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「すずめの戸締まり」─人生という旅、道標─ 感想と考察
旅の道標、至るべき運命
扉の中の世界で幼いすずめが見た人が未来のすずめで、そのすずめがすずめに椅子を渡していたということに不思議な納得感が強く残った。それを最初は上手く言葉にできなかったけど、でも自分の人生の実感と重ねて振り返ってみると「そうだよなぁ…」と、すとんと腑に落ちるものがあった。
こうなりたい、こうしたいって将来の夢とか望みの姿を目掛けて人は人生を歩んでいける。そして、寄る処々に出会いがあって、そこには愛もある。そして、その愛が背中を押して応援してくれて、自分の人生の歩みを確かに進められる。行き先が霞がかった時も、その旅に挫けそうになった時も。
そして、そうやって大人になったすずめ自身が、最後に幼かったすずめに椅子を渡して、ここまで自分がやってくるきっかけに繋がるのは人生の道理な気がする。お母さんを失って自分の居場所が分からなくなってしまったすずめは自分の居場所を探していた。そのすずめに向けて、長い旅の中でいろんなとこでたくさんの愛を受け取ったすずめが旅の終着点へ導く椅子を渡す。すずめの旅のこの一点への収束にそんなことを感じた。