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56.【読書と私】⑬蜜蜂と遠雷/恩田陸:多感覚にメディアで楽しむ読書


これは、私のバランス感覚なのかなと思いますが、深刻なものを読むと、軽いものか系統の違うものを読みたいなと思います。特に最近読みすすめていきたいと思っている平野啓一郎作品については、次の読みたいけど、少し余韻に浸っていたかったり、他のものをはさんで休憩したい感じです。

そこで、以前より気になっていた『蜜蜂と遠雷』を読むことにしました。かつて本屋さんで子どもの買い物をしていた時に、装丁に惹かれて気になっていた時から何年たったかな…。最近では、ブックオフでの若者のつぶやきを拾って私も読みたい!となっていました。

本はブックオフで購入。単行本です。やっぱりこのカバーの挿絵好きだな…と思いながら本を開くとあら… 新聞記事がはさまっていました。

本体もピアノのようで素敵


その記事です

店員さんは気づいてなかったのか、あえてそのまま入れてくれていたのか。
日付はないけど、2017年の新聞でしょう。出版から半年過ぎですね。

そう言えば、最近読んだ本で言えば、『マチネの終わりに』は小説を一通り読んでから、ギターで聴くバッハの曲ってどんなのだろうとYouTubeで見てみたり、『ノルウェイの森』読む前には、先にビートルズのを聴いて気分上げてみたり、今は小説中の音楽も簡単に確認して聴くことができます。『蜜蜂の遠雷』も検索してみると…Spotifyにしっかりリストがありました!

本は目次をめくると、プログラムさながらで曲のリストが並んでいます。

Spotifyに感謝しながら、第一次、二次、三次予選と本選と、しっかり曲を聴きながら読んでいきました。毎晩、重たい扉を開けてホールに入って、コンクール会場に通った気分になりました。

私は、吹奏楽やっていた時期があり、コンクールやホール、舞台の上、袖の雰囲気など想像の足しになる部分もあり、とても楽しんで読めました。

ちなみに、曲のリストを聴いていた中では、栄伝亜夜の選曲を聴けたのが小説の裏付けとなってとても良かったです。ただ、本選のオーケストラとの共演になると、耳だけでは限界も感じて、映像があるとよりピアノ奏者を意識してイメージしやすい感じがしました。(そこが見てないですが映画で成功しているといいなと思います)

競うものとしての音楽、矛盾もあるかもしれないけど、そういう舞台があるから向上、成長もある。そこは、スポーツとも共通するところがあるか、ところどころ、スポーツと重ねるような表現がところどころみられました。

音楽を中心に小説にするって難しそうな感じにも思いましたが、読み始めから、これ漫画にしたら良さそう(実際、漫画化になってました)と思われる登場人物たちとストーリーで読みすすめられていきました。最後の最後は(漫画でもできるだろうけど)小説らしい間でのエンディングが良かったです。

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以前、かぜの帽子さんのINFJアンケートに回答して、「競争、争い、人を蹴落とすことは苦手ですか」という質問があって、私は「はい」としつつ、「ゲームとして行う範囲では楽しめるところはあります」と回答しました。他の方でも「ルールの範囲で」という回答はちらほらあったようにも思います。

切磋琢磨というとまた何か違うかもしれないけど、スポーツマンシップにのっとっていたり、互いをリスペクトできる中でならいいなと思いますし、それは、それぞれが優位性を求めるのでなく、自分の出せるものに没頭集中してこその話かなとも思います。

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またメディアで言えば、このnoteで他の方の読書感想をついついチェックしていますが、その中で『蜜蜂と遠雷』のスピンオフがあることも知りました!図書館の予約システム(初めて利用しました)であったので、早速借りてこれから読んでみようと思います。単行本は青ですが、文庫はピンクの挿絵のようですね。

『祝祭と予感』です


ネット記事では、取材費が並々ならずかかっていたのも見かけました。音楽そのものも、お金のかかる世界。
輝かしい舞台をつくってくれている方に感謝しながら、年を経ることにクラシックっていいなって気持ちも強くなってきているので、少しでも楽しめたらいいなって思いもあります。

追記:『祝祭と予感』曲に関したことが少ない分、物語がよく流れてたのもあり、さらさらっと読めました。本編の中では、これそこまでいるかなと思っていた奏のエピソードが、このための伏線だったかと腑に落ちたのと、この先の拡がりを予感出来て良かったです。

                                  恩田陸(1964ー )
                                        『蜜蜂と遠雷』2016
                                        『祝祭と予感』2019



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