サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第0話前編 きっかけ(天然温泉 楽天地スパ)
天然温泉 楽天地スパ。その名に違わぬ楽園であり、私がよく訪れるサウナだ。
サウナ激戦区の錦糸町でも珍しい、アウフグース体験ができる。
広々としたサウナでは、男共がきれいに鎮座し、無言でただただ蒸される。
水風呂は4人ほど入ることができ、ととのい椅子も8脚ほど。また、足を水平に伸ばすことができるようになっており、ととのわせる気満々の良サウナだ。
実はこの楽天地スパ、私が生まれて初めて訪れたサウナである。今回は当時の事を思い出してみる。
最初に言っておくが、全く良い思い出ではなかった。もちろんサウナや施設は素晴らしいものだ。ただ私が何も考えずに突撃してしまったことが災いを招いてしまったのだ。
2021年、冬。
何の気無しにYouTubeを観ていると、こんなサムネに釣られた。
サウナに行けばほとんどの悩みは解決する
ほんまかいな!?心の中でエセ関西弁が飛び出す。
サウナ→水風呂→休憩 を繰り返すことで"ととのう"体験を得られるらしい。
行くしかないな。最低限の知識だけを持って、私は初めてサウナに赴いた。
錦糸町PARCOの9階に君臨する楽天地スパ。
現代はエレベーターで天国に行けるらしい。受付で1時間コースか通常コースかを尋ねられた。
まあ初めてだし、と1時間コースを選ぶ。
今思えば、この時点で私は選択を誤っていた。
とりあえず脱衣所へ。
ここでいきなり戸惑った。
大浴場はどこ?服は全部ここで脱いで行っていいの?
温浴施設自体が未経験のため、勝手が分からない。
何とか裸の皆様の後を追いかけ、何とか大浴場へと辿り着いた。
ひとまず頭と体を洗い流す。
さて、どうしようか。
私は普段メガネのため、どこに何があるかよく見えていない。サウナビギナーであることを悟られぬようにひっそりと周囲を見渡すと、全身に汗を滴らせた人が部屋から出てくる姿を捉えた。間違いない、この部屋がサウナだ。
おそるおそるガラス戸を開ける。
すると一寸先が見えないほどの水蒸気。顔がめっちゃ熱い。
そう、ここはスチームサウナだったのだ。しかし当時の私はサウナに種類があることなど知る由もない。
おそるおそる1歩ずつ、足を前に進めるとその部屋の主のような人が堂々と座っていた。そうか、ここに座るのか。何とか腰を下ろす。
うん、、意外と熱くないな。なるほど。熱い空気は上にいくため、座ったことで接触しなくなったのか。サウナってこんなものか。これならゆっくり味わえそうだ。5分ほどその場で蒸気と戯れた。
そろそろ体も温まってきた気がする。そろそろ水風呂とやらに挑戦してみるか。そう思い部屋から出ると、異様な光景が目に飛び込んできた。
大量の男達が脇目もふらず、一目散に水風呂へと行進していた。
どうやらウォール・マリアが突破されたらしい。
すぐさま水風呂には長蛇の列ができてしまい、私はそれを眺めることしかできなかった。
前述したが、楽天地スパでは1時間に1度アウフグースが行われる。
タオルと巨大うちわによる熱波を堪能できる素晴らしいサービスだ。
しかし今回は、そのアウフグース終了直後とタイミングがかち合ってしまったため、水風呂行進に巻き込まれてしまったというわけだ。もちろん当時の私はそんなこと知る由もない。
並ぶ勇気がなかったので、私は申し訳程度の水シャワーを浴びてみる。しかし、すでに時間が経っていたこと、スチームサウナに5分しか入ってないこと、などが相まって、ただただ寒かった。。
その後に休憩用の椅子を探すも、当然巨人達が完全占拠。仕方なく風呂椅子にちょこんと座るが、ただただ身体が冷えたのを感じるだけだった。。
そもそも本丸のサウナは奥にあることをこのタイミングで悟った。
よし、気を取り直して次はこっちのサウナに入ってみよう。
そう思った矢先、時計を見て焦った。
すでに50分が経っている。。
勝手が分からず浴場到達までに手間取ったこと、サウナの巨人による洗礼、1時間コースを選択してしまったこと。
すべてが裏目となり、私はサウナがどんなものであるかをほとんど堪能できないまま撤退を余儀なくされたのだ。
そんな散々なサウナデビューだった。
しかしどういうわけか、もう一度サウナにチャレンジしたいと思った。
もう一度行けば、もう少しサウナが何たるかを知ることができる気がしたのだ。
混んでなさそうな時間帯が良いと思い、次は早朝からやっているサウナに向かうことにした。
しかし次に向かったサウナが、上級者向けの超高温120℃超えサウナであったことを、当時の私は知る由も、、
第0話後編。サウナ錦糸町 へ続く。。。
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