 君は今でも充分異常だから》

両手で塞ぐよ、
誰にも触れられたくないような声を。

syrup16gが今日も代弁してくれるのです。
無趣味な私が唯一手放せない音楽。
いつかたくさん言葉にしてここに残したい。

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